著者
中馬 猛久 牧野 孝二 岡本 嘉六 柚木 弘之
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.1011-1015, 1997-11-25
被引用文献数
11 40

ブロイラー農場からのCampylobacter jejuniとCampylobacter coliの分離率は33.9% (56農場中19農場) であった. C. jejuni陽性の鶏群は20.0% (85鶏群中17群) C. coli陽性の鶏群は4.7% (85鶏群中4群) であった. PCR法と制限酵素Ddelを用いて解析したところ, 標準菌株のC. jejuni ATCC 33560を含め合計22株中のフラジェリン遺伝子のrestriction fragment length polymorphism (RFLP) は14パターン (flaタイプ) であった. 同一農場の異なる飼育サイクルのブロイラーから異なるflaタイプのCampylobacterが分離された. 4株のC. jejuniが4ヶ所の種鶏場から分離され, それらの種鶏由来のブロイラーから4つのflaタイプのC. jejuniが分離された. ブロイラーから分離されたC. jejuniのうち3つのflaタイプは, それぞれの種鶏から分離されたC. jejuniのflaタイプとは異なっていた. また, それぞれの飼育農場での次回の飼育サイクルにおいて異なる種鶏から導入されたブロイラーからは他の3つのバflaタイプが検出された. 以上の所見から, RFLPを用いた解析はブロイラーにおけるC. jejuniとC. coliによる汚染の疫学的研究に使用でき, さらに, もし同一の農場であっても飼育サイクルの異なるブロイラーにおいては異なるタイプのCampylobacterに汚染される可能性が高いことが示唆された. また, これらの所見は種鶏からブロイラーへのC. jejuniとC. coliの垂直汚染はありそうにないことを支持した.
著者
牧野 孝俊 栗田 佳江 池田 優子 杉原 喜代美
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.67-80, 2007-03

看護学生による高校生に対するピアエデュケーションの実践を振り返り、その効果を明らかにすることを目的とし、藤岡地域を中心とした2つの高等学校計3クラスの生徒92名を対象に、授業に対する態度と性に対するイメージ2項目についての無記名自己式質問紙調査をした。項目の内容は、授業に対する態度として「積極的な発言」、「人の意見を聞く」、「興味を持って参加する」、「相手の気持ちを考える」、「楽しく学ぶ」の5項目を、性に対するイメージとして「大切なもの」、「不潔なもの」、「すばらしいもの」、「めんどくさいもの」、「はずかしいもの」、「なくてはならいもの」、「いやらしいもの」、「自然なもの」の8項目である。その結果、授業に対する態度において2クラスのエデュケーション後に「人の意見を聞く」や「興味も持って参加する」、「楽しく学ぶ」の3項目で、有意な差が生じた。また性に対するイメージにおいて、3クラスともエデュケーション後に「大切なもの」「すばらしいもの」「なくてはならいもの」「自然なもの」の4項目で肯定的イメージを選択する学生に有意な差が生じた。
著者
河合 光久 瀬戸山 裕美 高田 敏彦 清水 健介 佐藤 美紀子 眞鍋 勝行 牧野 孝 渡邉 治 吉岡 真樹 野中 千秋 久代 明 池邨 治夫
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.181-187, 2011 (Released:2011-09-06)
参考文献数
16
被引用文献数
2

便秘傾向で60歳以上の健常成人男女58名(平均年齢68.8±5.3歳)に,Bifidobacterium breveヤクルト株が製品1個あたり1.0×1010 cfu含まれるはっ酵乳(商品名 ミルミル)を連続4週間摂取するオープン試験を実施した.被験者は排便日数が週に3から5日で,便の硬めな(便の水分含量が70%未満)人を選択した.はっ酵乳(試験食品)の4週間摂取は,排便量の増加を伴った排便回数および排便日数の有意な増加を示した(各々p<0.0001).さらに3日間以上連続で排便のなかった被験者の割合も試験食品摂取により低下した(p=0.013).しかし,便の硬さを表す便性状スコア(Bristol stool scale)の評価では,試験食品の摂取によって平均スコアに変化は認められなかった.症状の程度を5段階で評価した排便時の症状および腹部症状スコアに対し,試験食品はいきみおよび残便感の平均スコアを低下し(各々p=0.022および0.0002),症状の軽減が示唆されたが,腹痛および腹部膨満感のスコアには顕著な変化はみられなかった.色素を経口摂取してから便中に色素が検出されるまでの時間(腸管通過時間)を観察したところ,色素の滞留時間は摂取前後で変化はみられなかった.以上の結果より,連続4週間のB.breveヤクルト株を含むビフィズス菌はっ酵乳の摂取は,便秘傾向な60歳以上の健常な男女において排便量の増加を促し,排便頻度の増加および排便リズムを安定化させる便秘改善効果が示唆された.また,排便時のいきみや残便感の症状を改善する可能性も示唆された.
著者
藤原 啓恭 小田 剛紀 牧野 孝洋 森口 悠 米延 策雄 海渡 貴司
出版者
医学書院
雑誌
臨床整形外科 (ISSN:05570433)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.39-48, 2017-01-25

背景:関節リウマチ(RA)患者の疾患活動性が後方経路腰椎椎体間固定術(PLIF)後の固定隣接椎間障害(ASD)発生率に影響を与えるかを検討した. 対象と方法:2椎間以下のPLIFを施行し,2年間の経過観察が可能であった90例(RA患者22例,非RA患者68例)を対象とし,臨床・画像成績を調査した.RA患者は画像上ASD発生の有無により副分類し,術前の患者背景を比較検討した. 結果:画像上ASD発生率はRA患者30%(12/40椎間),非RA患者9%(11/121椎間)と有意差を認めた(P<0.05).画像上ASD発生の有無でRA群の患者背景に有意差を認めなかった. まとめ:RA患者では疾患活動性制御に関わらずASDが高率に発生した.
著者
細野 昇 向井 克容 坂浦 博伸 牧野 孝洋 武中 章太 三輪 俊格 冨士 武史
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.843-847, 2010-09-25

いわゆるmyelopathy handは頚髄症に特徴的な手指麻痺とされているが,神経根症には認められないのであろうか.頚部神経根症を呈する30例(C4,C5;各3例,C6;15例,C7;9例)に最大努力での握り開き運動を左右別に行わせて15秒間録画し,この動画を3人が評価し解析した.C7根症において疼痛側の握り開き回数は非疼痛側より有意に少なかった.またC6根症疼痛側においては各指が同調して動かず,乱れが生じていた.従来,頚髄症に特異的とされてきたmyelopathy handの一部の症候は神経根症にも認められる.
著者
鈴木 陽介 世良田 拓也 森 大志 小笠原 一生 鈴木 薫 牧野 孝成 伊藤 彰浩 大町 聡 二瓶 伊浩 今村 省一郎 竹原 良太朗 畠中 陽介 草場 優作 仁賀 定雄 中田 研
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1227, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】上肢の平衡反応は姿勢制御に寄与しており,ジャンプ着地時には足圧中心(以下COP)ピーク速度時間に影響することを健常人で明らかにした。しかしながら,肩関節機能障害を有する場合,上肢平衡反応を有効に利用できないことが考えられる。そこで,本研究は肩関節脱臼の既往が動的バランスに与える影響を探索することを目的とした。【方法】対象は肩関節脱臼の既往を有する患者9名(平均24.0±9.1歳)(以下,脱臼群),重篤な既往歴がない健常成人9名(平均24.6±9.6歳)(以下,健常群)であった。測定は,前方または側方へ20cmの高さから片脚ドロップジャンプ着地テストを行わせ,同側の脚で着地した時の床反力を計測した。上肢は胸の前で組ませる(以下,RES),制限なし(以下,FRE)の2条件とし,前方・側方へ右脚・左脚各6回測定した。床反力はダイナミックバランス評価システム(テクノロジーサービス社製)を用い,サンプリング周波数1kHzで計測した。動的バランス能力は,床反力データから,緩衝係数,鉛直方向の床反力ピーク(以下,Fz)およびピーク時間(以下,Tz),着地後20-200msのCOP軌跡長,前額・矢状各方向のCOPピーク速度,ピーク速度時間について検討した。統計は,前方と側方ごとに利き脚と非利き脚に分け,脱臼の既往と上肢の条件を要因とした1要因に対応がある二元配置分散分析を行い,有意水準5%とした。【結果】緩衝係数は交互作用に傾向が認められ,健常群のFRE条件では小さくなる傾向があった。Fzは利き脚・前方で条件と交互作用に傾向が認められ,健常群は脱臼群と比較してFRE条件でさらに小さくなった。Tzは非利き脚で脱臼群のみ早くなる傾向があり,側方ではFRE条件でより早くなる傾向があった。COP軌跡長は利き脚・前方で脱臼の既往に有意な交互作用が認められ,健常群ではFRE条件でCOP軌跡長が短かった(F(1,16)=16.19,P=0.001)。COPの矢状面ピーク速度には有意差が認められなかったが,ピーク速度時間は利き脚・前方のFRE条件で有意に短くなった(F(1,16)=9.86,P=0.006)。前額面ピーク速度では有意な交互作用が認められ,脱臼群のFRE条件では速度が有意に速くなった(F(1,16)=6.1,P=0.02)。【結論】肩関節機能障害が動的バランスに影響するかを探索するために,片脚ドロップジャンプ着地テスト中の床反力を計測した。FzおよびCOP軌跡長,矢状面ピーク速度時時間はFRE条件で小さくなったことから,上肢による平衡反応はこれらの要素を制御するために予測的に導入されていることが推察された。脱臼群では,特にFzやCOP軌跡長では健常群ほどの有効性がみられなかったことから,肩関節機能障害を有する場合,上肢の肢位に関わらず平衡反応を発揮できない可能性がある。本研究から,肩関節疾患患者でも動的バランスの低下から傷害の発生リスクが高まる可能性があり,バランス改善を促すアプローチの必要性が示唆される。
著者
後藤 正夫 黄 奔立 牧野 孝宏 後藤 孝雄 稲葉 忠興
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.189-197, 1988-04-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
40
被引用文献数
19 17

静岡県,香川県および徳島県でチャ芽,野菜およびモクレンの花から分離した氷核活性細菌について分類学的研究を行った。1978~80年静岡県で, 1987年香川県でチャ芽から分離した氷核活性細菌は,後者の1菌株を除きすべてErwinia ananasと同定された。これに対し, 1986年および1987年の両年に静岡県で,また1987年に徳島県で分離された氷核活性細菌は前者の1菌株を除き,すべてXanthomonas属細菌であった。このxanthomonadは最高生育温度等2, 3の性質を除き,形態,生理・生化学的性質からX. campestrisと同定されたが,チャをはじめ供試した数種野菜には病原性を示さず,ジャガイモ切片をわずかに軟化したのみであった。この結果,本菌をX. campestrisの新亜種と位置づけるのが妥当と考えた。タイサイ等の緑葉野菜,チャ芽およびモクレンの花から分離した氷核活性pseudomonadはすべてPseudomonas syringaeと同じ細菌学的性質を示した。これらは分離した植物,野菜類,Delphinium spp. に病原性を示さなかったが,ライラックに対しては接種した菌株のすべてが病原性を示したことからP. syringae pv. syringaeと同定した。ワサビから分離したpseudomonadはP. cichoriiに類似した性質を示したが,蛍光色素非産生,非病原性等からこれとは異なる細菌と判定した。これらの氷核活性細菌は,いずれも高い氷核活性を示し,過冷却温度は-2.8~-3.0Cにあったが,ワサビ菌株は-4C~-5Cであった。
著者
金泉 志保美 牛久保 美津子 牧野 孝俊
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

医療的ケアを必要とする小児の親が在宅療養を選択し意思決定する過程およびその影響要因を明らかにすることを目的とし、両親11名への半構成的面接のデータを質的帰納的に分析した結果、母親への面接データからは53のカテゴリが生成され、様々な不安や葛藤から、児の状態を受け入れ、児に対して感じる愛情から在宅養育の決定に至る過と、影響要因が明らかとなった。父親への面接データからは44のカテゴリが生成され、そのうち28カテゴリが母親と共通していた。
著者
熊倉 和夫 渡辺 哲 豊島 淳 牧野 孝宏 市川 健 伊代住 浩幸 永山 孝三
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.384-392, 2003-11-25
被引用文献数
6

各種植物の根圏および栽培土壌から分離したFusarium属菌とrichoderma属菌について、イネの重要な種子伝染性病害であるばか苗病および苗立枯細菌病に対する発病抑制能を検討した。Fusarium属菌350菌株、richoderma属菌66菌株について、培養菌液または分生子懸濁液のイネ種子浸漬処理によるイネばか苗病発病抑制効果を検討したところ、両属とも高い発病抑制効果を示す菌株が高い割合で存在することが明らかとなった。また、ばか苗病に対して比較的低菌量処理で高い発病抑制効果を示すものの中には、イネ苗立枯細菌病に対しても高い発病抑制効果を示す菌株が多数認められた。高い発病抑制効果を示す菌株として、トマト根圏より分離したF. oxysporum SNF-356株、ノシバ根圏より分離したrichoderma sp. SK-1株を選抜し、ばか苗病および苗立枯細菌病に対する発病抑制効果を調べたところ、SNF-356株では、1.0×10(7)個/m1以上、SK-1株は1.0×10(5)個/m1以上の分生子懸濁液処理で、両病害に対して対照の化学薬剤であるイプコナゾール・銅フロアブル剤またはオキソリニック酸水和剤に匹敵する高い発病抑制効果を示した。特にSK-1株のばか苗病発病抑制効果は、種子の罹病程度に関わらず安定していた。両菌株を種子処理し、育苗期のばか苗病の発病を抑制した苗を本田に移植したところ、出穂期におげるばか苗病の発病頻度は無処理区に比べて明らかに少なかった。
著者
牧野 孝太郎
巻号頁・発行日
2013

Thesis (Ph. D. in Engineering)--University of Tsukuba, (A), no. 6400, 2013.3.25
著者
池田 優子 杉原 喜代美 栗田 佳江 牧野 孝俊 山下 博子 深沢 英子
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.169-183, 2007-03
被引用文献数
1

本研究の目的の第1は、ピアカウンセリングの歴史と活動を概括し、日本におけるピアカウンセリング・ピアエデュケーション活動に呼応して群馬県で初めて開催されたピアカウンセラー養成の概要を明らかにすることである。第2に、A高校で実施されたエデュケーションの効果について、受講した高校生からの評価及びピアカウンセラー自身による自己評価とピア活動の意味づけについて明らかにし、その継続性について考察する。質問紙調査の結果、エデュケーションは高校生から「面白く」「身近で」「分かりやすい」という評価を受けていた。学生達はエデュケーションを通して達成感と自信、更に仲間の力の素晴らしさを実感していた。そしてピア活動は自分を見つめなおし、成長させる場であることがわかった。またピアカウンセラー養成及びピアエデュケーションの効果的実施及び継続性を保証するものとして「地域におけるサポートネットワークの構築」「学生達のエンパワメントの持続」「大人達の継続的サポート体制」「エデュケーション側と高校側の連携」の必要性が示唆された。
著者
栗田 佳江 池田 優子 杉原 喜代美 牧野 孝俊
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.51-66, 2007-03

群馬県では平成17年度に初めて思春期ピアカウンセラーを養成し、高校生に対してピアエデュケーション活動を展開している。本研究では、思春期ピアカウンセラーのピアカウンセラー養成セミナー受講からピアエデュケーション活動過程での体験と自己の変化を明らかにするために、思春期ピアカウンセラーを対象としたグループインタビューを実施した。思春期ピアカウセラーは、傾聴能力と自己表現の上達など自己の変化を感じていた。そして、彼らはピアエデュケーション活動過程において仲間同士の信頼と協同の重要性を感じていた。また、この活動過程で得た傾聴能力は、臨地実習において患者とのコミュニケーションに役立っていた。
著者
袴田 哲司 加藤 公彦 牧野 孝宏 山本 茂弘
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.162-167, 2004-08-25
被引用文献数
6

マツノザイセンチュウを接種したクロマツ小枝からの微弱発光の特徴を明らかにした.マツノザイセンチュウの接種後30分以内に微弱発光の第1ピークが現れ,接種の約70時間後には第2ピークが観察された.微弱発光が増大している時間は第1ピークでは1時間程度と短かっかが,第2ピークは100時間以上に及んだ.第1ピークはマツノザイセンチュウを殺して処理しても,また,マツノザイセンチュウの懸濁液を遠沈した上澄液を処理しても発生が確認されたが,第2ピークはこれらの処理では認められなかった.マツノザイセンチュウを接種すると,テーダマツはクロマツよりも発光強度は低いもののクロマツと同様な微弱発光の発生パターンを示したが,スギでは微弱発光の増大は観察されなかった.これらのことから,第1ピークの発生にはマツノザイセンチュウ由来の物質が,また,第2ピークの発生にはマツノザイセンチュウによるクロマツ組織の加害が関与する可能性が考えられた.