著者
石田 憲二 松田 祐司 佐藤 憲昭 神戸 振作 井澤 公一 古川 はづき 西田 信彦
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

本研究班では、主に、強相関電子系超伝導体における超伝導対状態、発現機構解明を目指して研究を行った。また重い電子系における量子臨界現象も研究した。主な成果を以下に挙げる。(1)人工超格子による二次元重い電子状態の創製と、人工超格子の手法による量子臨界の制御とそこでの強結合超伝導(2)強磁性超伝導UCoGeにおける(1)強磁性と超伝導の共存、(2)自己誘導渦糸状態の発見、(3)イジング型の異方性を持つ強磁性ゆらぎにより引き起こされる超伝導(3)熱伝送率の角度回転によるUPt3の超伝導ギャップ構造の決定(4)Uru_2Si_2の「隠れた秩序」における対称性の低下(5)準結晶Au-Al-Ybに見られる量子臨界現象(6)磁気励起の解析から明らかになったUsn_3における磁気異常の起源(7)二次元構造を持つ重い電子系Ce(Ru_<1-x>Fe_x)POにおける強磁性量子臨界現象
著者
嶺田 拓也 石田 憲治
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究. 別号, 講演会講演要旨 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
no.43, pp.48-49, 2004-04-16

近年、収穫後の乾田化した水田に湛水する「冬期湛水」の試みが、環境NPOなどを中心に各地から報告されている。これは当初、我が国に越冬のため飛来してくるガン・カモ類やハクチョウ類などの水鳥に採餌場や塒(ねぐら)を提供することを狙ったものであったが、湛水によるイトミミズ増進等がもたらす抑草効果の可能性も指摘され、環境保全型の営農技術としても注目されている。そこで、文献やHPなどの情報をもとに、冬期湛水を実施している全国の事例を収集し、アンケート調査等を通じて冬期湛水の実態を把握するとともに、3カ所の実施圃場にて収穫後の残草量やイトミミズ有無などの簡易調査を行い、冬期湛水に見られる雑草抑制効果についての研究の端緒を開くことを目的とした。
著者
前川 覚 太田 仁 菊池 彦光 小山田 明 松平 和之 石田 憲二
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

スピンが規則格子上に位置しながらもスピン間相互作用が競合する幾何学的フラストレート磁性体として、三角格子、かごめ格子、パイロクロア格子等の新磁性体を探索・合成して、核磁気共鳴、磁化、比熱、ESR測定等の実験をおこない、フラストレーションに起因する新しいタイプの相転移や秩序状態の発見と、その状態と機構の解明を行った。特にフラストレーションに量子効果が加わることにより生じる新奇な状態に注目して、量子スピン液体や特異な中間秩序状態、近藤スクリーニング部分無秩序状態を発見し、その特異なスピン状態を明らかにした。
著者
北岡 良雄 石田 憲二
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

2本鎖梯子型量子スピン系のSrCu_2O_3について非磁性不純物(La-4%,5%,Zn-1%,3%)、磁性不純物(Ni,l%,2%,3%)を添加した系、ホールがドープされたSr_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41-y>系についてのCu-NQR、NMR測定を行い、梯子格子系の量子コヒーレンスの効果によって特異な磁気秩序が発現することを明らかにした。平成9年度の成果1. SrCu_2O_3にZnおよびNiを添加した系では、共通に反強磁性磁気秩序が起こることを示し、磁気モーメントの大きさは不純物近傍で空間的な分布をもつが、丁度不純物間の中間領域では0.041μB程度の比較的に均一な反強磁性自発分極をもつことを明らかにした。2. Zn添加系で反強磁性磁気秩序が起こる臨界濃度は0.5%付近であることを緩和時間の測定から明らかにした。3. L.aを添加した系(電子ドープ系)では、磁場による反強磁性分極が誘起されるが最大5%まで磁気秩序は起こらないことが明らにした。これはLaがSr位直に置換され、ラダー面のCu位置に均一に電子がドープされることに起因していることを示唆した。4. ホールがドープされたSr_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41>系では、すでに存在するホール濃度が少ない試料では空間的に均一な反強磁性分極が磁場によって誘起されることを見出した。平成10年度の成果1. 不純物(Zn,Ni,La,)によって誘起された異常磁性不純物によって誘起される交番磁化分極の相関長ξ_Sが不純物の種類に依らず、不純間距離とともに増大することを示した。また不純物を添加しない系のスピン一重項液体状態の相関長より極めて長いことが明かとなった。2. ホールドープ系スピンラダーの常圧での磁気秩序の同定加圧によって超伝導が発現するSr_<2.5>Ca_<11.5>Cu^<24>O_<41>は常圧下でT_N=2.2Kで磁気秩序を示すが、NMR/NQRの研究からラダー面上で0.02μ_Bの比較的に一様な大きさの自発磁気モーメントを持ち、鎖面上で最大0.5μ_Bの分布した磁気モーメントをもつ磁気秩序状態にあることを示した。梯子スピン系に不純物が添加されると低エネルギー励起(スピノン)が誘起され、その励起を媒介にして磁気秩序が発生する。一方、ホールをドープした系では多様な電子相が現れる。遍歴する場合は、超伝導が出現し、局在する場合は電荷密度状態と磁気秩序が共存する。電荷およびスピン自由度の局在と遍歴に起因して多彩な電子相があらわれることが本研究によってか明らかとなり、低次元量子スピン系の新しい研究分野の方向を切り開くことができた。
著者
河合 秀泰 藤井 俊治郎 石田 憲弘 町田 博宣 尾浦 憲治郎 本多 信一 片山 光浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.200, pp.1-4, 2006-07-27

スクリーン印刷法で作製したカーボンナノチューブ(CNT)エミッターのエージング効果について調べた.DC電界下,20mA/cm^2の定電流で3時間,フィールドエミッションを持続させた結果,相対的に長いCNTが短くなり,新たに起毛したCNTが観察された.蛍光板による発光実験では,エージング後,局所的な電界集中がおこる箇所が減少し,エミッションの均一性が著しく改善した.これは,エージングによりCNTの長さが均一に揃い,エミッションサイトが増加したことに起因すると考えられる.さらに,電流密度の経時変化の測定から,エージングを施したエミッターでは,電流密度がより安定しており,寿命特性が向上していることがわかった.