著者
濱上 知樹
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.220, pp.47-75, 2020-03

本研究では,デジタルアーカイブ画像のメタデータを生成し類似画像検索などに役立てることを目的にしている。一般物体認識でよく用いられている画像のヒストグラム表現手法,Bag-of-Features[4]ではSIFT [2] [3]に代表される画素の濃淡分布をもとに算出された特徴点および局所特徴量が用いられるが,その一方で一般物体認識の分野でDeep Learningを用いた技術[6]が注目を集めている。Deep Learning手法では,画像全体を入力し,画像中に存在する主となる物体を認識させることが一般的となっており,画像中の様々な局所的な情報が欠落してしまっていた。そこで本研究では画像をセグメントに分割し,各セグメントからDeep Learningを用いた特徴抽出を行い,クラスタリングによって分類された各セグメントのクラスタ情報を局所特徴としたBag-of-Featuresを行い,ヒストグラム表現とすることで画像に存在する意味情報を反映したメタデータ生成を提案する。また,ヒストグラム間の比較にはクラスタ間の類似関係を反映した距離計算を行うことでクラスタ数が細かすぎる際に,似ている画像が類似画像として判定できない問題を解決した。実験では,デジタルアーカイブとして小袖屛風画像[9]を用いてヒストグラム間の比較を行うことでDeep Learning[7]を用いてBag-of-Featuresの応用を行うことの有効性,さらにクラスタ間の距離関係を反映した距離計算を行うことの有効性を示した。
著者
濱上 知樹
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.831-841, 1998-12-01

VCVを基本単位とする規則音声合成方式において, 発話速度の変化に対応することのできる, パワー時間変化パタン制御方法を提案する。提案に先立ち, 自然発声の発話速度変化に伴う, パワー時間変化パタンの変動について分析を行った。この実験結果に基づき, 音韻間の滑らかな変化(マクロパタン)と, 子音区間の細かい変化(ミクロパタン)を足し合わせるパタン制御方法を提案する。更に規則合成に応用するために, これら二つのパタンの合成に必要な, 制御パラメータテーブルとデータベースを, VCVパタンから作成した。本制御方法を用いた合成音の評価結果から, 本手法が, 自然なパワー時間変化パタンを合成する上で有効であることが明らかとなった。
著者
藤井 巧朗 濱上 知樹
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.1668-1677, 2023-12-15

機械学習システムは訓練データとテストデータが同一の分布に従うものと仮定した状況下で動作する場合が多い.しかし,それらの分布は異なることが多く,ドメインシフトにより実用時に性能が低下してしまうという問題がある.本論文では,自然言語処理分野におけるドメインシフトの課題を解決するために,事前学習済み言語モデル(PLM)のFine-Tuningプロセスに着目した教師なしドメイン適応(UDA)に取り組んだ.本論文はPLMのFine-Tuningプロセスにおいて,正規分布に従う低次元の特徴量を獲得すると同時にノイズを付与するGaussian Layerを提案し,タスクヘッドに適用することでドメインシフトを軽減する.実験結果より,Gaussian Layerは特にソース・ターゲットドメイン距離が遠いより困難な設定で優位であることが確認された.また,分布整合分析より,Gaussian Layerは従来のUDA手法と比較してソース・ターゲットドメイン分布を整合することが確認でき,ドメイン不変な表現を獲得できることを示した.
著者
佐々木 勇人 濱上 知樹
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J102-D, no.2, pp.68-78, 2019-02-01

本論文は検出問題におけるcost-sensitive learningに関して,検出率と偽陽性率のトレードオフを陽に扱うための学習アルゴリズムを提案する.一般的にcost-sensitive learningでは偽陽性及び偽陰性の検出に対して罰則値をあらかじめ定める必要があるが,検出対象の性質や正例データ・負例データ間の偏りに応じて適切な罰則値は変化する.そこで本論文ではBoostingの各ステップにおいて適応的にしきい値を調整することにより罰則値を間接的に決定する.この手法により偽陽性率を固定しながら検出率を最適化することが可能となり,検出率と偽陽性率のトレードオフを陽に扱うことが可能となる.更に,このトレードオフを扱う必要のある実問題として精子検出に関する評価を行い,提案手法の有効性を明らかにした.
著者
濱上 知樹 澤田 和人
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.134, no.9, pp.1282-1286, 2014 (Released:2014-09-01)
参考文献数
13

Study of heritage database and historical archive become an active area in multidisciplinary fields. The huge and high dimensional content is a sort of big data consisting of various kinds of information elements, and has valuable knowledge and the wisdom of mankind. This study focuses on Kosode Byobu collection which is antique fine art in Edo era. By analyzing high-resolution digital images of them and extracting knowledge structure by machine learning, we apply it for intelligent display and research of the art. This article introduces the background of the project and shows fundamental approach for tackling to retrieving intelligent structure and developing effective display technique.