著者
竹中 亨
出版者
独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構(旧 大学評価・学位授与機構)
雑誌
大学評価・学位研究 (ISSN:18800343)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.19-39, 2021-03-01 (Released:2021-03-24)
参考文献数
48

本論文の目的は,ドイツにおける大学への基盤交付金の制度を紹介することである。基盤交付金は,ドイツの高等教育の基幹をなす州立大学にとって,主たる財源をなすものである。基盤交付金は,固定的な基礎経費の部分と,アウトプット指標,業績協定のそれぞれから算定される成果連動的部分からなる。このうち,基礎経費は過去踏襲分と,インプット指標からの算定とで決定される。大学財政の安定性を考慮して,前者の比重が圧倒的に大きい。アウトプット指標による算定では,指標数を少数に絞り,かつ算定割当額を小規模にとどめるという方針がとられている。予算額の過度の変動を防ぐためである。大学政策の鍵になるのは業績協定である。これは政府と個々の大学が,大学ごとの特性やヴィジョンを踏まえて目標を定めて締結する。これにより,大学の個別性を反映することが可能になり,高等教育全体として,学術の多様性を担保する仕組みとなっている。
著者
竹中 亨
出版者
独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構(旧 大学評価・学位授与機構)
雑誌
大学評価・学位研究 (ISSN:18800343)
巻号頁・発行日
pp.2021.22001, (Released:2020-07-17)
参考文献数
48

本論文の目的は,ドイツにおける大学への基盤交付金の制度を紹介することである。基盤交付金は,ドイツの高等教育の基幹をなす州立大学にとって,主たる財源をなすものである。基盤交付金は,固定的な基礎経費の部分と,アウトプット指標,業績協定のそれぞれから算定される成果連動的部分からなる。このうち,基礎経費は過去踏襲分と,インプット指標からの算定とで決定される。大学財政の安定性を考慮して,前者の比重が圧倒的に大きい。アウトプット指標による算定では,指標数を少数に絞り,かつ算定割当額を小規模にとどめるという方針がとられている。予算額の過度の変動を防ぐためである。大学政策の鍵になるのは業績協定である。これは政府と個々の大学が,大学ごとの特性やヴィジョンを踏まえて目標を定めて締結する。これにより,大学の個別性を反映することが可能になり,高等教育全体として,学術の多様性を担保する仕組みとなっている。
著者
武田 雅哉 東田 雅博 立川 健治 杉本 淑彦 竹中 亨 斉藤 大紀
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究においては、画報や映画など、ビジュアルな資料を主たる研究対象としてとして検討を行なってきたが、ヨーロッパと中国および日本の、それぞれの資料に描かれた、それぞれにとっての「外国人」「外国文物」についての検証を、多角的に進めることができた。その過程で、当初の研究対象である「外国人イメージ」をさらに拡大させ、われわれの関心は、都市、政治、制度、物語、科学技術など、広く外国伝来のものに対するイメージを探る方向にも、展開していった。最終的な研究成果報告書においては、「日清・日露戦争時期におけるイギリスの画報に見るアジアイメージ」、「日本の馬匹改良に見る外国イメージ」、「エジプト遠征の記憶に見るアラブ・イスラームのイメージ」、「ドイツの画報に見るアジアイメージ」、「中国清末民初期の画報から文化大革命時期の刷り物に見る鉄道事故のイメージ」、「日本の流行歌に見いだされる上海のイメージ」、「近世ヨーロッパが見た日本の法制度」、「1930年代ハリウッド映画に見られる中国人イメージ」が、研究代表者・分担者および協力者による成果として文章化され、報告されている。3年にわたる研究会を通して、われわれは、互いに研究分野の異なる研究者が、ひとつの図像資料に目を向けて意見交換をしあうことの有効性を痛感した。それぞれが使用する言語の壁を越え、図像というオブジェの解読をめぐって知恵を出し合うという研究のスタイルは、今後の展開においても、そのまま継承されるであろう。今後はまた、英国と中国、日本と中国など、異なる地域において刊行された画報が、同一事件(戦争など)について、それぞれどのように報道されているかを、図像、テキストともに詳細に併読、検討することなども行なっていきたい。
著者
野田 文香 森 利枝 竹中 亨
出版者
独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構
雑誌
大学改革・学位研究 (ISSN:27583708)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.35-49, 2024-03-01 (Released:2024-03-29)
参考文献数
20

国内外の高等教育の質保証制度において,「内部質保証」は核となる要素である。日本では,大学は卒業認定・学位授与の方針,教育課程編成・実施の方針,入学者受け入れの方針を明確にし,自己点検・評価に基づく内部質保証体制を構築し,認証評価もその取組状況を重要評価項目として確認することが求められている。他方で,自主的・自律的な質保証とは具体的にどのような取組を示し,内部質保証に外部質保証はどのように関わるのか,といったことについては未だ漠然としている。本稿は,高等教育機関の自主的・自律的な内部質保証体制として運用される質保証メカニズムである「自己認定(セルフ・アクレディテーション)」に着目し,豪州・ドイツ・台湾の事例を通じてその機能の多様性を整理することを目的とする。特に各事例において,自己認定とは何かといった大きな問いを掲げ,1)自己認定制度はなぜ導入されたのか,2)高等教育機関は,自己認定権をどのように獲得・維持するのか,3)自己認定権を得た高等教育機関は何ができるのか,の3つの観点から自己認定の実態と課題を明らかにする。
著者
竹中 亨
出版者
独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構
雑誌
大学改革・学位研究 (ISSN:27583708)
巻号頁・発行日
pp.2023.24002, (Released:2023-01-11)
参考文献数
62

業績協定はドイツでは,2000年前後に高等教育で規制緩和が実施された後,広く用いられるようになった。業績協定は,大学が追求すべき業務目標を教育省との間で契約として約定し,事後に達否を検証して,結果をその後の資源配分に反映させるものである。その点で,わが国の国立大学の中期目標・中期計画と類似したものである。本来は,目標管理のツールたる業績協定は成果連動の資源配分の一環をなす。但し,高等教育では,その特性のために厳密な成果測定は困難なため,業績協定は資源配分面の影響力は小さい。しかしこの制約にもかかわらず,ドイツでは業績協定が広く用いられている。それは,業績協定に学内外の対話と経営戦略化の役割が期待されているからである。これは,ポストNPMの大学統治に向けてわが国にも大きな示唆を与える。
著者
藤永 太一郎 竹中 亨 室賀 照子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1974, no.9, pp.1653-1657, 1974
被引用文献数
1

號珀(コハク)は古代から装身具として用いられ,わが国においても遣跡や古墳から発掘されている。本研究においてはこれら発掘品の原産地の同定法の検討を行なった。資料は地質学的標準資料として,原産地の明らかな久慈,銚子,瑞浪,神戸のわが国主要産地0ものと比較のため撫順,バルティック,ニュージランド産出のものを,考古学的資料は京都府長池古填のもの2種と奈良県東大寺出古墳群のもの7種を用いた。融点測定を行なったが,発掘品をますべて3QO℃以上であり,完全に化石化していた。元素分析の結果はlC:耳:Oは久慈;33二52:4,銚子;91:142:4,瑞浪;184:3O<sup>2-</sup>:4,神戸;60:39:4とばらつきがあるが,東大寺山;22:32:4,長池;22:34:4とほぼ同様の比を示した。赤外吸収スペクトルは全波長領域にわたって産地特有のパターンを示した。とくに久慈産の褐色のものと黄色のもの,および撫順産の2種は同-のパターンが得られた竃これらの事実から,日本産號珀についても赤外吸収スペクトルによって産地の同定を行ないうることが判明した。東大寺幽12号古墳の6種および長池古墳の2種はいずれも同-の産地であり,久慈産のものと同定された。このことから古墳時代においてすでに東北地方と近畿地方の間で交易のあったことが推論される。
著者
藤永 太一郎 竹中 亨 室賀 照子
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.25, no.11, pp.795-799, 1976-11-10
被引用文献数
1

日本産のコハクについて赤外吸収スペクトルにより産地同定が可能であることを報告したが,本報では更に新たに得た外国産の資料についても検討し,これらも同様に産地同定できることを明らかにした.又,本邦産のコハクについても新しく資料を入手し詳しく検討した.資料は地質学的標準資料として久慈I,久慈IIの久慈産と,海鹿島,波止山No.1-1,波止山No.1-2,長崎海岸No.5,犬吠崎No.6-1,酉明浦No.7,酉明浦No.8の銚子産,竹折の宿の岐阜産,外国産として撫順III,Palmnicken, Dominica,及びDalmatiaのRetiniteを用いた.又,考古資料としては千葉県銚子市の粟島台遺跡のもの2種,奈良県富雄丸山古墳,於古墳,慈恩寺脇本古墳より出土したものを用いた.元素分析の結果は地質学的資料はC:H:0=43〜208:70〜350:4,考古学的資料はC:H:O=19〜56:29〜91:4で,考古学的資料のほうがばらつきは少ない.赤外吸収スペクトルは全波長領域にわたって産地特有のパターンを示し,同一産地は同一パターンであった.考古出土品の原産地については富雄丸山古墳,於古墳,脇本古墳の2資料はいずれも久慈産のスペクトルの特徴をそなえており,粟島台遺跡の2資料は銚子産のものと同定した.これは古墳時代に東北久慈のコハクが,近畿地方にまでゆきわたっていたことを示している.
著者
竹中 亨
出版者
日本膜学会
雑誌
(ISSN:03851036)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.201-210, 1987-07-01 (Released:2011-03-04)
参考文献数
63

Recent studies on infrared and Raman spectra of monolayers, bilayers, and Langmuir-Blodgett (LB) films are reviewed. Regarding infrared measurements of these films, the transmission, attenuated total reflection (ATR), reflection-absorption (R-A), and surface electromagnetic wave (SEW) techniques are outlined. For Raman measurements, on the other hand, the external reflection, optical waveguide, and total internal reflection techniques are briefly described. The advancement of these techniques and the improvement in sensitivity of infrared and Raman spectrophotometers allowed us to study the structure and molecular orientation even in single monolayers at various interfaces.The infrared ATR spectroscopy of stearic acid LB films indicates that there exists the structural and orientational heterogenity among the first few monolayers. The R-A spectroscopy of cadmium arachidate LB films suggests the almost perpendicular orientation of the molecular axis on the silver substrate as well as significant disruption of molecular conformation and lateral packing during heating and melting processes. Application, of the total internal reflection spectroscopy to the study on resonance Raman spectra of spread monolayers on water and of adsorbed monolayers at an oil-water interface indicates changes in molecular orientation and interaction with changes in the amount of molecules in the monolayers.