著者
若菜 宣明 中林 敦代 本間 和宏 大松 孝樹 平井 香織 田中 越郎
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.44-48, 2007
参考文献数
19

ビルベリーは夜間視力を改善するといわれている。しかしいくつかの臨床試験が試みられているものの,はっきりした結果は出ていない。ブルーベリーはビルベリーと近縁の植物で,日本ではビルベリーとしばしば混同されている。従って多くの日本人はブルーベリーが視力改善に効果があると思っているが,ブルーベリーの眼機能に関する研究はほとんどなされていない。本研究ではブルーベリーが眼機能を改善するか否かを調べた。7人の健康成人に10gの乾燥ブルーベリーを摂取させ,4時間後に眼機能を評価した。暗順応時間,視野,流涙量(シルマー試験で評価),まばたき回数,自覚所見には改善は見られなかった。また,10人の健康成人に毎朝7gの乾燥ブルーベリーを21日間摂取させたところ,やはり暗順応時間,視野,流涙量,まはたき回数,自覚所見には改善は見られなかった。すなわち,今回の17人の被検者で調べた限りでは,一般的摂取量のブルーベリーでは明らかな眼機能改善効果は見い出せなかった。
著者
若菜 宣明 中林 敦代 本間 和宏 大松 孝樹 平井 香織 田中 越郎
出版者
JAPAN HEALTH MEDICINE ASSOCIATION
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.44-48, 2007-07-31 (Released:2017-12-28)
参考文献数
19

ビルベリーは夜間視力を改善するといわれている。しかしいくつかの臨床試験が試みられているものの,はっきりした結果は出ていない。ブルーベリーはビルベリーと近縁の植物で,日本ではビルベリーとしばしば混同されている。従って多くの日本人はブルーベリーが視力改善に効果があると思っているが,ブルーベリーの眼機能に関する研究はほとんどなされていない。本研究ではブルーベリーが眼機能を改善するか否かを調べた。7人の健康成人に10gの乾燥ブルーベリーを摂取させ,4時間後に眼機能を評価した。暗順応時間,視野,流涙量(シルマー試験で評価),まばたき回数,自覚所見には改善は見られなかった。また,10人の健康成人に毎朝7gの乾燥ブルーベリーを21日間摂取させたところ,やはり暗順応時間,視野,流涙量,まはたき回数,自覚所見には改善は見られなかった。すなわち,今回の17人の被検者で調べた限りでは,一般的摂取量のブルーベリーでは明らかな眼機能改善効果は見い出せなかった。
著者
若菜 真実 山﨑 裕子 岩佐 太一朗 武藤 美紀子 部谷 祐紀 本間 和宏 田中 越郎 若菜 宣明
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.222-231, 2018

<p>女性には,性周期が存在し,それにより,頭痛,眠気,排便困難など精神的・肉体的にもさまざまな影響を受ける。これらの不定愁訴は,月経前および月経期に強く出現している。本研究では,主観的な排便に対する意識と客観的便の形状について,性周期との関連性を解析した。対象者は,20-30歳の健康な女性17名とし,28日間にわたる排便記録・食事記録・月経記録,さらに初日に主観的な排便に対する意識アンケートと体組成計測を行った。排便記録は,排便時刻,1日の回数,およびブリストルスケールを用いて便の形状を記載させた。 主観的な排便に対する意識へのアンケートでは,15人(88%)に主観的変動があった。性周期による便の形状の変動では,黄体期後半に便秘気味になった者が10人(59%),月経期に下痢気味になった者が10人(59%)であった。ブリストルスケールによる客観的変動の平均は黄体期前半 4.2±0.6,黄体期後半3.8±1.0,月経期4.3±1.0,卵胞期 4.2±0.9であり,大きな変動は認められなかった。しかし9人(53%)において性周期を通して1.1ポイント以上の客観的変動があった。12人(71%)は主観的変動と客観的変動が一致していた。5人(29%)は主観のみの変動であった。排便回数では12人(70%)に変動が認められ,うち7人(41%)が黄体期後半に変動がみられた。このように多くの女性には,性周期によって主観的にも客観的にも排便に対する意識および便の形状の変動が認められた。</p>
著者
若菜 真実 山﨑 裕子 岩佐 太一朗 部谷 祐紀 白井 智美 本間 和宏 福山 直人 田中 越郎 若菜 宣明
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.68-73, 2019

<p>近年,便秘や下痢などの腸のトラブルに対する腸内環境が注目されている。腸内環境を改善するために,日本ではプロバイオティクスとして様々な発酵食品およびプロバイオティクス飲料が日常的に販売されている。特に,「こうじ菌(<i>Aspergillus oryzae</i>)」は,日本で1千年以上前から,酒,味噌,醤油を発酵させるために使用されてきた。「こうじ菌」については食品の抗酸化活性や抗菌性の増強またうま味向上に関する多くの研究があるが,ヒトの腸の改善に関する研究は報告されていない。そこで,こうじ含有食品の摂取がヒトの排便状況と糞便中の細菌数に及ぼす影響について評価をした。被験者は30代から50代3人(男性2名,女性1名)の健康成人とした。被験者には甘酒(1日1本125mL)または生塩こうじ(1日7.5g)を14日間摂取させた。0日目,7日目,14日目,35日目に採便を行い,便中の総菌数,さらに有用菌の代表として<i>Bifidobacterium</i>, 日和見菌の代表として<i>Enterobacteriaceae</i>, 有害菌の代表として<i>Clostridium perfringens</i>のそれぞれの菌数を測定した。また,排便に関するアンケート調査も行った。被験者には排便頻度と主観を記録してもらった。全期間を通して糞便中の総菌数および3種類の菌の細菌数に変動は認められなかった。しかし,こうじ含有食品摂取によって排便回数の増加や便の形状が良くなることが明らかとなった。したがって,こうじ含有食品摂取を日常的に摂取していくことは,安定した腸内環境と便通を保つのに有用である可能性が示唆された。</p>
著者
若菜 真実 山﨑 裕子 岩佐 太一朗 白井 智美 部谷 祐紀 武藤 美紀子 本間 和宏 田中 越郎 榎本 眞理 若菜 宣明
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.423-428, 2019 (Released:2019-07-26)
参考文献数
10

近年、食物アレルギーへの対応は重要な課題である。その対応法の1つに代替食がある。複数の代替食を考案した際、その中から最適な代替食を選び出す客観的な評価方法はまだ確立されていない。そこで最適な代替食を選び出す方法を検討した。16種類の食物アレルギー代替食品を作成し、「味」、「食感」、「風味」、「外観」の4項目を5点満点で採点した。この点数をもとに、総和値、和積値、総積値を算出し、和積値はレーダーチャートも作成した。総和値は、算出が簡便であったが、候補間の差が小さかった。和積値に関しては、レーダーチャートを用いることで候補間の評価が可視化でき、傾向を素早くつかめた。総積値は、候補間の差が最も大きく評価しやすかった。簡便さを求める際は総和値を、各候補食品の特徴を一目で判断する際は和積値とレーダーチャートの組み合わせを、候補食品間の差を大きく出す際は総積値を用いることが有用であると考えられた。
著者
若菜 宣明 軣木 喜久江 一場 博幸 田中 越郎 樫村 修生 本間 和宏
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.171-177, 2015

近年,健康の維持・増進を主眼としたヘルスツーリズムが注目されている。宿泊施設の食事は,栄養成分表示がされていることが少なく,また,ヘルスツーリズムでの利用に適しているか検討した報告も見られない。本研究では,群馬県片品村の4つの宿泊施設の食事がヘルスツーリズムの食事として適しているかどうかについて検討した。対象には50代男性を想定し,これに対して日本人の食事摂取基準(2015年版)で設定されているエネルギーおよび各栄養素の目標量ないし推奨量を50代男性基準値として,片品村の4施設にて実際に提供された夕食と朝食のエネルギー量および各栄養素量を比較検討した。また,現在の日本人の食生活状況と比較するため平成25年度国民健康栄養調査結果の全国平均値との検討も併せて行った。片品村の宿泊施設の食事は,ミネラルやビタミン,食物繊維が豊富であり,エネルギーや各栄養素を十分補給できる内容であった。しかし,脂質やたんぱく質エネルギー比率,食塩が多かった。そのため,宿泊施設の食事の食塩を減らし,炭水化物主体の軽食を昼食に摂ることで,宿泊施設の食事はヘルスツーリズムでの食事として健康の維持増進に寄与できると考えられた。したがって,片品村の宿泊施設の食事は,宿泊施設の食事の食塩を減らし,昼食を炭水化物主体の軽食にすることで,ヘルスツーリズムに適した食事になると考えられた。
著者
多田 由紀 川野 因 田中 越郎 前田 良之 高橋 英一 古庄 律 上岡 美保 日田 安寿美 新村 洋一 貝沼 章子 高野 克己 Yuki Tada Kawano Yukari Tanaka Etsuro Maeda Yoshiyuki Takahashi Eiichi Furusho Tadasu kamioka Miho Hida Azumi Niimura Youichi Kainuma Akiko Takano Katsumi 東京農業大学応用生物科学部栄養科学科 東京農業大学応用生物科学部栄養科学科 東京農業大学応用生物科学部栄養科学科 東京農業大学応用生物科学部生物応用化学科 東京農業大学応用生物科学部教養分野 東京農業大学短期大学部栄養学科 東京農業大学国際食料情報学部食料環境経済学科 東京農業大学応用生物科学部栄養科学科 東京農業大学応用生物科学部バイオサイエンス学科 東京農業大学応用生物科学部醸造科学科 東京農業大学応用生物科学部生物応用化学科 Department of Nutritional Science Faculty of Applied Bio Science Tokyo University of Agriculture Department of Nutritional Science Faculty of Applied Bio Science Tokyo University of Agriculture Department of Nutritional Science Faculty of Applied Bio Science Tokyo University of Agriculture Department of Applied Biology and Chemistry Faculty of Applied Bio Science Tokyo University of Agriculture Fundamental Arts and Science Faculty of Applied Bio Science Tokyo University of Agriculture Department of Nutrition Junior College of Tokyo University of Agriculture Department of Food Environment Economics Faculty of International Agriculture and Food Studies Tokyo University of Agriculture Department of Nutritional Science Faculty of Applied Bio Science Tokyo University of Agriculture Department of Bio-Science Faculty of Applied Bio Science Tokyo University of Agriculture Department of Fermentation Sciences Faculty of Applied Bio Science Tokyo University of Agriculture Fundamental Arts and Science Faculty of Applied Bio Science Tokyo University of Agriculture
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.322-329,

応用生物科学部1年生を対象に,食育トライアル授業として,食の生産,安全管理,健康管理などに関する10回の講義と2回の農業体験(種まき,収穫作業等)を実施し,学生の授業への出席状況及び授業前後のアンケートによって,プログラムの内容および学生の食育に対する知識,意欲等の変化を評価した。応用生物科学部全学科の学生に授業への参加を呼びかけた結果,授業の出席者は27名であり,栄養科学科の学生が20名と最も多く,参加学生の学科構成に偏りがみられた。授業の初回に行ったアンケートの回答者は24名,最終回に行ったアンケートの回答者は11名であった。授業後のアンケートでは,「食育活動への興味は深まったか」「知りたい情報は得られたか」「参加後,農業と食の関連に対する考えが変わったか」「授業として開講された場合受講するか」という問いに対し,それぞれ73~91%が「はい」と回答し,「授業への総合的な満足度」についても73%が「(非常に)満足である」と回答した。「農業」に原点をおいた食育トライアル授業によって,食べ物の成長を通した気づきと感動,生産者への感謝の気持ち,環境への配慮,栄養と健康との関連知識の習得等に寄与することができたと考えられる。今後は授業への参加者数を増やし,結果の一般化可能性について検討するとともに,授業の実現に向けた人的・物的資源の問題について検討する必要がある。We aimed to evaluate changes in both knowledge of dietary education (Shokuiku) and in motivation, in first-year students of the Faculty of Applied Biosciences who attended a voluntary Shokuiku program in 2008. The program comprised 10 lectures on food production, safety management, and health management, as well as 2 farming practicum classes (seed sowing, harvesting, etc.). Twenty of the 27 students who attended the courses belonged to the Department of Nutritional Sciences. We received responses from 24 and 11 students to questionnaires administered before and after the program, respectively. We obtained a "yes" answer 73-91% of the time in response to the following questions : 1) Was your interest in dietary education activities enhanced? 2) Were you able to obtain the information you sought? 3) After attending these courses, did your understanding of the relationship between farming and diet change? and 4) Would you take this course if it were officially offered as a class? Seventy-three percent of students replied that they were very satisfied with the courses. By placing "farming" as the central principle, these courses contributed to food awareness and appreciation, feelings of gratitude toward producers, consideration for the environment, and knowledge acquisition about the relationship between nutrition and health. Future studies should address the generalizability by examining a larger pool of participants. In addition, other issues such as human and material resources should be considered in realization of the Shokuiku program curriculum.
著者
川野 因 樫村 修生 田中 越郎
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

平成16年度は大学男子陸上長距離選手41名を対象に選手の希望と5月期のヘモグロビン濃度をもとに鉄剤非摂取(N、13名)群と鉄剤摂取群に、さらに鉄剤摂取群はランダムにヘム鉄摂取(H、14名)群とクエン酸鉄摂取(C、14名)群に分けた。市販の鉄剤は5月期から7月期までの2ヶ月間に一日7mgの鉄量を摂取させ、調査期間は5月から9月までの4ヶ月間のうち、5月から7月が鉄剤摂取期、7月から9月期の2ヶ月間は鉄回復期とし、血液状態及び栄養素等摂取量を調査した。一日あたりの食事由来の鉄摂取量は5月期、7月期、9月期において、時期および鉄剤摂取の有無による有意な差は見られなかった。5月期の体内鉄状態は低ハプトグロビン濃度(hp)で示される「溶血」発現選手が41名中21名であり、すべての群で同様に出現していた。貧血発現者は5月期から7月期での期間中でそれぞれ4名、9月期に7名が観察された。H群とC群で9月期の増加が認められた。鉄飽和率はN群で5月期に比べ7月、9月に低下したものの、H群、C群では有意な変動が見られなかった。H群でhp濃度の増加が見られ、低hpを示す選手の割合も減少した。鉄補足なしのN群で貧血出現者が最も少なかったことから、体内鉄状態の良い選手は少ない鉄摂取を効果的に活用できる可能性が、一方、体内鉄状態が不足する者は鉄剤を使って摂取量を増やしても十分な赤血球合成ができない可能性が示唆された。平成17年度は食教育に力点を置き、パフォーマンス向上に向けた選手の日常食生活の気づきを促すことを目的として、半年間に渡る栄養教育を実施した。期間は5月から9月までの4ヶ月間であり、月2回の講義による食・栄養知識の提供、月1回の食物摂取状況調査、月1回の間食や日曜日の食事の取り方調査を実施するとともに、栄養教育の結果評価には食・栄養テスト、食事摂取実態調査を行った。その中でも、5月の調査時に最も摂取不足が見られた牛乳・乳製品と果物、野菜類摂取に焦点を当てて、教育・指導した。5月期に比べ6月期、7月期と選手の栄養・食品に関する知識は増加し、牛乳・乳製品の選択頻度も増加した。しかし、9月期の食品選択状況は5月期にまで低下した。意識や習慣の定着には3ヶ月間という教育期間・時間が短い可能性が考えられた。
著者
樫村 修生 川野 因 田中 越郎 前田 直樹 関口 健
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.119-124, 2004-12

本研究では,箱根駅伝出場をめざす大学陸上競技長距離選手において,短期的な高所トレーニング合宿時の栄養調査およびHb濃度測定を実施した。ヘモグロビン濃度は8名が低下傾向を示す,いわゆる貧血症状であった。貧血傾向にある選手にヘム鉄剤を服用し,貧血の改善が可能かどうか検討した。その結果,鉄剤服用選手は,合宿直後および2週間後においてヘモグロビン濃度が改善された。また,合宿前のHb濃度は,1年生が4年生の濃度より有意に低かった。また,本合宿時における1日の鉄分摂取量は平均10.5mgであり,不足気味であった。我々は,貧血検査,鉄剤服用および栄養改善などの貧血予防対策により箱根駅伝出場を果たすことができたと推察する。