著者
田中 直樹 飯野 陽一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.2824-2833, 2004-12-15
参考文献数
6
被引用文献数
4

公開鍵認証基盤(PKI)では,Certificate Revocation List(CRL)を使って,証明書の失効を確認する方法が提案されている.CRL はCertificate Authority(CA)ごとに発行されるが,検証者は全CRL のうちの必要なCRL だけを取得すればよいこと,および1 度取得したCRL を保存しておくことで,同一のCRL の取得はたかだか1 度ですむことにより,CRL 取得に必要な通信量が減ることが期待される.本稿では,PKI での主な証明書の失効方式である完全CRL 方式とδ-CRL 方式について,確率論的な取扱いにより,検証者が同一のCRL の取得をたかだか1 度しか行わない場合の通信量の理論式を導いた.その評価結果から,検証者が必要なCRL だけを取得することで通信量が下がるのは,認証頻度がCRL の発行頻度とCA 数の積に比べて十分低い領域に限られ,認証頻度がそれより高い領域では,通信量はすべての検証者がすべてのCRL を取得するのと同等で,Entity数の2 乗に比例することが分かった.また,δ-CRL 方式については,認証頻度が十分大きい場合には,通信量を最小化するbase-CRL とδ-CRL の発行間隔の比がCA の数とは無関係に決まることを示す.In Public Key Infrastructure (PKI), it is proposed that a verifier checks a validity of certificate by Certificate Revocation Lists (CRLs) issued by Certificate Authorities (CAs). A verifier obtains only a necessary part of CRLs and, by preserving CRLs once obtained, a verifier needs not obtain the same one more than once. Therefore CRL is expected to reduce the volume of communications necessary for certificate revocation. In this paper, for full-CRL and δ-CRL methods, we take into account the fact that one CRL is obtained by one verifier at most once and we derive the volume of communications necessary for certificate revocation based on probability theory. The result shows that the effect that a verifier obtains only a necessary part of CRLs reduces the volume of communications only when the frequency of authentications is sufficiently lower than the product of the frequency of CRL issuances and the number of CAs. When the frequency of authentications is higher than the product, the volume of communications becomes comparable to that in the case that all verifiers obtain all CRLs and is proportional to the squre of the number of all entities. Furthermore, for the δ-CRL method, it is proved that there exists an optimal ratio between a frequency of base-CRL issuances and a frequency of δ-CRL issuances independent of the number of CAs if the frequency of authentications is high enough.
著者
高尾 敏文 斉藤 秀之 田中 直樹 飯塚 陽 奥野 純子 柳 久子
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.180-187, 2011-06-20

【目的】本研究の目的は,慢性期脳卒中患者に対する体重免荷トレッドミル歩行練習(BWSTT)の即時効果について明らかにすること,さらに継続介入による効果と合わせて,BWSTTによって歩行能力がどのように変化していくのかを示すことである。【方法】対象は,慢性期脳卒中患者8名であった。内訳は,年齢(平均±標準偏差)は59.0±9.0歳,性別は男性6名・女性2名,片麻痺の原因疾患は脳出血5名・脳梗塞3名,麻痺側は右7名・左1名であった。週3回・4週間(計12回)のBWSTTを実施した。【結果】BWSTT実施前後では,歩行速度は実施前に比して後が有意に速く,歩幅は実施前に比して後が有意に広がった。継続介入による効果では,快適歩行速度,最大歩行速度,最大歩幅および最大歩行率で有意な改善を認めた。【結論】慢性期脳卒中片麻痺患者に対するBWSTTによる歩行速度の改善は,即時的には歩幅の改善,経時的には歩行率の改善による可能性が示唆された。
著者
〓橋 沙織 勝股 理恵 吉澤 久美 八巻 桃子 大迫 美由紀 村上 満利子 毛利 さやか 佐藤 みずき 目黒 寛子 久保倉 寛子 広瀬 佳苗 田中 直義 渡辺 杉夫 木内 幹
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.454-461, 2005
被引用文献数
5 1

1. 中国雲南省の淡豆〓から分離した細菌でわが国の糸引納豆を製造した結果, 撹拌すると豆の形が完全に崩れてしまうほど軟らかい納豆を製造することができる菌, KFP843を見いだした. 同定の結果, KFP843株は<i>Bacillus subtilis</i>に属する菌であった.<br>2. <i>B. subtilis</i> KFP843の納豆製造には2種類の温度プログラムを用いたが, KFP843株の最適生育温度である43℃を初発温度とする製造プログラムが適しており, 製造した納豆の硬さは, 市販納豆の硬さを100%とすると, それは約40%の硬さに仕上がった.<br>3. ホルモール窒素は市販納豆のそれが0.94%であったのに対し, 本菌株で製造した納豆は0.28ないし0.38%であった. また糸引きは市販納豆よりもやや弱く, 相対粘度は市販納豆のそれが2.06であったのに対し, 1.10ないし1.21であった.<br>4. 官能検査では, 菌の被り, 豆の割れ・つぶれ, 硬さの項目で市販納豆に比べて有意に良い評価 (p<0.05) であった. 市販納豆に比べて有意に (p<0.05) 糸引きは弱いが, 豆が軟らかいという評価を得た.
著者
西口 正之 井上 晃 前田 祐児 松本 淳 田中 直也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.98, no.424, pp.27-34, 1998-11-20
被引用文献数
5

本稿では、MPEG-4標準化に提案中の低ビットレート音声符号化方式Harmonic Vector eXcitation Coding(HVXC)について、その構成を説明する。HVXCは2.0kbpsおよび4.0kbpsの固定ビットレートモードと、2.0kbps以下の可変ビットレートモードを有している。符号化アルゴリズムとして、有声音部分においてはLPC残差のハーモニックコーディングを、無声音部分においてはCELP方式を用いることで低ビットレートでも良好な音声品質を得ている。主な特徴として、4.0kbpsのビットストリームのサブセットを用いて2.0kbpsで復号するビットレートスケラビリティー機能、音韻やピッチを変えずに再生スピードをコントロールする機能などがある。98年8月のMPEGの公式主観評価試験の結果、2.0kbps HVXCの音質は4.8kbpsのFS1016 CELPの音質よりも優れていることが確認された。HVXC音声符号化方式は1998年10月にMPEG-4 Final Draft International Standard(FDIS)に選定された。