著者
畑本 裕介 畑本 裕介 HATAMOTO Yusuke ハタモト ユウスケ Hatamoto Yusuke
出版者
山梨県立大学
雑誌
山梨県立大学人間福祉学部紀要 Bulletin of Faculty of Human and Social Services, Yamanashi Prefectural University (ISSN:21874344)
巻号頁・発行日
no.8, pp.13-24, 2013

この論文の目的は、地方都市・農村部の地域空間生産の現状を分析し、今後のあり方を構想するための論点整理を行うことである。地域空間は、資本主義的空間生産と地域再生戦略の二つの立場が対抗しつつ生産される。この論文では、両者の対抗関係を認識の前提としつつ、現在の空間生産のあり方を空間の「縮小戦略」と「維持戦略」に分類していく。縮小戦略では、スプロール現象への批判や商店街振興の問題点などを取り上げる。維持戦略では、自然環境や限界集落への対応や人びとの生活感覚にまつわる問題などを取り上げる。その後、今後空間生産を考える際の留意点として、①移動性を前提とすること、②地域という形而上学にとらわれないこと、③資本主義的空間生産と地域再生運動のバランスをとること、の三点を取り上げる。
著者
畑本 裕介 Yusuke Hatamoto
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.11-24, 2018-03-01

この論文は、社会福祉行政における専門性概念がこれまでどのような意味合いを担い、これからどのような意味合いを担うようになるかを考察するものである。社会福祉行政においては社会福祉主事という福祉専門職が雇用されているが、その専門性は、行政庁内における他部局から分離するための意味合いが第一に求められていた。こうした専門性の考え方を、この論文では専門性の「形式的理解」と呼んだ。専門性の形式的理解においては、専門性の内実は、経験年数をはじめとした「熟練」で代替されるものであった。しかしながら、社会福祉士という国家資格が整備されたり、行政庁内において社会福祉行政の比重が高まったりすると、こうした形式的理解では不十分となっていく。代わって、求められるようになるのは、専門性の「本質的理解」である。この論文では、新たな専門性理解において求められる要素についても考察している。それは、①特別性を持つ対象への相談事務、②社会福祉計画策定技術、③庁内外での社会福祉関連知識の普及者としての役割、の3つである。
著者
畑本 裕介 Yusuke Hatamoto
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.1-14, 2020-03

社会福祉行政研究に関係するミクロ権力論には、社会学権力論と行政学的権力論の二つの流れがある。この論文では、行政学的権力論を切り開いたリプスキーのストリート・レベルの官僚制(SLB)論を大きく取り上げ、社会福祉行政研究におけるその適用可能性について検討している。また、SLBの在り方が現代において変化した要因についても考察している。それは行政への批判的態度の増大、ガバナンス改革、福祉専門職の行政への進出といったものである。井上恒男教授退職記念号退職記念論文(Article in commemoration of the retirement of Professor Tsuneo Inoue)
著者
畑本 裕介
出版者
山梨県立大学
雑誌
山梨県立大学人間福祉学部紀要 (ISSN:18806775)
巻号頁・発行日
no.5, pp.1-15, 2010
被引用文献数
1

本稿は、いわゆる「限界集落論」を批判的に検討し、さらに実際の調査でこうした集落の姿を違った角度から明らかにしようとするものである。限界集落論とは、疲弊する地方の中でも高齢化が進み地域経済の担い手が喪失しつつある集落を限界集落と名づけ、その集落の困窮を明らかにする主張である。とはいえ、現実のそうした集落は、外部との交流が閉ざされているわけではないし、自動車などの交通手段の発達のために周辺の地方都市と密接に結びついて日常交流圏を形成している。また、こうした集落の生活者も高度に自立した人々であり、その生活は悲惨でも憐憫の対象でもない。地域の悲惨さを強調する議論は、無駄な地域の再開発や復興の議論に結び付く危険がある。本稿はこうした傾向には継承を鳴らし、真に必要なのは生活者の現在の生活を快適なものとするためのメンテナンスを行う地域福祉であると主張する。手続きとして、まずは限界集落論についての概要の説明とその批判的検討を行った。次に、著者の行った調査の対象地域である山口県山口市徳地地域の概要を紹介した。その後、地域調査の結果を検討し、もう一度限界集落論の主張と、ここで明らかになった事実をつき合わせ、地域生活の生活基盤維持のために真に必要な方策の方向性について提案した。最後に、著者が提唱する「空間戦略」概念に基づいた地域の把握の仕方でもってこの地域の状況を改めて俯瞰しまとめとした。
著者
畑本 裕介 畑本 裕介 HATAMOTO Yusuke ハタモト ユウスケ Hatamoto Yusuke
出版者
山梨県立大学
雑誌
山梨県立大学人間福祉学部紀要 (ISSN:21874344)
巻号頁・発行日
no.11, pp.17-30, 2016-03-16

この論文の目的は、戦後日本におけるナショナル・ミニマム論の展開を追いかけ、この議論の可能性と限界を探ることである。ナショナル・ミニマム概念は、その起源から、最低生活費保障に留まらない多義的なものであった。その多義性が歴史的にどう展開したかを追い、ナショナル・ミニマム概念の現代社会福祉行政における位置付けを明らかにする。まずは、第2節において、本来多義的であったウェッブ夫妻が生み出したナショナル・ミニマム概念が、ベヴァリッジ報告に受け継がれる際に最低生活費保障に意味合いを限定させたことを確認する。第3節において、1960年代後半にナショナル・ミニマム概念が、シビル・ミニマム概念やソーシャル・ミニマム概念といった概念に姿に変え、その多義性を取り戻す状況について確認する。第4節では、多義的となったナショナル・ミニマムが、中央集権的再分配機構の手段に転嫁した結果、地方分権論者によって批判の対象となってしまったことを確認する。その後、ナショナル・ミニマム論を擁護する立場からの抵抗が起こったことについても確認したい。最終節においては、ナショナル・ミニマム概念の今後を考察し、社会福祉行政におけるこの概念の可能性について検討することにしたい。
著者
畑本 裕介 Yusuke Hatamoto
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.1-14, 2020-03-01

社会福祉行政研究に関係するミクロ権力論には、社会学権力論と行政学的権力論の二つの流れがある。この論文では、行政学的権力論を切り開いたリプスキーのストリート・レベルの官僚制(SLB)論を大きく取り上げ、社会福祉行政研究におけるその適用可能性について検討している。また、SLBの在り方が現代において変化した要因についても考察している。それは行政への批判的態度の増大、ガバナンス改革、福祉専門職の行政への進出といったものである。