著者
関 和彦
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.81-86, 2015 (Released:2016-04-15)
参考文献数
9

本稿では中枢神経系による手の感覚受容や運動制御のメカニズムについて,著者らの研究成果を紹介しながら解説する.実験はヒトと手の筋骨格構造が近似しているマカクサルを用い,サルに把握や手首運動を訓練した後,神経生理学的な手法で大脳皮質や脊髄の神経細胞の活動を直接記録する方法を用いて行った.その結果,脊髄にある介在神経が把握運動時に使われる指の組み合わせで用いられる筋をまとめて興奮させている事が分かった.また,運動時の末梢感覚は単に受動的な信号でなく,大脳皮質などからの運動指令によって積極的に調節されており,それが感覚情報処理の初期段階でシナプス前抑制を用いて行われている事が分かった.
著者
関 和彦 山口 愛加 窪田 諭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.22-00071, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
20

我が国の人口減少と少子高齢化により,熟練を有する橋梁点検技術者の不足を招くことは必至である.適切な予算配分を行い橋梁の長寿命化修善計画を策定するために,その状態を把握する基盤となる点検データの品質向上および平準化は重要な課題である.そのうえで,損傷進行状況を適切に把握し的確な診断および適切な対策の計画を実施しなければならない. 本研究では,橋梁の点検現場作業を支援することを目的として,橋梁の3次元点群データの差分によるヒートマップにより損傷箇所を可視化し,点検技術者が損傷を発見することを支援する技術を提案した.そして,提案技術の適用可能性を複数の実橋梁で実験した.点検技術者による評価を実施し,現場支援技術への要求事項および課題を整理した.
著者
窪田 諭 井上 明日香 関 和彦 安室 喜弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
インフラメンテナンス実践研究論文集 (ISSN:2436777X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.224-232, 2023 (Released:2023-02-20)
参考文献数
17

国土交通省は,橋梁の維持管理の効率化と高度化を図るために,3次元モデルの活用を推進している.既設橋梁においては,紙図面から精確な3次元モデルを生成することは容易ではない.また,図面が残されていない橋梁も多く,点検時に図面を参照することや点検結果を図面に記録できない課題がある.本研究では,3次元モデルを維持管理に関する情報を記録するための基盤とすることを目的として,地上型レーザスキャナ,UAV搭載型カメラとMobile Mapping Systemにより実橋を計測したデータから生成した点群データにパラメトリックモデリングを適用し,3次元モデルを構築する手法を提案した.各計測機器により取得した実橋の点群データを用いて提案手法を検証し,データが一部欠損していても3次元モデルを構築できることを示した.
著者
堤 洋樹 関 和彦 岩佐 宏一 石田 航星
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.28, no.70, pp.1524-1528, 2022-10-20 (Released:2022-10-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

A tap test is used to inspect the full surface of exterior walls, and its results can vary depending on the investigator’s senses. In this study, it was examined how to improve the testing accuracy for detecting lifting of RC wall tiles. Research has shown that diagnosis techniques must be considered from the perspective that judgment results vary, that diagnostic accuracy can be improved by accumulating techniques, and that work time varies greatly among individuals. As a result, it is beneficial for the investigator to confirm the diagnosis criteria with several people during the preliminary on-site meeting.
著者
湧田 雄基 山下 明美 吉田 啓佑 龍田 斉 関 和彦 有井 賢次 熊谷 兼太郎 中畑 和之 長沼 諭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.2, no.J2, pp.437-446, 2021 (Released:2021-11-17)
参考文献数
18

本論文では,インフラマネジメント分野における AI(Artificial Intelligence)の活用を目的として,分析性能とモデルの解釈性に着目し,AI活用の可能性についての考察を行う.特に,近年,機械学習のコンペティション等で好成績を上げているアンサンブル型学習手法を中心に, XGBoost,LightGBM,CatBoost, Random Forest,決定木分析について,その数理的背景の概要を述べる.これらの手法により橋梁の劣化の推定を試行した結果について報告する.また,この結果について,個々の手法の特性をふまえ, AIのインフラマネジメント業務における活用の視点より考察を行った結果について報告する.
著者
高木 周 関 和彦 神保 泰彦 榛葉 健太
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-07-30

超音波の脳神経系の刺激に関しては,神経細胞レベルで発火が観測されている複数の報告がある一方,マウスを用いた動物実験では,脳への超音波刺激による運動誘発は脳神経系への刺激ではなく,聴覚を刺激する音の影響によるものとする異なる内容の報告がなされている.申請者らは,超音波が神経細胞の活動を誘発し,生体の運動誘発が達成できる可能性について,独自の実験系や数値解析手法を利用して,その詳細を調べる.本実験で得られた知見は,今後,脳神経系に損傷を与えない低強度の超音波による脳活動の活性化などへの応用に繋がり,将来的にはリハビリや認知機能の改善などへの革新的技術へと展開していくことが期待できる
著者
大屋 知徹 関 和彦
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.258-263, 2014
被引用文献数
1

<p>1) 霊長類の赤核には, 局在する位置, 細胞構築, 連絡する回路構造など, その解剖学的特徴から明瞭な区分 (おもに大細胞性と小細胞性) が存在し, それぞれの機能には大きな差異がある. </p><p>2) 赤核の各区分における細胞群の発達の程度は, 哺乳類の中で大きなバリエーションがあり, 四足歩行動物では赤核脊髄路が, 高等霊長類では赤核オリーブ路が発達している. ヒトにおいてこの差異は極端であり, 前者の赤核脊髄路はほぼ退化し痕跡的となっている. このため, 齧歯類, ネコ, さらにはサルにおける実験結果から得られた知見を直接ヒトに外挿するには慎重を要する. </p><p>3) ヒトにおいて特異的に発達した小細胞性赤核の具体的, 詳細な機能についてはほとんどわかっていないが, その臨床病態の像や破壊損傷によって作出された実験動物の機能異常から, 小細胞性赤核は振戦への関わりがある.</p>
著者
大屋 知徹 関 和彦
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.258-263, 2014 (Released:2017-05-11)
参考文献数
36
被引用文献数
2 1

1) 霊長類の赤核には, 局在する位置, 細胞構築, 連絡する回路構造など, その解剖学的特徴から明瞭な区分 (おもに大細胞性と小細胞性) が存在し, それぞれの機能には大きな差異がある. 2) 赤核の各区分における細胞群の発達の程度は, 哺乳類の中で大きなバリエーションがあり, 四足歩行動物では赤核脊髄路が, 高等霊長類では赤核オリーブ路が発達している. ヒトにおいてこの差異は極端であり, 前者の赤核脊髄路はほぼ退化し痕跡的となっている. このため, 齧歯類, ネコ, さらにはサルにおける実験結果から得られた知見を直接ヒトに外挿するには慎重を要する. 3) ヒトにおいて特異的に発達した小細胞性赤核の具体的, 詳細な機能についてはほとんどわかっていないが, その臨床病態の像や破壊損傷によって作出された実験動物の機能異常から, 小細胞性赤核は振戦への関わりがある.
著者
関 和彦
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.20, no.10, pp.10_58-10_61, 2015-10-01 (Released:2016-02-05)
著者
溝口 匡人 関 和彦 加藤 修三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム
巻号頁・発行日
vol.93, no.255, pp.63-69, 1993-09-30
被引用文献数
6

TDMA通信において携帯機の高機能化をはかるため、バースト毎に周波数切替可能な周波数シンセサイザを低消費電力にて実現する一方法として交互開ループ動作型周波数シンセサイザを提案し、ホールド時の周波数誤差特性について理論的および実験的に解析を行った。提案回路は制御電圧保持回路を備えた2つのVCOに対し1つのPLL回路で交互に周波数設定を行うため、従来のピンポン動作型周波数シンセサイザに比べ30%の消費電力低減が可能である。解析結果から理論式は実験値と良く一致し、さらに、ディジタルコードレス電話システムにおいてフレーム誤り率の劣化を1%以下とするにはホールド回路のサンプル時間を5μs以上とすればよいことを明らかにした。
著者
小黒 玲 近藤 法夫 尾関 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.96, no.39, pp.61-67, 1996-05-16
被引用文献数
4

最近の音声認識においては、HMMによって得られる尤度に基づいて仮説のスコアを定義することが多い。しかし、連続音声中の単語を検出する場合のように、仮説に対応する音声区間が仮説ごとに異なる場合には、尤度をそのままスコアとすることには問題がある。本研究では、尤度そのものをスコアとするスコア関数と、尤度を何らかの方法で正規化することによって得られるいくつかのスコア関数の特性を比較した。比較は、真の単語/文節終端付近でのスコアの振舞いと、そこでの単語/文節認識率の二つの観点から行なった。その結果、エルゴディックHMMを用いて正規化を行なうスコア関数が、総合的に見て最も好ましい特性を持つことが明らかになった。
著者
張玉潔 尾関 和彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.85, pp.1-8, 1997-11-12
被引用文献数
3

従来の文節分割法では,人手で規則を与えていたため,規則全体の一貫性を保持するのが困難であり,また規則の適用順序の定め方に問題があった.ここでは形態素解析された日本語文を,分類木により文節単位に分割する方法を提案する.この方法によれば,分割規則をコーパスから自動的に獲得することができる.また,統計的な側面と論理的な側面から同時に分割規則を捉えることにより,効率の良い規則適用順序が得られる.さらに対象領域や形態素の分類体系などが変更されたときも,学習データを入れ替えるだけで,新しい状況に対応する分割規則を容易に獲得することができる.ATRコーパスとEDRコーパスを用いた実験により,この方法の有効性を確認した.In conventional bunsetsu segmentation methods of Japanese sentences, segmentation rules have been given manually. This causes difficulties in maintaining the consistency of the rules, and in deciding an efficient order of rule application. This paper proposes a method of automatic bunsetsu segmentation using a classification tree, where the knowledge about bunsetsu boundaries can be automatically acquired from a corpus without the need of handwork on rule making. It can also adapt quickly to a new task domain and a new system of morpheme classification. Results of experiments on ATR corpus and EDR corpus show the effectiveness of this method.
著者
武井 智彦 関 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.282, pp.101-105, 2008-10-31

把握動作はヒトを含めた霊長類が外部環境の情報を獲得するのに必須な運動である。この把握運動制御の脳内機構については、大脳皮質や小脳に関する研究が進んでいる一方、脊髄を対象とした研究は存在しなかった。この報告では把握運動の制御において脊髄が重要な役割を果たしている可能性について、実験結果をもとに議論する。
著者
中澤 勇夫 雨宮 将稔 清水 裕之 秦 正治 広瀬 敏之 佐藤 英昭 木村 滋 小寺 隆三 阿部 宗男 杉田 邦博 水谷 太蔵 光武 雄一郎 工藤 栄亮 野原 学 吉川 憲昭 鈴木 文雄 関 和彦 小川 博世
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.568, pp.141-148, 2000-01-20
被引用文献数
1

第三世代移動通信システム(IMT-2000)は、世界各国で使用可能なグローバルサービスを目指す位置づけから1992年ITUにおいて世界共通の周波数(2GHz帯)の割当が行われた。国内のIMT-2000の2GHz帯導入に際しては、既存システムとの干渉特性を明らかにする必要がある。このため、(社)電波産業会(以後ARIB)では平成8年度より調査検討会を設置し、導入が期待されているCDMA方式による移動無線と、IMT-2000に割り当てられた周波数帯を用いている既存の固定無線との周波数共用の可否、及び周波数共用を可能とする条件を明らかにするために、計算機シミュレーションおよびフィールド実証試験について調査及び試験分析を行ってきた。本報告はこの内、フィールド実証試験についての調査及び試験結果の報告であり、相互干渉モデル、試験システム、広帯域伝搬路特性、電界強度特性等について述べる。