著者
笠原 靖史 今井 千速
出版者
一般社団法人 日本小児神経外科学会
雑誌
小児の脳神経 (ISSN:03878023)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.211-219, 2021 (Released:2021-10-01)
参考文献数
59

膠芽腫は極めて速い増殖と強い浸潤性を併せ持ち,集学的治療によっても予後不良で新規治療の開発が待たれている.キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞(CAR-T細胞)療法は,モノクローナル抗体の抗原認識能力をT細胞へ付与する養子免疫細胞療法で,MHC非拘束性に強力な細胞傷害性を発揮する.近年,膠芽腫を対象としたCARが数多く報告され臨床応用が期待されている.本稿ではCARに関する基礎事項および造血器腫瘍での臨床使用に至る歴史につき紹介し,引き続き膠芽腫に対するCAR-T細胞療法の最近の発展につき概説する.
著者
小笠原 靖 岡田 千穂 赤野 裕文 畑江 敬子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1081, 2009

<BR>【目的】食酢を利用した肉の軟化法として、生肉を食酢等の酸性調味料に漬け込む(マリネする)方法については詳細に研究されている。しかし、食酢やレモン等の酸を用いて肉を加熱調理する料理は世界各国にあるものの、加熱調理時の肉の軟化効果に関する研究はほとんどなされていない。そこで、本研究は食酢を用いた加熱調理における肉の軟化効果について調べることを目的とした。<BR>【方法】1.食酢溶液、および、食酢と他の調味料(食塩、砂糖、醤油等)の混合溶液で煮た豚ヒレ肉、豚ロース肉、鶏ムネ肉の硬さをテクスチュアアナライザー分析と順位法による官能評価で調べた。また、加熱後の肉の水分量を測定した。さらに、豚ロース肉を用いてコラーゲン溶出量をアミノ酸分析計で調べた。2.肉の加熱時に食酢と他の調味料の添加順を変えた場合の豚ロース肉の硬さをテクスチュアアナライザーで調べた。また、順位法による官能評価で硬さと味の評価を行った。<BR>【結果】1.食酢溶液で煮た肉は水で煮た肉よりも軟らかかったが、食酢と食塩または醤油の混合溶液で煮た場合にはその効果が低下した。食酢と砂糖の混合溶液の場合にはその効果が保たれた。食酢溶液で煮た場合は肉の水分量、及び、コラーゲン溶出量が多かった。2.最初から食酢と砂糖と醤油で加熱する調理方法よりも、始めに食酢と砂糖のみで加熱し、後に醤油を加えて加熱する調理法の方が肉を軟らかくできた。味の嗜好性には有意差が無かった。また、最初に醤油と砂糖で加熱しておき、次に食酢のみの溶液に移し変えて加熱する調理法も同様に肉を軟らかくできた。これらの調理法を活用することで、食酢を利用し肉を軟らかく美味しく調理できるものと考えられた。
著者
吉田 達郎 小笠原 靖 岡田 千穂 押賀 佐知子 赤野 裕文 畑江 敬子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.60, 2008

<BR>【目的】<BR> 食酢を用いた減塩調味は実際の料理で広く利用されているが、どの程度の食酢の添加が減塩に効果があるのか詳細な検討は為されていない。本研究は実際の料理において食酢の添加が塩味に及ぼす影響を官能評価によって調べ、食酢を用いた減塩調味に関する知見を得ることを目的とした。本研究では、食塩濃度が異なり塩味強度が有意に識別される2種の料理が、食酢の添加で塩味強度が有意には識別されなくなることを減塩効果と定義した。<BR>【方法】<BR> 1)具材を含む中華スープ;酸度0.01~0.04%となる量の食酢を食塩濃度の低いスープにのみ添加し、食塩濃度の高いスープと塩味強度を2点識別法で比較した。2)サンラータン;両方のスープに酸度0.135%となる量の食酢を添加した場合を同様に調査した。3)豆腐;醤油に食酢を加えた酢醤油を豆腐にかけた場合の塩味強度を醤油単独の場合と比較した。また、食酢の代わりに水で希釈した醤油の評価も実施した。<BR>【結果】<BR> 1)では米酢で酸度0.01%、穀物酢で0.02%、米黒酢で0.04%分の食酢の添加で減塩率12.5%の減塩効果が確認された。2)では3種の食酢で減塩率12.5%および25%の減塩効果が確認された。3)では減塩率12.5%の減塩効果は確認できなかったが、同じ食塩濃度での比較では希釈した醤油よりも酢醤油の方が塩味が有意に強かった。1)3)で食酢の添加による塩味の増強効果が確認されが、その場合の食酢の濃度範囲や減塩効果は限定的であった。一方、3)で酸味を感じるために塩味が弱くても嗜好されたことや2)で酸味を強く利かせた場合に塩味の差が識別されなくなったことから、塩味の不足を酸味で補う調味法もまた有効な減塩法であると考えられた。
著者
平岡 俊景 篠木 浩 牧野 快彦 洞 尚文 杉原 充 小川 雅司 谷本 徹二 二宮 忠司 西薗 功 芦原 義弘 笠原 靖
出版者
一般社団法人 日本臨床化学会
雑誌
臨床化学
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.305-309, 1994

ドライケミストリー法は, 面倒な試薬調製が一切不要で, 簡単に検査ができ速やかに結果が得られる測定法で, 方式として多層分析フィルム法と試験紙法が知られている。一方C反応性タンパク質 (CRP) は急性炎症を初期の段階で鋭敏にとらえることができるため, 測定の迅速性、簡便性が強く求められている。我々は血清中のCRPを迅速簡便に測定する多層分析フィルムを開発した。本法は細菌由来のα-アミラーゼで標識した抗ヒトCRPモノクローナル抗体と, 不溶性澱粉を用いることを特徴とする均一系酵素免疫反応に基づき, 展開層, バリア層, 発色試薬層の3層で構成される。専用測定機 (富士ドライケム5500/3000) を用い検討した結果, 検出感度は0-5mg/100m農で精度や従来法との相関性は良好であった。
著者
平岡 俊景 篠木 浩 牧野 快彦 洞 尚文 杉原 充 小川 雅司 谷本 徹二 二宮 忠司 西薗 功 芦原 義弘 笠原 靖
出版者
一般社団法人 日本臨床化学会
雑誌
臨床化学 (ISSN:03705633)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.305-309, 1994-12-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
16

ドライケミストリー法は, 面倒な試薬調製が一切不要で, 簡単に検査ができ速やかに結果が得られる測定法で, 方式として多層分析フィルム法と試験紙法が知られている。一方C反応性タンパク質 (CRP) は急性炎症を初期の段階で鋭敏にとらえることができるため, 測定の迅速性、簡便性が強く求められている。我々は血清中のCRPを迅速簡便に測定する多層分析フィルムを開発した。本法は細菌由来のα-アミラーゼで標識した抗ヒトCRPモノクローナル抗体と, 不溶性澱粉を用いることを特徴とする均一系酵素免疫反応に基づき, 展開層, バリア層, 発色試薬層の3層で構成される。専用測定機 (富士ドライケム5500/3000) を用い検討した結果, 検出感度は0-5mg/100m農で精度や従来法との相関性は良好であった。
著者
坂尾 誠一郎 巽 浩一郎 笠原 靖紀
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

慢性血栓塞栓性肺高血圧症における血栓内膜摘出術検体より分離した肉腫様細胞は、肺動脈原発血管内肉腫(intimalsarcoma)に非常に近い特徴を有することが示された。また肉腫様細胞ではmatrixmethalloproteinase(MMPs)遺伝子発現が著名に上昇していたため、抑制実験としてMMPs阻害薬のbatimastatの投与実験を施行した。その結果invitro、invivo共に腫瘍細胞増殖抑制効果を示し、以上からbatimastatによるintimalsarcomaへの臨床応用の可能性が示唆された。しかし、当初の目的である摘出血栓からの造血幹細胞分離・臨床応用に関してはさらなる検討が必要である。
著者
岩崎 倫政 笠原 靖彦 船越 忠直 金城 政孝 藤崎 和弘 三浪 明男
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

Stromalcell-derivedfactor-1(SDF-1)を高純度硬化性ゲルに添加し、ウサギ膝軟骨損傷部に移植することで良好な軟骨組織再生が獲得された。本研究成果より、軟骨損傷に対する無細胞移植治療の可能性が示唆された。