著者
横井 英人 長谷川 誠司 和田 朋子 菅原 裕子 渡辺 卓央 池 秀之 福島 忠男
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.543-548, 2017 (Released:2017-07-24)
参考文献数
16
被引用文献数
1

自慰目的に挿肛したハンドグリッパーが直腸穿通をきたし,開腹手術を必要とした1例を報告する.症例は39歳男性,握力トレーニング用のハンドグリッパーを自慰目的に肛門より挿入し抜去ができなくなった.20日ほど経過し臀部痛を主訴に当院救急外来に受診した.腹部CTで片方のグリップが直腸穿通していたため経肛門的摘出は不可能と判断し,緊急開腹手術(Hartmann手術)を施行しハンドグリッパーを摘出した.術後経過は良好で第10病日に退院した.直腸異物の摘出法に関しては,一定の見解は今のところなく,全身状態,異物の大きさ,形状,材質,肛門・直腸外傷や,消化管穿孔の有無を考慮し,慎重に検討する.
著者
伊藤 浩 久賀 孝郎 笠原 千夏 春田 由貴 森山 裕紀子 横井 英人 町田 和彦 松尾 正樹 加藤 一夫
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.239-244, 2019-05-25 (Released:2019-06-10)
参考文献数
15

背景.肺腫瘍塞栓症は,生前診断が難しいとされている.生前に早期に診断することで,予後を改善できた報告もあり,生検による診断は重要と考えられる.症例.55歳,女性.数カ月の経過で増悪する乾性咳嗽と呼吸困難のため当科を受診された.胸部CT検査で両側肺野にびまん性すりガラス影が認められ,精査加療目的に入院となった.経気管支肺生検にて腺癌の所見を認め,同時に肺高血圧症の合併が認められたため肺腫瘍塞栓症と臨床的に診断した.化学療法による治療を予定したが,病状の進行が速く,入院第18病日に呼吸不全で死亡した.剖検にて,胃粘膜癌による肺腫瘍塞栓症と診断した.結論.今回,治療には結びつかなかったが,肺腫瘍塞栓症を生前に診断し,治療することで予後が改善できる可能性があり,生検による病理診断は重要である.経気管支肺生検は,肺腫瘍塞栓症の診断手段の1つとして有用である可能性が示唆された.
著者
國方 淳 十河 智昭 谷川 雅俊 横井 英人
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.319-329, 2020-06-26 (Released:2021-07-28)
参考文献数
13

近年,多くのサービスやアプリケーションにおいて,それらの機能を外部から利用する際にWeb APIが用いられている.Web APIは汎用的なHTTPプロトコルによってリクエストした結果をJSONなどの処理しやすい形のレスポンスデータとして返すことにより,柔軟なデータ処理を可能としている.この仕組みは電子カルテからのデータの取得においても有用であり,HL7 FHIRやopenEHRなどの標準規格においてもデータの送受信のインターフェースとして採用されている.しかし,当院の電子カルテシステム上ではこれらの標準規格のAPIを利用できる状況になく,また比較的単純なシステム連携を行う上ではこれらの標準規格の仕様は過大であり,個々の医療機関が独自に実装するのは現実的ではない. そこで,今回われわれは当院の電子カルテからデータを取得するためのシンプルな構成のWeb APIの構築を試みた.その結果,Webサーバ上にAPIを構築することで,電子カルテシステム本体には改修を加えることなく電子カルテのデータを汎用的なHTTPリクエストで取得することが可能となり,また実証実験ではいくつかのWebアプリケーションと連携し実運用で利用することができた.Web APIはデータ交換のインターフェースとして非常に有用であり,今後の電子カルテには標準規格のWeb APIの実装とともに,ユーザの裁量でWeb APIで取得するデータを指定できる機能の提供が望まれる.
著者
石川 澄 奥原 義保 合地 明 木村 映善 津久間 秀彦 田中 武志 岩田 則和 石田 博 横井 英人 森川 富昭 花田 英輔 原 量宏 井上 裕二 太田 吉夫 岡田 宏基 森口 博基 石原 謙 近藤 博史 北添 康弘 畠山 豊 渡部 輝明 中島 典昭 栗原 幸男 片岡 浩巳 岩崎 泰昌 野々村 辰彦 園田 武治 中野 直樹 稲岡 則子 堀 信浩
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

現在の医療記録の電子化は記録を利用することを軽視していないか?電子医療記録の利用ができない、あるいは利用がしにくい要因を分析した結果、患者の診断・治療と評価のために蓄えられる情報の信憑性に問題があるのではないかと仮定した。年2回のワークショップに於ける議論や日本医療機能評価機構の情報機器・IT化部会の協力で行ったアンケート評価に基づき、情報の信憑性を阻害する因子をソフト的、ハード的、および人為的要因に分けて分析した。更に分析結果から「患者がどのようになったら良いのか」という医療のゴールに向かって診療と治療が行われる過程で「記録」にどのような要件と問題点が存在するかを検討した。結果、電子医療記録の信憑性を阻害する要因は、次の4段階の構造モデルに分類された。すなわち、データレベルにおける「正確性」と「連続性」の確保を基盤とすること、データを系統別に分け長期にわたり視認できる「通覧性」を確保すること、そして目標達成にむけてその道筋を誰もが理解できる形で表現して「物語性」を確保すること、である。そしてモデルの各段階におけるソフト、ハード面、および人為的に複合する解決策の提案を行った。
著者
山田 悠 鈴木 英之進 横井 英人 高林 克日己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.30, pp.141-146, 2003-03-13

本論では,時系列属性を含むデータから決定木を学習する新しい方式を提案する.時系列属性は,値と時刻のペアについてのシーケンスとして表される時系列データを値にとる属性であり,種々の実応用問題に頻出するために重要であると考えられる.われわれが提案する時系列決定木は,内部ノードに時系列データを持ち,時系列データに関する距離に基づいて例集合を分割する.最初に動的時間伸縮法に基づく基準例分割テストを定義し,次にこれを用いた決定木学習法を示す.実験の結果,提案手法は他の手法に比較して理解しやすく正確な決定木を学習でき,ることが分かった.さらに医療問題への適用の結果,時系列決定僕は知識発見に有望であることが分かった.This paper proposes a novel approach for learning a decision tree from a data set with time-series attributes. A time^series attribute takes, as its value, a sequence of values each of which is associated with a time atamp, and can be considered as important since it fruquantly in real-world applications. Our time-series tree has a time sequence in its internal node, and splits examples based on similarities between a pair of time sequences. We first define our standard example split test based on dynamic time warping, then propose a decision tree induction procedure for the split test. Experimental results confirm that our induction method, unlike other methods, constructs comprehensive and accurate trees. Moreover, a medical application shows that our time-series tree is promising in knowledge discovery.