著者
阿部 誠 Makoto Abe 東京大学大学院経済学研究科・経済学部
出版者
日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 = Journal of the Japan Statistical Society (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.271-297, 1999-12-01
参考文献数
35
被引用文献数
1 2

多項ロジット型の離散的選択モデル(Multinomial Logit Model of Discrete Choice)の効用関数に使われる説明変数は通常, 線型または関数変換後の和として設定されるが, この研究では効用関数を個々の説明変数による1次元のノンパラメトリック関数の和とし, 変数の非線的な反応をよりフレキシブルに推測する.このモデルは二項従属変数を対象とするGeneralized Additive Modelsによるロジスティック回帰(logistic regression)を一般化し, 3つ以上の値をとる多項従属変数に対処する.シミュレーションによると, 様々に設定された変数の非線型反応が復元された.このモデルの応用として, スーパーマーケットからバーコード・スキャナーで収集された2種類の商品カテゴリーの世帯別購買パネルデータを用いて, 消費者がマーケティング変数にどのような非線型的反応をしているかを検討した.また, マモグラム経験の医学データにも当てはめられて, モデル構築と診断にどのように役立つかを示した.

2 0 0 0 獨協経済

著者
獨協大学経済学部
出版者
獨協大学経済学部
巻号頁・発行日
1991
著者
道上 真有 Mayu Michigami 桃山学院大学経済学部兼任
出版者
桃山学院大学総合研究所
雑誌
桃山学院大学経済経営論集 = ST. ANDREW'S UNIVERSITY ECONOMIC AND BUSINESS REVIEW (ISSN:02869721)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.53-97, 2007-09-28

The purpose of this paper is to analyze the Russian market economy, focused on the Russian housing market. The evolution of the housing privatization in Russia is described. The results of author's analysis are the following.1.The housing privatization is developed and its share is about 80%.2.The private dynamism has improved the housing quality, particularly since 2000.3.The housing affordability has improved since 1999.4.Russian economic development let the task of housing policy change from the housing supply to the improvement of housing quality.5.The reform of the utility system has started by increasing in utility rate since 2001.6.The Russian municipal authorities should consider the renewal of the real estate value. It will promote the mobility of housing market.7.The correlation between the share of Russian housing investment and the Russian economic development draws the inverse U curve. It shows that Russia has already been the developed economy.8.The appreciation of housing price in Russia's big cities is emerging. The disparity in housing price widens among regions in Russia.
著者
中島 清貴 Kiyotaka Nakashima 京都学園大学経済学部
出版者
京都学園大学経済学部学会
雑誌
京都学園大学経済学部論集 (ISSN:09167331)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.75-115, 2006-03-01

本稿は,Christiano, Eichenbaum, and Evans [1996a][1996b] のアプローチを援用することで外生的な金融政策ショックの識別を図り,金融政策ショックの金利期間構造に与える影響を構造VAR の方法に則って分析している。また,日本のマクロ経済に構造変化が生じていることの可能性を統計的に吟味すべく,誘導形のVAR モデルに対して構造変化の検定を適用したところ,1995年頃に構造変化が生じていることの可能性が指摘される。この1995年の時期は,バブル崩壊以降の不況に対応すべく,日銀がその操作目標であるコール・レートの誘導水準を0.5%以下に設定することに始まった低金利政策の開始時期と期を一にしており,この低金利政策を端緒として国債のイールド・カーブは下限へと推移するに至った。本稿では,この1995年の構造変化時点を,日本のマクロ経済・金融政策・金利期間構造,以上3つの分析対象に対する結節点と捉え,構造変化時点の前後で,金融政策ショックに対する金利期間構造への影響の仕方が如何様に変質しているのかを議論している。そこで,本稿の分析から得られた事実は以下の通りである。第一に,金融政策ショックの国債イールドに与える影響は,1995年以前においては,短期の国債ほど大きな影響が付与され,残存期間の長い国債ほど影響は小さくなっていく。ここでの結果は,米国の戦後の国債データを用いて同様の研究を行ったEvans and Marshall [1998] の指摘するところと同じものである。第二に,1995年以降においては,逆転現象が起きており,短期の国債ほど金融政策ショックに対する影響は小さく,残存期間の長い国債ほど影響は大きくなっていく。第三に,金融政策ショックに対する期間プレミアムへの影響に関して,1995年以前においては,全ての残存期間の国債に負の期間プレミアムが課されることの可能性が指摘される一方,1995年以降においては,全ての残存期間の国債に正の期間プレミアムが課され,両期間共に残存期間の長い国債ほどその影響が大きくなっていくことの可能性が指摘される。第四に,金融政策ショックに対する期間プレミアムの動向を受けて,前期では,金融政策引締めに伴って生じる将来消費の落ち込みというリスクに対して,無担保翌日物コール・レートを安全資産収益率と位置付けた時,国債市場が依然リスクのヘッジ機能を果たしていた可能性が指摘され,対して後期では,金融引締めに伴って,日本の国債市場がリスクのヘッジ機能を果たさなくなってしまう可能性が指摘される。このことから,ゼロ金利政策を解除するための要件として,ゼロ金利解除の時期までの将来の短期誘導金利の経路を日銀が明確にアナウンスすることを通じ,市場参加者の期待形成の大幅な改訂を伴うような事態をあらかじめ回避していくことが求められる。
著者
川田 耕 京都学園大学経済学部
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.53-67, 2008-09-01
著者
川田 耕 Koh Kawata 京都学園大学経済学部
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.47-60, 2008-02-01

現代の香港においてもっとも優れた映画監督、許鞍華(1947年~)の作品を通時的に分析することによって、そこに世界と自己をめぐる独創的な認識が展開されていることを明らかにする。許鞍華は、78年のテレビ・ドラマ『来客』から82年の『投奔怒海』にいたる「ベトナム三部曲」において、返還後の香港の運命を寓話的に警告するなどといった社会的な批判をすることにとどまらず、我々の生きる世界が根源的に理不尽で過酷なものであるという迫害的な世界観を激しい憤怒をもって提示した。けれども、次第に自分の人生への回顧と自省の傾向を強めていき、母親との和解を主題とした90年の『客途秋恨』以降は、具体的な人間関係を主題とするより安定したものに変化するとともに、男たちの身勝手な姿を辛辣に、しかし悲哀をもって描くようになる(『女人、四十』『半生縁』など)。こうした転換をへて、許鞍華は、かねて散発的に取り上げてきた「望まれない妊娠」というモチーフを中心的なテーマにすえてそれに内省的に取り組むにいたる。それが許鞍華の映画作家としての頂点をなす『千言寓語』(99年)と『男人四十』(2001年)であり、そこで彼女は、理不尽にもみえる世界と社会のなかでの、愛情と生殖と欲望をめぐる、生きることのダイナミズムを表現する。さらに『姨媽的後現代生活』(06年)では、自分の人生への失望とともに、後の世代への希望を表明する。
著者
桂 昭政 Akimasa Katsura 桃山学院大学経済学部
雑誌
桃山学院大学経済経営論集 = ST. ANDREW'S UNIVERSITY ECONOMIC AND BUSINESS REVIEW (ISSN:02869721)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.79-104, 2011-03-30

SNA's bank output measurement depends on interest margin, i.e. the difference between lending interest and deposit interest. But interest margin does not correspond to the market transaction. Therefore SNA exercises bank output measurement through imputation that assume marketable bank output. By employing imputation, SNA's bank output measurement method has continually changed. For example, 53SNA estimated bank output through imputed interest, 68SNA estimated it through imputed bank service, 93SNA estimated it through FISIM. I think that confusion in SNA bank output measurement is due to the consideration that regards bank output value as interest margin based on financial intermediation function. So I think that it is important to consider bank fundamental function theoretically and bank marketable output. Recently I examined the former, i.e. bank fundamental function theoretically through my university paper (ST. ANDREW'S UNIVERSITY ECONOMIC AND BUSINESS REVIEW) and concluded that bank fundamental function is not financial intermediation but credit creation that is the lending that provides borrower to guarantee the payment through the checking account and that it is mistake for SNA to regard bank output as interest margin based on financial intermediation. In this paper I examined the latter, i.e. what is bank's marketable output. This examination makes up the defect of my former paper. Bank industry or generally industry itself produces output, i.e. goods and services through the combination of labor and capital or asset, therefore bank output does not correspond to interest but to goods and services. Because bank provides borrower to guarantee the payment through checking account, it is able to understand that bank sells the service to guarantee the payment to the borrower. After above examination, I concluded that bank output is receipt for the lending service that provides the borrower to guarantee the payment through the checking account.