著者
阿部 誠也 川名 真理子 舟越 亮寛
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.169-176, 2021-02-28 (Released:2021-03-20)
参考文献数
17

Objective: Sodium valproate granules (VPA granules) are extremely hygroscopic, deliquesce slowly in the air, and aggregate depending on temperature and humidity conditions. Although pharmacists are required to maintain drug storage conditions until the time of dispensing, they cannot keep track of the actual storage conditions maintained by the patients thereafter. Therefore, we investigated the actual temperature and humidity of the storage conditions maintained by the patients after delivery of the VPA granules.Methods: We conducted a prospective observational study at Kameda Medical Center on pediatric outpatients who were prescribed VPA granules from July 5, 2018 to February 20, 2019. A portable data logger capable of measuring temperature and humidity for 24 h was delivered at the time of dispensation. At the following visit, the data logger was collected, and data about temperature and humidity were obtained. We defined the suitable temperature as 1.0-30.0℃ and suitable humidity as 75.0% or less.Results: In this study, 13 patients were included. In total, 18 data loggers were distributed, and the return rate was 100.0%. The storage temperature was outside the suitable range in 0.8% of the total observation time whereas the humidity exceeded 75.0% in 1.7% of the total observation time.Conclusion: Storage of medications after dispensation was evaluated, and certain temperature and humidity deviations were observed. As storing a drug in an inappropriate environment changes the nature of the drug, affecting its efficacy and safety, it is necessary to educate patients on the proper methods to store oral medications.
著者
阿部 誠
出版者
日本マーケティング・サイエンス学会
雑誌
マーケティング・サイエンス (ISSN:21874220)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.1-5, 2016 (Released:2017-03-06)

統計的仮説検定において,以下のような経験をした研究者も多いのではないだろうか?(1) 統計的仮説検定が有意にならなかったので,p値が0.05より小さくなるまでサンプル数を増やした。(p-hacking)(2) 有名な論文の内容を再検証しようとリプリケーション・スタディーを行ったのだが,結果を再現できない。(3) ビッグデータを使って,男性と女性100万人のIQスコアから 2 群の差の検定を行った。その結果,標本平均の差は0.1以下だったが t値が10で帰無仮説が却下された。標本サイズが大きすぎるようだ。(4) 統計の初心者は,t値が大きければ大きいほど(あるいは p値が小さければ小さいほど) その効果自体が大きいと,標準化係数(効果量)との概念を混同しがちである。 統計的仮説検定に関する批判は70年代から議論されていたのだが( Morrison and Henkel1970),この10年ほどの間に大きな変化が起きつつある。ひとつは検定力分析の重要性,もうひとつはベイズ推論である。これらはマーケティング・サイエンスの研究者にとっても,実験計画や分析において将来,重要になる可能性があるので紹介しておく。
著者
中澤 高志 阿部 誠 石井 まこと
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.1-21, 2009-01-28

The purpose of this study is to investigate the work experiences of the graduates of two vocational high schools in Oita prefecture in the context of the local labor market. J industrial high school is located in Nakatsu City, where the local labor market is buoyant because of the recent establishment of an automobile plant, whereas K commercial high school is situated in Oita City, which is the prefectural capital and boasts a population of 470,000. We interviewed 10 graduates from each vocational high school. Most of them were in their early twenties and had graduated from the high schools when the labor market was quite stagnant. The graduates of J high school whom we interviewed were all male. The typical job of this school's graduates was working as fabrication workers in manufacturing plants. Some of them were compelled to quit the job owing to the monotonous and intense operations or personal problems in the workplace; on the other hand, for others, it was their first job, and they were developing their occupational skills. The main factor that differentiated the two types of work experiences was not personal employability but the status of labor management and human relationships in the workplace. Most of the J high school graduates said that the vocational curriculums in the high schools were not helpful in their jobs in the manufacturing plants. However, they considered the manufacturing jobs to be suitable for the graduates of industrial high schools, such as themselves. They often changed their jobs, but were mainly employed in manufacturing plants. The graduates of K high school whom we interviewed were all female. For all but one interviewee of this school, the current job was their first job. Their typical job entailed working as support staff in the offices of local companies. They planned to quit their jobs when they got married or had children. Although they hoped to follow this course in life, it can be assumed that their jobs and workplaces were not challenging enough, and hence, they did not feel motivated to continue working after marriage or childbirth. Although most of the K high school graduates, similar to the J high school graduates, said that the vocational curriculums were not directly helpful in their workplaces, the business classes helped them develop a positive attitude toward their work in the office. Judging from the accounts of the graduates of the two vocational high schools, the vocational high schools gave the students the ideal environment to develop a positive attitude toward work and an occupational identity, rather than serving as a place where specific knowledge and skills, which were necessary for a specific occupation, could be acquired. Hence, we can conclude that in the context of the local labor markets, the role of the vocational high schools is to prepare graduates who could be immediately absorbed in a specific sector of the local labor markets.
著者
阿部 誠
出版者
日本マーケティング・サイエンス学会
雑誌
マーケティング・サイエンス (ISSN:21874220)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.29, 2020 (Released:2021-05-10)

顧客の離脱を観測できない非契約型CRMでは,BTYD(Buy Till You Die)モデルを使うこ とによって離脱を推測できる。その代表的なモデルであるPareto/NBD では,リセンシーと フリクエンシーという最小限の購買データから推測を可能にするために,購買行動に強い仮 定を置いている。しかし,購買がランダムに発生するという仮定は,周期性のある店舗,カ テゴリー,商品の購買には相応しくない。また,購買率と離脱率に関する 2 つのガンマ分布 が独立という仮定では,購買行動と離脱行動の関係が無視されている。 本研究では,個々の購買の時点と金額を含んだ顧客購買履歴データを用いて,周期性の有 り無しいずれの購買行動にも対応する柔軟な顧客生涯価値モデルを構築する。先行研究が豊 富なPareto/NBD 系モデル同様,離脱はランダム, 1 回当たりの購買金額は顧客内で対数正規 分布にしたがうと仮定する一方,購買には周期性に対応するロジスティック閾値モデルを採 用する。提案モデルからは,生涯価値や購買の規則性など,CRMに有用な様々な顧客別のマー ケティング指標が得られる。 実証分析では,ヘアサロンの購買(訪問)履歴データを用いて,ランダム購買を仮定した個 人モデル(PE)と混合分布による集計モデル(Pareto/NBD)とで比較した。その結果,検証デー タでの予測精度に関しても,パラメータの安定性に関しても,提案モデルがPE やPareto/ NBDより優れていた。さらに顧客維持戦略への応用として,生涯価値の増加を最大にする 最適介入レベルを顧客別に算出した。
著者
阿部 誠 守口 剛 八島 明朗
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-12, 2015 (Released:2015-07-17)
参考文献数
21
被引用文献数
1

行動経済学では,時間軸における選好の逆転現象を割引で説明する場合が多い.一方,心理学や行動意思決定理論の分野では,時間を含めた心理的距離の変化による選好の逆転を解釈レベル理論の枠組みで分析する研究が多数,存在する.本研究では,割引の概念を解釈レベル理論に組み込んだ割引解釈レベルモデル(DCLM)を提案する.具体的には,割引の適用を時間も含めた一般的な心理的距離に拡張し,割引傾向の違いに関する2つの要因,量的効果と符号効果を仮定する.本論文では,これらを3つのプロポジションとして提案し,ロトの選択に関するアンケート調査に基づいて統計的に検証する.その結果,DCLMが時間軸も含めた一般的な心理的距離の変化による選好の逆転を説明,予測できることを示す.
著者
阿部 誠文
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09162151)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.79-94, 1999-02

小稿は、旧ソ連抑留俳句のうち、第一方面軍軍医部長であり、細菌戦準備にかかわったとして矯正労働二五年の刑を受けた川島炬士と満州国交通部次長であった田倉八郎の俳句を取りあげる。両者の共通しているのは、要人・高官という身分の高さであり、高齢であったことである。抑留生活も身分によって、その待遇がことなり、収容所の環境や食事、労働の程度も違っていた。前稿「行方なき非道の旅路-旧ソ連俳句=船水以南・佐久間木耳郎」と比べれば、いっそうはっきりする。要人・高官・高齢者の抑留生活は、一般兵士や民間人の抑留生活と比べれば、俘虜の日溜まりのようにゆるやかであった。そのことを明らかにして、旧ソ連抑留俳句の一面を明らかにしたい。
著者
阿部 誠
出版者
日本マーケティング・サイエンス学会
雑誌
マーケティング・サイエンス (ISSN:21874220)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-5, 2013 (Released:2013-07-17)
参考文献数
2

ITの発達により大量のデータを容易に収集できるようになった。たとえば,バーコードのスキャン技術によって,商品の売り上げは,バラエティー,色,フレーバーなども区別した品番単位(これはSKU,stock keeping unitと呼ばれる)で,日別,店舗別に蓄積される。Eコマースでは,消費者の購買履歴が世帯別にレシート単位で自動的に記録されており,通常のデータベースでも何百万,何千万ものレコードが含まれている。しかし,これだけ大量になると,生データのままでは処理の収拾がつかない。そこで第 1 のステップは,まずデータをある程度,集計し,その上で記述統計(平均や分散)を分析したり因果関係をモデル分析したりすることであろう。たとえば個々の顧客の購買や各店舗での販売を集計して,「売上」という指標を作って,それを分析する。しかし,このような集計データの分析はいくつかの難しさを抱えている。本稿の目的はそれを研究者や実務家に知ってもらうことである。
著者
阿部 誠 Makoto Abe 東京大学大学院経済学研究科・経済学部
出版者
日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 = Journal of the Japan Statistical Society (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.271-297, 1999-12-01
参考文献数
35
被引用文献数
1 2

多項ロジット型の離散的選択モデル(Multinomial Logit Model of Discrete Choice)の効用関数に使われる説明変数は通常, 線型または関数変換後の和として設定されるが, この研究では効用関数を個々の説明変数による1次元のノンパラメトリック関数の和とし, 変数の非線的な反応をよりフレキシブルに推測する.このモデルは二項従属変数を対象とするGeneralized Additive Modelsによるロジスティック回帰(logistic regression)を一般化し, 3つ以上の値をとる多項従属変数に対処する.シミュレーションによると, 様々に設定された変数の非線型反応が復元された.このモデルの応用として, スーパーマーケットからバーコード・スキャナーで収集された2種類の商品カテゴリーの世帯別購買パネルデータを用いて, 消費者がマーケティング変数にどのような非線型的反応をしているかを検討した.また, マモグラム経験の医学データにも当てはめられて, モデル構築と診断にどのように役立つかを示した.
著者
阿部 誠治
出版者
関西大学法学研究所
雑誌
ノモス (ISSN:09172599)
巻号頁・発行日
no.18, pp.13-24, 2006-06
著者
堀越 一孝 伊藤 恒 福武 滋 阿部 誠也 角田 賢史 渡邊 宏樹 亀井 徹正
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.601-605, 2019 (Released:2020-06-02)
参考文献数
7
被引用文献数
1

Hybrid Assistive Limb医療用下肢タイプ(HAL®)による歩行運動療法を継続した筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)の1例を報告する.症例は61歳女性.4点杖による介助歩行が可能で,座位・立位姿勢にて頸部と体幹の前屈を認めていた.Edaravoneの経静脈的投与と並行して,歩行能力の維持を目的として1クールあたり20分/日×9日を基本とするHAL®による歩行運動療法を開始した.1クール目の終了時には歩行機能が改善し,14~31日のインターバルをおきながら歩行運動療法を継続した.経過を通じて歩行機能は緩徐に低下したが,歩行運動療法の各クール終了時には歩行機能の改善が認められた.また,座位での頸部・体幹の前屈が一過性に改善した.HAL®による歩行運動療法を継続することにより,短期的ではあるが,歩行機能と体幹機能の改善が期待できることが示唆された.
著者
阿部 誠 山田 正人 井上 雄三
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第17回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.350, 2006 (Released:2006-10-20)

ミミズの忌避行動に着目した浸出水試料の環境影響評価試験の開発を行った。オオミジンコの急性毒性試験の結果と比較したところパラレルな応答が得られた。また、浸出水に含まれる塩分を考慮し、NaCl水溶液を対照区とした試験を行った結果、塩分以外の要因による忌避性を検出することができた。
著者
阿部 誠文
出版者
本阿弥書店
雑誌
俳壇
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.198-203, 2017-09