著者
瀬川 典久 澤本 潤 矢澤 正人 美濃 英俊 花田 隆貴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ASN, 知的環境とセンサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.166, pp.185-188, 2014-07-23

低電力、長距離通信が可能な狭帯域スペクトラム拡散通信mad-ssを開発し、運用を行っている。狭帯域スペクトラム拡散通信MAD-SS技術を利用したセンサネットワーク用モジュールMAD-SSシールドを活用して、さまざまなセンサネットワークを構築している。本公演では、MAD-SSシールドの説明、実用システム、および成層圏気球に搭載した実験について報告する。
著者
矢澤 正人 青井 俊樹 坂庭 浩之 安江 悠真 高橋 広和 西 千秋 瀬川 典久 時田 賢一
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

1:動物には個体ごとの形態的な特徴が顕著な種とそうでない種がある.ヒトの個体ごとの形態的特徴は多くの哺乳類の中でもばらつきが大きく,他に例を見ないほど多くの装着物を装着する種である.装着物によっては数千年にも及ぶ進化発展を経ているが,ほぼすべての個体に適合する装着物は稀である.野生動物の行動調査に用いる装着物には,標識タグ,無線タグ,テレメトリ無線送信機,GPS無線送信機,などがある.筆者自身が装着を経験した装着物には,衣服および靴,腕時計,サングラス,ヘルニア治療用コルセット,ナイトガード(就寝時用マウスピース)ピアス,指輪,スキー,スノーボード・シュノーケルなどがある.これらを機能の観点から分類すれば,,躯体保護,機能補完,装身,機能拡張となる.別の分類方法として,個体の形態的特徴を考慮して制作したもの,選択したもの,調節したもの,考慮しなかったもの,の4つに分類することができる.個体の形態的特徴を考慮しなかった装着物は,上記装着物の中ではピアスだけである.<br>2:野生動物の装着物の外装を設計製造するにあたり著者らが連携している相手先は,紡績,縫製,樹脂成型(インジェクション及びヒートプレス),切削,プレス,めっき,溶接,ポッティング,などの分野が主体である.いずれも大量生産品以外は高額という第二次産業革命の特徴を持つ.<br>s3:開発にあたって最も参考にした文献として,セミプロ向けの模型製作技術を解説した書籍が挙げられる.彼の分野における品質は工業製品を凌駕し美術品に迫るものすら散見される.量産品の数千分の一未満の製造数でありながら価格を数十倍以下に収め商業的に成立させる総合的な技量は,ものづくり大国・技術立国といった言葉に積もる埃を吹き飛ばしてくれる.動物装着物の外装を考える際は,彼の分野とも積極的に関わることを推奨する.
著者
嶋田 哲郎 植田 睦之 高橋 佑亮 内田 聖 時田 賢一 杉野目 斉 三上 かつら 矢澤 正人
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.A1-A12, 2018 (Released:2018-05-25)
参考文献数
9

GPS-TXは発信機内のGPSにより得た位置情報を無線で受信機に送信し,受信機で記録を残すシステムである.位置精度の誤差は6m,測定範囲は平地など開けた環境では受信機の位置を中心に半径10km以上の範囲をカバーするため,開けた環境で活動するガンカモ類を詳細に追跡するときに有効である.またGPS-TXではリアルタイムに位置情報を取得することができるため,位置情報を得られた時点の環境をすみやかに確認できる利点もある.こうした特性を生かし,2015/16年と2017/18年の越冬期における伊豆沼・内沼周辺のオオハクチョウ Cygnus cygnus,オナガガモ Anas acuta,マガモ A. platyrhynchosの環境選択をGPS-TXによって明らかにした.オオハクチョウは昼行性でハス群落の分布する岸よりの水面や給餌場所に滞在したほか,沼周辺の農地でも活動した.オナガガモは昼行性,夜行性いずれの特徴もみられ,2015/16年では,給餌場所を中心に分布しながらも,沼の北部から東部の農地へ夜間移動した例もあった.夜間に移動した農地までの距離は伊豆沼から平均2.5kmであった.2017/18年では,給餌場所を中心に分布し,昼間は餌付けがなされる駐車場付近に多く,夜間は給餌場所の奥まったヨシ群落周辺に分布した.マガモは夜行性で,雌雄とも伊豆沼西部に滞在し,夜間沼北部の農地へ移動した.夜間に移動した農地までの距離は伊豆沼から平均4.5kmであった.農地における土地利用をみると,オオハクチョウとオナガガモは乾田を,マガモは湛水田を選択した.GPS-TXはガンカモ類の環境選択を明らかにするときに有効な手法であり,さらに多くの種の追跡を行なうことでそれらの越冬生態を明らかにすることができると考えられる.
著者
嶋田 哲郎 植田 睦之 高橋 佑亮 内田 聖 時田 賢一 杉野目 斉 三上 かつら 矢澤 正人
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.A15-A22, 2019 (Released:2019-08-02)
参考文献数
14

鳥類や哺乳類の行動調査を目的として開発されたGPS-TXは,発信機内のGPSにより得た位置情報を無線で受信局に送信し,受信局で記録を残すシステムである.2017/18年と2018/19年の越冬期に伊豆沼・内沼周辺においてマガモ Anas platyrhynchos 16個体,カルガモ A. zonorhyncha 2個体のGPS-TXによる追跡を行った.マガモは夜行性で,雄雌ともに夜間の行動パターンにはばらつきがあり,沼内に滞在する個体がいた一方,沼外では伊豆沼から北側に位置するハス田や湛水田,ため池,河川などに分布した.カルガモもマガモと同様に夜行性で,沼から北側の狭い用水路(川幅<5m)やハス田,湛水田などに分布した.河川や広い用水路にはみられず,狭い用水路でみられた割合が高かったことがマガモと異なる点であった.今後,GPS-TXの改良とともに追跡できる対象種が増えていく中で,越冬期のカモ類追跡においてさらなる展開を期待できる.
著者
山口 倫照 浅川 和久 柏田 師宏 瀬川 典久 澤本 潤 矢澤 正人 玉置 晴朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム = IEICE technical report. LOIS, Life intelligence and office information systems (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.470, pp.19-23, 2012-03-01

センサネットワークの基本技術が開発され約10年経ち,現在その技術をいかに一般社会に生かして行くかが重要な課題となっている.現在おこなわれているセンサネットワークの実用化の実証実験は,都市部または安定してネットワークインフラが構築できる地域を対象とすることが多い.しかしながら,中山間地等の条件不利地域が多い東北地域では携帯パケット,ADSL等の通信網はもとより,容易に電源を得るのも難しい状況である.また,山間地等の地理的条件から,簡単にセンサネットワークのインフラを構築するのが困難であるのが実情である.しかし,都市部,中山間部といった利用する場所が異なるだけの理由でセンサネットワーク技術の利益が得られないことは避けたいと考えている.本研究は,災害時に要救助者を迅速に発見することを目的にしたシステムを提案する.提案するシステムでは,要救助者の位置情報の他に生体情報を基地局に送信することで,救助後の救命処置を助ける.
著者
木村 恵子 長田 斉 矢澤 正人 小松崎 理香 青山 旬 和田 聖一 伊谷 公男
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.204-212, 1997-04-30
参考文献数
19
被引用文献数
9

東京都における1歳6ヵ月児歯科健康診査の乳歯齲蝕罹患分類におけるO_1,O_2型(以下,O_1,O_2型)の判定基準について区市町村に対し質問紙による実態調査を行った。また,各区市町村のO_1,O_2型の判定状況,1歳6ヵ月児歯科健康診査の乳歯齲蝕罹患分類におけるO_2,型(以下O_2型)者率と1歳6ヵ月児歯科健康診査(以下,1歳6ヵ月児健診)および3歳児歯科健康診査(以下,3歳児健診)の齲蝕有病者率の差との関係について検討した。次いで,1歳6ヵ月見健診でO_1,O_2型と判定された東京都S区N保健所・北海道I保健所の平成7年度3歳児健診受診者を資料とし,新たなO_1,O_2型の判定基準を1歳6ヵ月から3歳までの齲蝕罹患に関与するリスク要因によって判定することを目的に「就寝時の授乳の習慣」・「甘味の摂取頻度]・「歯みがき状況」を要因と選定して相対危険度による検討を加えた。その結果, 1. 44区市町村(80.0%)から回答を得,そのうち19区市町村(43.2%)が国の示す1歳6ヵ月児歯科健康診査要領以外の独自の判定基準を持っていた。2. 平成5年度O_2型者率が80%以上の区市町村数は22(40.0%)であった。 3. O_2型者率と1歳6ヵ月児健診および3歳児健診の齲蝕有病者率の差との関係には有意な相関は認められなかった。 4. 齲蝕罹患に関与するリスク要因の相対危険度による検討では『甘いお菓子をほぼ毎日食べる習慣』・『就寝時の授乳の習慣』についてはN・I両保健所とも3歳時点での齲蝕有病状況に統計学的に有意な差が認められた。 5. 『甘い飲み物をほぼ毎日飲む習慣』もほぼこれに準じる成績であった。 6. 「歯みがき状況」を示す『保護者による歯みかき習慣』と『プラークスコア』はリスクとして認められなかった。以上の検討から,新たなO_1O_2型の判定基準としては「甘味の摂取頻度」・「就寝時の授乳の習慣」を要因としてとらえ,『甘いお菓子をほぼ毎日食べる習慣がある』・『甘い飲み物をほぼ毎日飲む習慣がある』・『就寝時の授乳の習慣がある』の3項目に1項目以上該当する者をO_2型と判定するのが適当ではないかと考えられた。