著者
羽多野 裕 福居 顯二
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.384-390, 2013-10-15 (Released:2017-02-03)
参考文献数
45

Informed consent(説明と同意)は患者中心の医療を行ううえで重要なプロセスであるが,患者・医療者双方ともにその重要性の認識は未だ不足している。また急速な高齢化による認知症患者の増加により,同意能力が低下し自らの医療の決断に困難を要する患者に対する意思決定支援が今後急務となる。しかし支援体制はまだ充足しているとはいえず,代理意思決定権の問題についても法的整備が追い付いていないのが現状である。認知症をはじめとする精神疾患患者を診断・治療し意思決定を支援することは,これからの精神科医の役割として重要である。
著者
辻井 明日香 笠島 崇 羽多野 裕之 山里 敬也
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.12, pp.918-927, 2022-12-01

超音波を利用したセンサは車載用途や産業用途において障害物の検知センサとしてよく用いられる.一方で,検知距離及び検知速度の問題から駐車支援などの準停止,近距離用途に限られる.本論文では,超音波センサを用いた低速自動運転などに適用可能な障害物位置推定システムの開発を目標とし,短時間で広範囲測定が両立する検知手法を検討する.提案するシステムでは,送信部に検出平面に対して垂直にアレイ化した超音波センサを用いることで,扇状のビームを形成し,目的の範囲を1回の検知で網羅する.実証実験を実施した結果,提案するシステムを用いて20 km/hで走行する障害物(自動車)を15 m先かつ速度誤差約2.2%で検知することに成功した.また,受信センサアレイを用いた多辺測量により位置推定が可能であることを確認した.以上の結果より,提案するシステムは低速走行条件において有効であることを示した.
著者
羽多野 裕之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.166, pp.31-36, 2008-07-18
被引用文献数
1

高度交通システム(ITS:Intelligent Transport System)実現のための要素技術の一つである近距離障害物検出システムとして,駐車支援のためのレーダネットワークの構築を検討している.特に測距装置として,安価で信号処理が簡単な超音波レーダを利用した構築を行う.本稿では,この要素技術である超音波アレイエミッタと位置推定アルゴリズムについて述べる.超音波アレイエミッタは,一般的な超音波エミッタが問題として抱える送信出力の不足を,複数のエミッタ素子を用いることで解決を図る.特に,提案手法では各エミッタ素子への信号を制御することにより駐車支援で必要とされる領域に隈なく出力の増幅が可能となる.位置推定アルゴリズムでは,高精度な位置推定と複数障害物の検出とを実現するために,確率演算に基づくアルゴリズムを述べる.本アルゴリズムでは,測距値と各センサの測距誤差特性,各センサの位置を利用した確率演算から導かれた障害物の存在確率分布によって障害物の位置を推定する.また,以上の要素技術を実装した試作機を通した特性評価についても述べる.