著者
橘高 義典 今本 啓一 半井 健一郎 山田 一夫 宮里 心一
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.984-991, 2014 (Released:2015-11-01)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

東日本大震災での福島第一原子力発電所の事故により,放射性物質を有する汚染水が敷地内に大量に残留しており,それらの処理,一時保管,漏洩防止などが重要な課題となっている。また,外部に飛散した放射性物質により汚染された廃棄物などの処理,処分,再利用技術が必要とされている。本稿では,コンクリート工学の視点からこれらの問題に関連する既往研究,報告,技術提案などを概説する。
著者
半井 健一郎 蔵重 勲 岸 利治
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.3_3-3_6, 2011 (Released:2012-03-01)
参考文献数
6
被引用文献数
3 3

コンクリート構造物の耐久性能を直接的に確認することを目的とし,スイスでは,竣工時に非破壊の透気試験によって実構造物のかぶりコンクリートの品質(物質移動抵抗性)を検査するために必要となる指針を作成している。プロセス検査ではなく,最終的な製品の耐久性能を直接的に検査する本手法は,耐久性の確保や向上,技術開発につながるものと期待される新たな取組みである。本稿ではその概要を紹介する。
著者
伊藤 将志 半井 健一郎 林 明彦 河合 研至
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.210-215, 2014-02-25 (Released:2015-02-25)
参考文献数
4
被引用文献数
1

福島第一原子力発電所の事故により、広範囲に拡散した大量の放射性物質を適切に除染するとともに、汚染された災害廃棄物を適切に処理、処分することが求められている。そこで本研究では、モルタル中でのセシウムの吸着、浸透、溶出挙動を把握することを目的とした。実験結果から、セメントや各種細骨材にセシウムは吸着しにくく、飽水処理したモルタル供試体では、供試体表面および内部ともに80%ものセシウムは可溶性として存在していた。一方で乾燥させた供試体の表面付近では60%のセシウムが非可溶性であり炭酸化の影響が示唆された。
著者
前川 宏一 半井 健一郎 牧 剛史 千々和 伸浩 浅本 晋吾 石田 哲也 石原 孟 三島 徹也 石橋 忠良 田辺 成 坂田 昇
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

①ナノ流体モデルを拡張展開し,雨水の急速侵入,降雨後の蒸発散を高精度で評価可能とした。PC暴露試験体の曲率等の推移と水分計測から検証を重ねた。②水分準平衡と構造モデルを連成させ,中高層RC建物と原子力施設の中長期固有振動数の変化を予測できた。③浅地中ダクトの遅れせん断破壊を数値解析で予見し非破壊検査から現象を確認した。地盤との相互作用から長期せん断破壊が評価可能であることを示した。④ASRゲル,腐食ゲル,常温液状水,氷晶の混合移動を考慮できる数値解析モデルを開発した。⑤ASRに伴う構造損傷と凍結融解に伴う損傷に相互作用が強く表れること,これが部材のRC床版疲労延命化に寄与する機構が解明された。
著者
前川 宏一 東畑 郁生 石田 哲也 内村 太郎 牧 剛史 半井 健一郎 龍岡 文夫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

(1)土粒子間の連結空隙構造をセメント系複合材料の微細空隙構造モデルに導入し,物質平衡-移動-反応-変形解析に関する数値プラットフォームを開発し,拡張熱力学連成解析を土粒子間隙水の圧力と変形にまで連結させて,地震時の構造-地盤液状化解析と,構造中のコンクリートの過渡的な変性を追跡する多階層連結解析コードを完成させた。(2)コンクリートおよび地盤材料の水分保持能力の温度履歴依存性を実証し,過渡応答時の水分平衡モデルの精度を向上させた。大径空隙でブロックされる水分が高温時に急速に開放される状況が解明され,従来の定説を大きく変える契機を得た。セメント硬化体からのカルシウム溶出と自然地盤における吸着平衡モデルを,水和反応の過渡的状態に対して拡張した。(3)水和生成ゲルおよびキャピラリー細孔内の水分状態からセメント硬化体の巨視的な時間依存変形を予測するモデルを完成させ,分子動力学を適用し温度依存性に関するモデル化の高度化を図った。(4)鋼材腐食生成ゲルと周辺コンクリートのひび割れ進展,さらにゲルのひび割れへの浸入を考慮することにより,様々な条件下でのかぶり部コンクリートの寿命推定を可能にした。(5)飽和及び不飽和地盤中にRC群杭を設置した動的実験を実施し,初期振動状態から一気に液状化する厳しい非線形領域での杭と地盤の応答を詳細に分析した。土粒子構成則と多方向固定ひび割れモデルの結合で,地中埋設構造応答をほぼ正確に解析できることを示した。(7)非線形時間依存変形の進行モデルを弾塑性破壊型構成則の一般化で達成し,時間成分を取り除いた繰返し作用の影響度を、数値解析連動型実験から抽出することに成功した。ひび割れ面での応力伝達機構の疲労特性を気中・水中で実施し,高サイクル疲労に対応可能な一般化モデルを構築し,直接積分型高サイクル疲労破壊解析を実現した。
著者
石田 哲也 前川 宏一 半井 健一郎
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究の主たる成果は,以下の点に集約される.1.無機複合材料の硬化から劣化過程を時空間上で予測する熱力学連成解析システム「DuCOM」をベースに、微生物による有機物分解反応を逐一シミュレーション可能な「BioDuCOM」システムの構築に成功した.熱エネルギー,水分移動,および酸素移動と好気性微生物反応モデルを連成させることで,任意の形状,寸法,温度・湿度・通気に対する環境条件のもと,反応過程をシミュレーションするシステムである.限定された範囲ではあるが,温度,含水量,ならびに酸素を変化させた実験結果に基づきパラメータを設定することに成功した.モデルの一般化および高度化のためには更なる実験検証が必要であるものの,任意の廃棄物組成,温度,含水量,ならびに酸素供給量における反応を予測する数理モデルのプロトタイプを開発することに成功したのである.2.新しい原理に基づく有機系廃棄物のコンポスト化技術を提案した。最先端のコンクリート練混ぜ技術「MY-BOX」を改良・発展させ、コンポスト材料を対象とした重力駆動式かくはん・切返し装置「BioMY-BOX」を開発した。材料かくはん実験結果から,かくはん後の材料の均等性は手動かくはんと比べてほとんど差が認められなかった。ここで,かくはん工程に要する時間はわずか数秒であった。さらに,重力駆動型かくはん・切返し装置と発酵槽を鉛直直列に連結した自己切返し反応システム(STRシステム)を提案した。タイ王国における検証試験を通じて,STRシステムが妥当なかくはん・切返し性能を有すると共に,適切な発酵状態を実現することが明らかになった.