著者
田中 均
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.1-14, 2007-09-30 (Released:2017-05-22)

In this paper, I investigate the relationship between love and art in the novel Lucinde. First, I analyse two cases of disappointments in love experienced by the young painter-and protagonist-Julius, which are symbolised by certain aesthetic defects:Lisette could not respond to Julius' love because of her life as a prostitute, which corresponds to her sensualistic tastes. Likewise, Julius' fruitless love for a married woman gave rise to a strained style to his painting. Second, I focus on his relationship with Lucinde, in which they completely affirmed each other's individuality. The reconciliation with his own life through love brought grace and maturity to his art. This should be interpreted as the realisation of 'the romantic', which is defined in Schlegel's essay 'Dialogue on Poetry' as a combination of 'the sentimental' and 'the fantastic'. Third, I turn my attention to the distinction by Julius between male and female love. He believes that, in contrast to female love which is concentrated only towards one object, a man can develop friendships between multiplicities of mature spirits and thus complement his own individuality. From this, I draw the conclusion that, in this novel, a female artist is excluded from the artistic cooperation.
著者
田中 均
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.657-661, 1996-09-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

キャプトデイティブ(cd)効果に関する系統的な研究が高外子の分野でも最近始まった.低分子ですでに知られていたcdラジカル安定化効果以外に.高分子ではcd分極効果とも呼ぶべき新しいcd効果も見出された.cd化合物のラジカル重合挙動.cdポリマーの特性などについてこれまでの研究をまとめた.
著者
田中 均
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.284-288, 2005
参考文献数
12

図書館の理想や実態は, 利用者に正確に伝わっているとは言えない。図書館の存在やサービス, 社会的意義は何故理解されないのであろうか。これからの図書館広報のあり方を考察するために, 図書館における広報活動とPR活動の意義・必要性, 方法論を整理し, 現代的課題として情報化社会における利用者の意識の変化, 公聴活動の重要性, 広報内容の充実と注意点, パソコン利用, ウェブコンテンツJISを取り上げる。加えて改革の進む動物園から旭山動物園の事例を分析して, 堅実な理念に基づいた理想的な図書館の実現へ向けた図書館職員一丸となった努力が重要であることを明らかにする。
著者
濱 広幸 柏木 茂 日出 富士雄 田中 均 高橋 俊晴 鈴木 伸介 河合 正之 宮原 房史 南部 健一 武藤 俊哉
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008-05-12

独自の考案で設計・製作した独立2空洞型熱陰極高周波電子銃から引き出された電子ビームの縦方向位相空間分布を操作して、進行波加速構造を用いる速度圧縮法に最適な分布に整形し、100フェムト秒あるいはそれ以下の超短パルス電子ビームを生成する技術をほぼ確立した。加えて加速器システムを構築し、50MeVまでの電子ビーム加速に成功したことから、偏向磁石あるいはアンジュレータを用いてコヒーレントなテラヘルツ放射を発生できる光源加速器が完成され、法令が規定する放射線管理区域に適合した加速器研究施設を開設することができた。
著者
田中 均
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

当該年度の研究実績は、主に以下の三点に整理できる。(1)シュレーゲルの小説『ルツィンデ』(1799年)の研究成果を『美学』に投稿し、修正を経て掲載された。修正の段階では、芸術創造における親密性の役割についてのシュレーゲルの思想を、社会学者ニクラス・ルーマンの親密性に関する理論と関連づけて、シュレーゲルの歴史的な位置づけを明確にすることを試み、恋愛と友情との関係、親密性と芸術との関係についてシュレーゲルの思想に独自性があることを指摘した。(2)シュレーゲルにおける「新しい神話」と公教性/秘教性の問題を検討し、研究成果を国際美学会議で発表した(英語)ほか、『ドイツ文学』に研究論文として掲載された。論文執筆の過程において、重要な先行研究であるD.v.Petersdorff"Mysterienrede"との関係について再検討し、研究の独自性を明確にした。特に、1800年頃までのシュレーゲルは、公教性と秘教性を厳密に対立させず、両者の性格を併せ持った言語形態として「アイロニー」を構想したことを指摘した。(3)これまでの研究成果を統一的な視点のもとにまとめる作業を行った。具体的には、これまでに発表した研究実績を相互に関連づける、シュレーゲルの「アイロニー」、「ロマン的文学」の概念を改めて整理する、またシュレーゲルの各時期における文学ジャンルの理論を整理するなどの課題に従事した。シュレーゲルの理論をさらに歴史的コンテクストのうちにおく作業は、いまだ途中段階にある。