著者
北村 裕美 矢野 博己
出版者
流通科学大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は肥満の予防改善に対する運動の分子メカニズム的効果をオートファジーに着目して検討することであった。KO5マウスでは,20週間の自発運動により副睾丸周囲脂肪量や肝脂肪滴が顕著に減少した。脂肪組織中mRNA発現は,Atg5, Atg7が自発運動により増強し,LC3bが減弱した。脂肪組織中LC3-Ⅱ/LC3-Ⅰ比は自発運動によりWTマウスでは減弱し,KO5マウスでは増強した。KO5マウスでは,自発運動により腸内細菌多様性が低下し,Firmicutes門が減少した。オートファジー関連因子とFirmicutes門やBacteroidetes門との間に有意な関係は確認されなかった。
著者
矢野 博己 宮地 元彦 矢野 里佐
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.139-143, 1995

本研究は, 運動時の肝門脈血流量低下に対して, それを決定する因子である肝門脈本幹断面積および血流速度がおよぼす影響について検討した.肝門脈血流量は運動強度に依存して低下した.運動時の門脈血流量と血管断面積問の単相関係数は高かった(r=0.812,p<0.01).門脈血流量に対して血流速度も単相関係数には有意性が認められた(r=0.375,p<0.05).門脈血流量に対する偏相関係数は, 門脈本幹断面積が高かった(vs, cross-sectionalareaandvs.venousvelocity, r_<xy-z>=0.809and r_<xy-z>=0.301).門脈本幹断面積変化が門脈血流量により強く寄与したメカニズムについて考察した.In the present study, we examined the effect of cross-sectional area and venous velocity on portal venous flow during exercise. Portal venous flow was reduced at 60% and 80% VO_2max intensities of exercise as compared with the resting level. A high simple correlation coefficient value between portal venous flow and the cross-sectional area was observed (r=0.812,p<0.01). A significant simple correlation coefficient value between portal venous flow and venous velocity was also observed (r=0.375,p<0.05). The partial correlation coefficient of portal venous flow and cross-sectional area was high during exercise (vs. cross-sectional area and vs. venous velocity, r_<XY-Z>=0.809 and r_<XZ-Y>=0.301,respectively). The mechanisms of the effects of the cross-sectional area on portal venous flow were discussed.
著者
"香西 はな 矢野 博己 加藤 保子"
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.11-19, 2006
被引用文献数
1

"現在,小麦はアレルギーを引き起こす三大食品の一つとされており,更に食物依存性運動誘発アナフィラキシーの最多原因食品としても注目されている.これまで,小麦アレルギーとしては,Baker's Asthmaやセリアック病などがよく知られており,原因タンパク質としてはそれぞれ塩溶性タンパク質,グリアジンであるとの報告が多い.近年問題となっている小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(WDEIA)に関しては,ω-グリアジンであると報告されている.WDEIAの発症メカニズム解明のため,我々は,B10.Aマウスと卵白リゾチーム(Ly)を用いて,モデル実験動物系を確立した.各小麦タンパク質で感作したB10.Aマウスのアレルゲン投与後の疲労困憊運動時間は非感作群と比較して短く,更に,グリアジン次いでグルテニン群の小腸粘膜上皮組織の損傷は激しいものであった.マウスを用いて検討したWDEIAの原因タンパク質はグリアジン次いでグルテニンである可能性が高く,これらのタンパク質が小腸粘膜上皮組織を著しく損傷させ,体内へのアレルゲンの吸収も促進,更に,運動がこの損傷を増悪させることが考えられた.このような小腸粘膜上皮組織の損傷は,セリアック病でも観察され,セリアック病では,グリアジンの消化生成物であるペプチドがかなりの毒性ペプチドであることが報告されてきており,このようなグリアジンタンパク質の特性とWDEIAとの関係も示唆されるものであった.本報告では,小麦タンパク質とWDEIAに関して,これまで進められてきている研究の流れと,原因小麦タンパク質に関する情報を解説した."