著者
田中 弘美 平井 慎一 徐 剛
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

研究期間内において、機能(記憶容量)を拡張した現有のPCクラスタ上にAdaptive Gridアルゴリズムを実装し,アルゴリズムの並列性を評価した.今年度購入のVolumeProを用いて,高次微分特徴に基づくアダプティブグリッドのモデリングおよびボリュームレンダリングの性能を評価した。また,柔軟物体の内部計測のための埋め込み用マイクロフォースセンサを試作した.さらに、代表者及び分担者らにより以下の研究項目について検討を進めた。・Adaptive Meshに基づく幾何&力学ベース適応的モデリング:レオロジー特性をもつ柔軟物体の変形/切断のリアリティベース・シミュレーションモデルを構築することを目的とし,レオロジー物体の3次元変形特性を表すために,体積効果を用いたパーティクルベースの幾何及び力学特性に適応的な格子モデルの研究を進めた.今年度はまず,現在の幾何形状に適応的な2次元Adaptive Meshを各格子要素にかかる外力と内力に適応的なDeformable Adatptive Meshに拡張し,変形及び切断に適応的なモデリング法を検討し,さらに,手術の事前プランニングを可能にする手術シミュレーションモデルの生成法を検討した.・Adaptive Gridに基づく高速ボリュームレンダリング法の開発:対象ボリューム空間を構成する四面体集合の隣接構造をAdaptive Grid表現の二分木構造からDual Graphとして自動抽出する方法と,Dual Graphを用いて各レイ(ray)に属する四面体集合を高速に選出するレイキャスティング法を提案し,ボリュームレンダリングの高速化を図った.・ボリュームデータを用いるAdaptive Gridに基づく並列領域抽出:本年度は,肝臓の実CTボリュームデータを入力として、1)ボリュームデータに含まれるすべての領域集合と,2)その位相関係記述,を同時に並列に抽出することを検討した.・独立形状を用いたnon-rigid位置あわせ法の開発:医用画像の位置あわせには,術前撮影された画像を,何らかの変換で術中の画像に精度よく重ね合わせて表示することを目標とする.Adaptive Grid生成時に抽出された微分特徴を用いて,平行や回転を計算する大域変換と,変形を計算する局所変換の二つからなる位置あわせを検討した.・柔軟物体埋め込み用マイクロフォースセンサを用いる内部計測:本年度は柔軟指の力学モデルを確立し,2mm角サイズの6軸のマイクロフォースセンサを内蔵した柔軟指の研究を進め,柔軟指で使われるマイクロフォースセンサを用いて,物体内部の変形挙動を計測する方法を検討した.さらに,二液混合型のシリコンゴムを用いて様々な粘弾性を有するテストピースを作成し,その中の様々な位置にセンサを埋め込み、加重による内部変化をMR画像により観測し分析する方法を検討した.