著者
家中 茂 興梠 克久 鎌田 磨人 佐藤 宣子 松村 和則 笠松 浩樹 藤本 仰一 田村 隆雄
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

中山間地域の新たな生業として自伐型林業をとりあげた。技術研修や山林確保など自治体の支援を得ながら新規参入している地域起こし協力隊の事例や旧来の自伐林業者が共同組織化しつつ地域の担い手となっている事例など、産業としての林業とはちがう価値創造的な活動がみられた。典型的な自伐林家の山林における植物群落調査では、自然の分布を反映した地形に応じた分布がみられ、自然を活かす森林管理の手法として注目された。
著者
田村 隆雄 能田 慎也 武藤 裕則
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.I_469-I_474, 2012 (Released:2013-03-26)
参考文献数
8

A lot of slope failures were generated by Typhoon No.17 in 1976 and Typhoon No.10 in 2004 in the upstream of the Nakagawa River located in southern Tokushima Prefecture. Shallow slope failures were generated in Typhoon 200410 while deep slope failures were generated in Typhoon 197617. In this study, the maximum value and time series of subsurface water storage on forest slopes were estimated using a distributed runoff model, and the reason why the form of slope failure is different was discussed. We found that: (1) the collapsing forest slopes have large capacity of subsurface water storage. (2) the ratio of groundwater storage to soil water storage became large on the slope where a deep collapse was generated. (3) the ratio of soil water storage to groundwater became large on the slope where a shallow collapse is generated. (4) rain-fall intensity and its waveform are related to the generation form of slope failure, too.
著者
端野 道夫 田村 隆雄 末永 慶寛 山中 稔
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

2007年台風4号に伴う大雨時に,香川県馬宿川流域(地質:砂岩・泥岩,土地利用:森林)と香川県鴨部川流域(地質:風化花崗岩,土地利用:森林・田畑・宅地が混在)を対象に,(1)山地渓流水の詳細な雨水・物質流出観測ならびに数理モデル・シミュレーションの実施と,(2)洪水ピーク前,ピーク直後,及びピーク後における源流部から河口部までの河川水濃度の観測を実施し,地質や土地利用の相違が雨水・物質流出機構に与える影響について数量的に検討した.なお一雨降水量は共に約200mmであった.特に重要な知見を以下に示す.1.砂岩・泥岩質の馬宿川の方が雨水の直接流出率が高いため,小規模降雨であっても馬宿川の方が,物質流出量が多くなる特徴がある.2.森林域での地下水涵養量は,風化花崗岩の鴨部川流域の方が大きいため,地下水帯からの単位時間当たりの物質溶出量は鴨部川流域の方が大きい.(SiO_2の場合で1.6倍)3.珪酸は山地森林域を流出源とするため,土地利用が高度化した鴨部川流域(森林域42%)では馬宿川流域(森林域100%)と比較して流出比負荷量は小さくなる,(SiO_2の場合で46%減)残念ながら,大雨前まで小雨であったこと等から海域の水質にまで影響を与えるような洪水規模とはならず,2流域に隣接する海域の調査・解析はできなかったが,ほぼ同じ降雨波形,降水量のもと,異なる地質,土地利用が雨水・物質流出機構に与える影響について数理モデルを用いて具体的に評価できたことは,非常に重要な成果であったと考える.
著者
田村 隆雄 中内 章浩 小河 健一郎
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 第23回(2010年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
巻号頁・発行日
pp.64, 2010 (Released:2010-12-01)

平成21年台風9号豪雨で発生した佐用川洪水について,雨量・水位データを用いた流出モデルパラメータ同定法を使って,水位ハイドログラフの再現,洪水ピーク流量の推定,佐用水位観測所における水位-流量曲線の作成,及び流域の洪水低減機能に関する考察を行った.その結果,ピーク流量は約910m3/s,右岸堤防越流時の流量が780m3/s,流域の表層土壌層は極めて薄く,洪水低減機能の低い森林流域であること等が推察された.
著者
田村 隆雄
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

吉野川流域および那賀川流域の森林流域を対象に大雨時の洪水低減機能と斜面崩壊危険性の関係について考察した.特に那賀川流域について日雨量の日本記録(当時)を更新した昭和51年台風17号や平成16年台風10号等を対象に行った流出解析から,流域の貯水能が最大になっても直ちに斜面崩壊が発生していなかったと推測され,洪水低減機能(貯水能)の大きさが斜面崩壊危険性の増大に直接繋がることはないこと,地中水量よりも直前の降雨強度がより大きな影響を与えているという推論を得た.
著者
田村 隆雄
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は入手が容易な河川水位データや地形図データを元に,中小流域以上の河川流域に置いて,雨水流出や物質流出を容易に行うことのできる汎用的な分布型流出モデルを構築することが目的である.平成19年度は,雨水流出については,一級河川吉野川上流域を対象にした流出解析を行い,森林斜面の保水能の評価などを行った.物質流出については,小雨年であったため使用に耐えうる洪水時の水質データを観測することができずモデル解析も行えなかったが,吉野川上流域の本流及び支流(例:貞光川,銅山川など)対象にした,平水時の詳細な水質観測を通して,土地利用状況や地質と水質特性(溶質濃度やヘキサダイヤグラムの形状特性)との関連性を検討し,物質流出を対象とした分布型流出モデル構築のための重要な知見の蓄積に努めた.成果をまとめると以下の通りである.1.雨水流出を対象とした分布型流出モデルを吉野川上流域の洪水時水文データに適用して,小流域毎(1km^2〜25km^2)の保水能の評価を行うことができた.植生の異なる岩木川上流域の森林流域の保水能と比較したところ,スギ人工林である吉野川上流域の保水能とブナ天然林の岩木川上流域の保水能はほぼ等しいという知見を得た.2.貞光川,銅山川,早明浦ダム上流の吉野川の3流域を対象にして,1流域当たり20箇所程度の詳細な平水時水質観測を行い,土地利用状況や地質と水質特性の関連性を検討した.その結果,珪酸は地質地形(崩壊地)及び土地利用(鉱山)の影響を強く受けること.硝酸は田畑や集落の近くで濃度が高いほか,上流での用水取水があるとその下流の濃度が高くなる傾向があることなどが分かった.