- 著者
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蝶 慎一
- 出版者
- 独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構(旧 大学評価・学位授与機構)
- 雑誌
- 大学評価・学位研究 (ISSN:18800343)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, pp.1-17, 2020-03-01 (Released:2020-03-30)
- 参考文献数
- 74
本稿の目的は,「学生担当職」の担い手の実態と役割,必要な資質・能力を歴史的に考える上で,そのルーツを考察することである。具体的には,1950年代半ばの「学生部職員名簿」に基づき,実態,資質・能力の諸相を明らかにする。更に,「第3回研修」を事例に,そこで参画していた「学生担当職」が,その後各大学で「厚生補導」の要職に就いていった可能性に言及した。本稿の知見を整理すれば,以下の3点である。第1に,「学生担当職」は,教員,事務職員の双方が「学生部」という組織を乗りあいにして業務を担っていた。第2に,教育的かつ実践的な資質・能力が求められていた。第3に,全国規模の研修では教員,事務職員の双方が「講師」や「助言者」を担当していた。しかし,教員,事務職員の双方がどのように協働しながら各大学で「厚生補導」を普及・推進させていくのか,という現代に至る学生支援の課題は,既に1950年代半ばに析出されていた。