著者
石井 香織
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、子どもの身体活動を推進するために、1)身体活動に影響をおよぼす環境的要因の検討、2)身体活動の推進に関連する環境、社会、心理的要因の検討、3)子どもの身体活動の推進に重要であることが明らかになった環境要因に着目し、身体活動を推進するための介入効果の3点について検証した。その結果、子どもの身体活動を推進するための方策として、子どもを取り巻く環境要因に着目し働きかけを行うことが有効であり、本研究で実施した支援方法はわずかではあるが身体活動の推進に効果がある可能性が示唆された。
著者
石井 香江
出版者
一橋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

本研究は歴史・社会学的な手法を用いて、テレフォン・オペレーター職(戦前と戦後の一時期は電話交換手を、現在は主にテレワーカーやテレコミュニケーターと呼ばれる)と電信・電報オペレーター職の生成過程とその現状をめぐる日独比較を試みるものであり、歴史分析編と現状分析編の二部から構成される。ジェンダー化(特定の性別と関連する意味が付与されること)された職種として出発したテレフォン・オペレーターの現状を探り、その変動の兆しや変化を阻む要因を分析することが研究の主旨である。歴史分析編では引き続き職員の身上調査記録を分析し、現状分析編では日独の元職員(今年は主に電信技手)へのインタビューや社史(電電公社・NTTやドイツテレコム)の検討を進めている。本年度は日本で入手不可能な戦前のドイツ逓信省の郵便・電信吏員組合の発行した機関誌や電話交換手や電信技手の人事記録など、ドイツの公文書館(ベルリンとミュンヘン)に所蔵されている史料の分類・整理・翻訳作業を、夏に引き続き行った。その際に、全体像を把握できる基礎データを作成し、これらのデータをコンピュータ入力し、データベース化し、また、史料のキーワードや関連書誌データも添付する作業も行なつた。その他には、先行研究者との意見交換やドイツ・テレコムとその職員、日本でも元電信技手へのインタビュー、日本の逓信総合博物館(『逓信協会雑誌』など)・東京大学医学部(労働科学・政策に関する雑誌)・明治文庫(『読売新聞』など)所蔵の資料の調査を引き続き進めた。そしてこうした蓄積の上に、本研究に関わる研究史や論文を発表した。来年はこれをもとに学会発表をする予定である。この他にも、修士論文の一部をまとめた論考をドイツ学会で共同発表し、共著として出版することができた。
著者
新井 寧子 西田 素子 上田 範子 石井 香澄
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

申請者新井は、半規管遮断前後のサル温度眼振の三次元記録より、温度眼振には、対流とは異なったしかし重力に依存する成分の存在を推察した。そこでこれらの現象を明らかにする目的で、本研究プロジェクトを立案した。ニューヨーク大学マウントサイナイ医療センターとの共同研究として、短期間の実験設定およびインターネットを介したその後の持続的交流により、カニクイザルの温度眼振を分析した。左右の全半規管を外科的に遮断されたサルの温度眼振と頭位との関係を調べた結果、管の遮断によっても術前に匹敵する温度眼振が出現すること、この眼振は重力方向に従い変化すること、それらは、半規管神経終末への温度の影響のみでは説明不能なことがわかった。そこで(1)温度変化による神経終末の自発放電の変化、(2)温度による内リンパ液の体積変化が遮断によりクプラへの圧を及ぼすこと、(3)中枢前庭系の速度蓄積機構との和で説明し、シムレーションを行った。その結果この遮断後の温度眼振を再現することができたので、論文にまとめ投稿した。また、内リンパ腔の立体構築を明らかにする目的で、上田がカニクイザル内リンパ腔の三次元再構築をコンピュータ上で行い、学会に発表した。西田は、鳩の頭部を拘束せずに、その動きを二台のビデオ記録した画像より、頭振の三次元解析を行う方法を確立した。ハトでは半規管を骨片でブロックすることができないので、両側の外側半規管を挫滅した後フィブリングルー内で切断し、まず回転後頭振の変化を記録した。その影響は固体差が大きく期待したものではなかった。一方、明所での回転中頭振は、正常ハトでは薄暗がりでも活発であるが、外側半規管切断後は明所のみで回転中頭振が活発であった。そこで、回転中および回転後頭振への明るさの影響を先に調べる必要がでて、検討中である。
著者
江口 信清 藤巻 正己 ピーティ デヴィッド 山本 勇次 村瀬 智 瀬川 真平 池本 幸生 石井 香世子 四本 幸夫 古村 学
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、社会的弱者が、不利益をもたらされがちであった観光現象を逆手にとって、自立化・自律化の途を進み、かつ近代化の過程で喪失してきた自信やプライド、そして「伝統」を回復することはできるのだろうか。社会的弱者の自立的な生き方に観光がどのような意味を持つのかについて、世界の多様な地域の事例の比較分析し、考察をすることにある。比較研究の結果、少なくとも4つの結論を得た。(1) 途上国における社会的弱者は、観光にかかわるだけでは自立しえないであろう。(2) 外部で作られた観光の概念やスタイルと現地の人たちの理解するそれらの間には、しばしば齟齬がある。(3) 自生的なリーダーとこの人物を支えるフォロワー関係の存在が、観光開発の成否やコミュニティの福祉の改善に大きくかかわる。そして、(4) 女性の役割がたいへん重要であるということである。