著者
田宮 聡 岡田 由香 小寺澤 敬子
出版者
一般社団法人 日本児童青年精神医学会
雑誌
児童青年精神医学とその近接領域 (ISSN:02890968)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.450-457, 2016 (Released:2019-08-21)
参考文献数
23

多言語環境が子どもの言語発達に及ぼす影響についての理解を深めるために,日英のバイリンガル環境で生まれ育ったA(女児)の言語発達について報告した。Aは生下時から日英両語に暴露されうる環境で生活していたが,両語の発達はともに遅れていた。その遅れがバイリンガル環境のためと説明されたこともあったが,保護者はAの発達を心配し,小学1年生で帰国して児童精神科を受診した。Aには言語発達遅滞以外に,社会性やイマジネーションの困難さとともに知的能力障害も見られ,自閉症スペクトラム障害と診断された。Aの日本語の発達については,語彙の乏しさ,単語の形態の誤り,文法の誤り,会話のかみ合わなさなどが観察された。これらの問題を,バイリンガル特有の言語特性である,転移,プロフィール効果,コードスイッチングとの関連で考察した。Aの日本語の遅れはバイリンガル環境によるものではなく,発達の問題であると考えられた。
著者
川端 由美子 菊田 大介 安斉 拓 望月 芳和 渡邉 博子 木村 委津子 宮澤 敬子 渡辺 園美 高橋 樹里 浜本 恵子 中村 早美 西間木 昌美 金山 裕子 三森 はるみ 泊 貴美江 宇野 公一
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.145-152, 2005-05-15 (Released:2011-03-01)
参考文献数
3
被引用文献数
1 2

Recently, the number of clinical PET centers is increasing all over Japan. For this reason, the monitoring and control of radiation exposure of employees, especially nurses, in PET-dedicated clinics and institutions are becoming very important issues for their health. We measured the radiation exposure doses of the nurses working at Nisidai Diagnostic Imaging Center, and analyzed the exposure data obtained from them. The exposure doses of the nurses were found to be 4.8 to 7.1 mSv between April 2003 and March 2004. We found that the nurses were mostly exposed to radiation when they had to have contact with patients received an FDG injection or they had trouble with the FDG automatic injection system. To keep radiation exposure of nurses to a minimum we reconfirmed that a proper application of the three principles of protection against radiation exposure was vital.
著者
澤 敬子 南野 佳代 江口 聡 岡野 八代 藤本 亮 渡辺 千原 中山 竜一
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、日本のロースクールにおけるジェンダー法学教育のあり方を模索する基本資料として、アメリカロースクールの著名なジェンダー法学教育担当者に対し、ジェンダー法学がロースクールで教えられるようになるまでの軌跡、現在の教育においての課題等をインタビュー調査することにある。主たる調査結果は、「ジェンダーの視点を法学教育に生かすための諸課題-米国フェミニズム法学教育者インタビュー調査から」(『現代社会研究』8号、pp.49-66、2005)で発表し、本科研報告書においても、この研究をもとに、日本における課題を検討している。調査により、アメリカにおいてジェンダー法学教育は、現在、ロースクールにおいてほぼ制度化され、特化されたジェンダー科目として、および/または実定法学の授業での論点として教えられていることが明らかになった。調査における注目点として、ジェンダー科目を最も習得するべきである学生が、ジェンダー科目が選択科目である限り履修しないこと、特化されたジェンダー科目と実定法学での論点として教える二方法のバランス、学生の多様なニーズにどのように答えて授業を行なうか、教育担当者のエンパワメントや研究推進など横の連携の方法などであった。本研究では、これら課題に対する米教育者らの対応についても調査している。とりわけ、教え方のバランスと選択履修の問題は、日本のロースクール教育においても既に重要な論点であり、米国での取り組みは、ロースクール授業に限らない「大学におけるジェンダー法教育」全般を視野に入れた教育としての取り組みの必要性を示唆している。
著者
澤 敬子 手嶋 昭子 藤本 亮 TEJIMA Akiko 藤本 亮 FUJIMOTO Akira 南野 佳代 MINAMINO Kayo 三輪 敦子 MIWA Atsuko
出版者
京都女子大学現代社会学部
雑誌
現代社会研究 (ISSN:18842623)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.131-150, 2004-11

本稿は、科学研究費補助金基盤研究(C)( 1 )「ジェンダー法学のアカウンタビリティー ―アメリカの先駆者たちに見るその軌跡―」の2003年度の成果の一部であり、現実の法実施状況のなかで、ジェンダーをめぐる理念、法理論、問題設定などが持ちうる具体的な射程、可能性、問題性について、法社会学研究者を中心とした研究者らが各人の研究領域に引き寄せて検討し確認するための予備的研究である。第Ⅰ章は、女性の地位の向上やジェンダー平等に向けた取り組みのなかで、条約が大きな役割を果たしている状況を概観する。第Ⅱ章は、日本における強姦罪の問題点のうち、被害者の「抵抗」の問題を取り上げ、日米を比較しつつ検討する。第Ⅲ章は、労働規制法が暗黙に想定する労働者像を明らかにしたうえで、「人たるに値する生活」の現代的意義の考察の基礎づけを行う。第Ⅳ章は、アファーマティヴ・アクションが持つ一側面を米国大学スポーツのあり方を手がかりに検討する。
著者
江口 聡 澤 敬子 藤本 亮 SAWA Keiko 藤本 亮 FUJIMOTO Akira 南野 佳代 MINAMINO Kayo 望月 清世 MOCHIZUKI Sawayo
出版者
京都女子大学現代社会学部
雑誌
現代社会研究 (ISSN:18842623)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.93-114, 2004-01

科学研究費補助金基盤研究(C)(2)「ジェンダー理論の法学教育への統合的モデル構築にむけた現状と課題の実践的研究」の2002年度研究経過報告である本稿は、米国フェミニズム法学のケースブックに基づき、以下の分野を扱う。第1章は、マイノリティの観点である批判的人種フェミニズムからの法学およびフェミニズム法学への批判と貢献を検討し、第2章はアファーマティヴ・アクション導入以来の批判派対擁護派の論争を整理し、平等概念、能力主義基準自体の歴史性を指摘する。第3章は、ポルノグラフィにかんして自由論者と規制論者の論点と、ポルノ規制条例にかんする判決を取り上げる。第4章は、なぜ法と女性とのかかわりにおいて「親密な関係」を統制する法が重視されるのか、婚姻関係内部の権力関係と婚姻可能性の権力性を検討し、第5章は、他者のケアを引き受ける者が置かれがちな経済的依存状態について、平等の観点から、ありうべき社会保障モデルを検討する。
著者
田中 ミチコ 森 宏枝 石澤 敬子
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.49-53, 1982-12-20
被引用文献数
2

海藻は一般に消化吸収が悪いとされているが,溶媒の種類によるアミノ酸,糖質,カルシウムの溶出状態,また,タンパク質分解酵素を作用させた時のアミノ酸,及び二次的に遊離される糖質,カルシウムがどの程度利用されるか実験を行った。1 カルシウムの溶出率が高く,7〜100%を示し,酸性溶媒によく溶出し,食酢ではアサクサノリ100%,マコンブ,トサカノリ,ワカメ,ヒジキは約30%であった。アミノ酸は3〜10%の溶出率で,溶媒の違いによる差はほとんどなかった糖質はマコンブの食酢による溶出のみ3.7%で,他は1%以下とわずかな溶出率であった。2 pepsin消化では,アサクサノリが7.6%の消化率であったが,他の試料は1%以下であった。pancreatin消化では,ワカメ44%,トサカノリ,アサクサノリ26%,マコンブ,ヒジキが2〜3%の消化率であった。3 タンパク質分解酵素作用にともない二次的に遊離した糖質,カルシウムは,pepsinよりもpancreatin作用により多く遊離したが,いずれも低い遊離率であった。4 pepsin pancreatin作用によるアミノ酸,糖質,カルシウムの利用率は,それぞれ14〜55%,約1%(トサカノリのみ9%),23〜68%であった。全試料中,アサクサノリは高い利用率を示し,これに対し,ヒジキは低い利用率を示した。