著者
花村 克悟
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究において、熱エネルギーにより加熱されたタングステン製平滑面エミッター表面をGaSb製光電池に近づけることにより、通常の伝播光に比べて、エバネッセント波効果により、およそ4倍の発電密度となることが示された。さらに数値シミュレーションモデルを独自に開発し、対向するピラーアレイ構造表面において、ピラー間隙間の表面プラズモンがその深さ(ピラー高さ)により周波数制御できる(すなわちエバネッセント波の波長制御となる)ことを示した。
著者
花村 克悟
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は,加熱された表面近傍(光の波長程度)に生ずる近接場光をナノスケールの隙間(ナノギャップ)を介してGaSb系の熱光起電力電池(Thermophotovoltaic Cell : TPV Cell)へ導き電力を得る,ナノサイズ発電システムについて検討したものである.真空容器内にこの電池と鏡面研磨されたタングステンエミッター(放射体)を向い合わせ,両面をゴニオメーターで平行に保ちつつ,高精度マイクロメーターで接触するまで近づけた.8mm×2mmのエミッター面積に対して隙間が40μm以下となると,形態係数はほぼ1となり,隙間が10μm程度までは出力電力は一定となる.さらに隙間を狭くした場合,この領域では簡易マイクロスコープを用いて隙間を測定することができない.そこで,出力がゼロとなる接触した位置をゼロ点とすることを試みた.したがって,多少,この領域での隙間の精度が低い.出力がほぼゼロ,すなわちその位置において,外部負荷を変化させたときの電流-電圧特性曲線が得られない位置を隙間ゼロとすると,隙間が約2.5μmにおいて急激にエミッター温度が低下し,出力も低下した.さらに,隙間が1μmより小さくなるとエミッター温度が低下し続けるにもかかわらず,出力がいったん増大した.そこからわずかに近づけると出力は急激に低下し,そこでは外部負荷を変化させたときの電流-電圧特性曲線を得ることができなかった.これらのことから,隙間が2.5μm以下になると,電力には変換されない長波長域のふく射に対して近接場効果が顕著となり,熱移動が促進される.このため,加熱用のレーザー入力が一定条件では,エミッター温度が低下する.これに伴い,出力電力が低下する.隙間が1μmあるいは400〜500nm程度まで狭くなるとエミッター温度が低下するものの,電力に変換される波長のふく射の近接場効果が顕著となるため,出力が増大したものと考えられる.したがって,加熱面近傍に生ずる近接場光による,熱エネルギーから電力へのエネルギー変換の実現が示唆されたものと考えられる.
著者
花村 克悟 牧野 俊郎 宮崎 康次 高原 淳一 森本 賢一 若林 英信
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究において、ピラーアレイ構造表面を対向させることにより、ピラー間隙間の表面プラズモン共鳴より波長制御輸送が可能となること、およびピラートップ面においてs偏光波となる電磁波はピラー側面おいてp偏光波となることから、長波長成分のエネルギー輸送はむしろ平滑面に比べて抑制されることが示された。また、スプリットリング共鳴器アレイ構造を利用した白熱電球により、電気から可視光への変換効率が通常の2倍となることが示された。
著者
花村 克悟
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、多孔質体内部で燃焼熱を光や熱ふく射に変換し、熱光起電力電池(Thermophotovoltaic Cell : TPV Cell)によって発電する,新規なエネルギー変換システムを提案し,その熱効率や自立分散型発電システムとしての可能性について検討したものである.その構造は,断熱された30mm×30mmの流路内に厚さ10mmのセラミック多孔質体を流路中心に充填し,その両側に20mmの燃焼空間および石英多孔板(厚さ3mm,φ2.5mm×75孔,開口比35%)を1mm間隔で10枚づつ配置したものである.ここへ周期的に流動方向を反転させながら空気を供給し,流動方向に合わせて燃焼空間に燃料を供給し中央のセラミック多孔体を加熱する.この燃焼ガスは下流側の石英多孔質体を通過する際,顕熱が蓄熱されるので,温度低下を伴って排出される.流動方向が反転すると,この蓄熱された熱により空気が予熱された後,燃焼空間に流入する.この熱循環により,わずかな燃焼熱でセラミック多孔質体が1500K程度まで加熱される.数値計算によれば,燃焼熱の約70%がふく射エネルギーとして系外に取り出され,2.2μmまで電力に変換できるTPV電池により熱効率15%が期待される.また,試作した実験装置を用いて発電したところ,電池への入射ふく射エネルギー強度の非一様性であるとか,電力変換に有効な短波長成分が周囲の断熱材に吸収されることなどにより,トータル熱効率は0.2%に留まっているが,この装置で最高温度が目標の1500Kに達していることから,発展性が期待できることが明らかとなった.なお,このシステム内の加熱用として,直径5mmのミリサイズスワールバーナーも同時に開発し,このような微小サイズでは壁面での角運動量損失や熱損失の影響が大きく,スワール数1前後の最低な条件で利用する必要があることが明らかとなった.
著者
花村 克悟 伊原 学
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

鏡面研磨されたニッケル金属表面に製作された0.5μm×0.5μm×0.5μmのマイクロキャビティにより、遠方で計測される伝播成分について、このキャビティサイズに相当する空洞共振波長(0.89μm)近傍において放射率は0.95と高く、また、カットオフ波長1μm より長い波長では、鏡面放射率に等しいおよそ0.2程度であることが示され、波長が制御できることが明らかとなった。さらに、このマイクロキャビティ内部からの放射を、マックスウェル方程式を解くことで、近接場成分がキャビティ外部まで達していることが明らかとなり、擬似的な近接場光として検出できること、さらに伝播成分と同様にこのキャビティにより波長制御が可能であることを示唆した。そこで、この擬似近接場光強度とその波長選択性を明らかにするために"真空型近接場光学顕微システム"装置を独自に開発した。一方、分子線エピタキシャル装置を用いて、波長1.8μmまでの赤外線を電気に変換できるアンドープGaSb電池を作製した。そして、黒体炉を用いた等強度半球入射光による発電効率測定装置を独自に開発し、伝播成分による発電効率を明確にできることを示した。さらに1000Kに加熱された放射面と電池を真空容器内で数百ナノまで近づけることにより、伝播成分に比べて、開放電圧1.4倍、短絡電流4倍の出力が得られることを明らかにした。
著者
花村 克悟 伊原 学
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、様々な熱源によって加熱された赤外線放射体表面近傍に生ずる近接場光領域に、真空ナノスケール隙間(ナノギャップ)を隔てて熱光起電力電池(Thermophotovoltaic Ce11;TPV Cell)を向かい合わせ設置し、その領域の高電界強度を利用することで高い発電密度を得ようとするものである娘まず、既存のTPV電池(フラウンホーファー研究所製)を用いて実験した。その表面には高ざ4μm、幅20岬の金電極が60μmのピッチで配置されている。そこで、接触を避けるためにタングステン放射体表面には溝が設けてある。長さ8mm、幅2mmの放射体表面を、高精度マイクロメーターにより近づけた場合、50μm以下の隙間では形態係数がほぼ1となり、それ以下に近づけても伝播成分の範囲では出力は増大しない。しかし、隙間が.1μm以下となると、短絡電流が4倍、開放電圧が1.4倍増大した。すなわち近接場効果により出力は5〜6倍に増大することが明確となった。さらに、この電極間隔を拡げる、あるいは、P型半導体内部に電極を埋め込んだ独自のGaSb系のTPV電池を、ロードロックチャンバーを接続した簡易薄膜装置により製作を試みた。n型GaSb系基盤上にp.型GaSb半導体をエピタキシャル成長させることに成功し、アンドープでありながら、p-n接合であることが確認でき、キャリア密度5.73×10^<17>cm^<-3>と.モビリティ1.35×10^2cm^2/Vsを得た。一方、GaSb系のTPV電池は、波長1.8μm以下の電磁波を電力に変換できるが、それより長い波長の電磁波を電力に変換できない。そこで、金属放射体表面にナノスケールのキャビテーを多数設け、光導波管の原理により放射光の波長選択を試みた。表面研磨されたNi表面の2mm×2mm'の領域に、縦横500nm四方、深さ500nmのキャビテーが幅250nmの壁を隔てて周期的的に作製されている表面を用意した。このサンプルを真空容器内に入れて裏面から炭酸ガスレーザーにより1052Kまで加熱した。分光測定の結果、波長が2μm以上ではNiの鏡面の放射率にほぼ等しく、それより波長が短くなると徐々に増大し、キャビテー幅が半波長に等しい波長1μmよりやや短い波長の放射率が0.95と極めて高くなることが明らかとなった。これらの組合せにより、選択波長近接場光を用いた新たなエネルギー変換が構築できることの手がかりを掴むことができた。
著者
花村 克悟 西野 近
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究は多孔質体内部の超断熱燃焼を用いてメタンを水素に変換する直接改質(部分酸化改質)についてその反応特性を理論的及び実験的に明らかにすることを目的としている。メタンと空気と水蒸気の混合気は周期的に流動方向を反転させながら、多孔質体内部に供給される。これにより混合気は多孔質体を通過する間に予熱される。一方中央部に設置されたNi系多孔質触媒内部で反応を終えた生成ガスが多孔質体出口に達する前にその顕熱は多孔質体に蓄熱される。そして、流動方向が反転するとこの蓄熱された熱エネルギーは混合気の予熱に供される。このエネルギー循環によって、火災最高温度が理論燃焼温度(断熱燃焼温度)を上回り、燃料過濃可燃限界を超える当量比約5まで可燃限界が拡張された。この時、供給されたメタンの約90%が水素へと転化され、生成ガス中には40%以上の水素が含まれることが明らかとなった。さらに、系全体のエネルギーバランスから、燃焼反応熱の約90%が改質反応熱に費やされることがわかった。さらに、反応処理速度を表す空間速度(SV値)が2600/hと従来の管式加熱炉に比べて5倍以上となることから、極めて効果的に水素が生成されることが明らかとなった。
著者
花村 克悟
出版者
岐阜大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究は、将来の軽量耐熱合金として期待されているTi-Al系金属間化合物(特に超格子構造を有するTiAl_3を中心として)の燃焼合成における反応機構について微視的な立場から燃焼反応を凍結させ、その凝固過程も含めて反応経路を明らかにすることを目的としている。平均粒径約20μmのTiとAlの粉末をモル比1:3の割合で混合した後、ステンレスダイと圧縮試験機により圧縮し圧粉体試料とした。これを予熱ヒーターを兼ねた断熱流路に設置し、Arガスを流しながら、400〜650℃に予熱した後、試料の一端に点火する。この場合の最高温度と燃焼速度から、アレニウスプロットを描くことによってその勾配から総括活性化エネルギーを得た。その値は、347kJ/molである。また、燃焼途中で圧縮窒素ガスを吹き付けることにより反応を凍結させ、その断面を鏡面研磨した後、電子顕微鏡にて元素分析を行った。その結果、島状の断面内部中央ではTiがほぼ100%であり、その中心から同心状にTiの原子%が減少していることがわかった。したがって、融点665℃のAlが溶融しTi粒子を覆うと同時に反応が両者の界面から始まり、反応速度はTi原子とAl原子の拡散現象に支配されている。すなわち、アレニウスの拡散係数に従った燃焼現象であり、そのときの活性化エネルギーが上記の値であると言える。なお、最高温度は化合物TiAl_3やTiAlの融点より低く、Ti表面に固相の化合物が生成されると考えられるが、Al濃度が高い領域では液状に近いことが相図からわかるので、比較的容易に拡散できるものと考えられる。さらに、固相であるとしてもCuの固体中にNiやZnが拡散する際の活性化エネルギー200kJ/molとオーダー的には等しく、このような固相をAlが拡散するとの見方も、それ程物理現象から逸脱するものではないことがわかった。
著者
花村 克悟
出版者
岐阜大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本研究は流路内に充填された多孔質触媒に、メタンと水蒸気と空気を周期的に流動方向を反転させながら供給し、メタンの一部を燃焼反応させ、残りのメタンを効率良く改質(直接改質)させることを目的としている。実験装置は内径70mmの流路に流れ方向300mmの均質なセラミック多孔質触媒が充填された構造である。混合気は4つの電磁弁により周期的に流動方向が反転される。装置は、その中央流れ方向に100mm隔てて埋設された2本の電気ヒーターに通電することにより、まず、窒素ガスを用いて昇温され、150℃前後に達した後、水蒸気に切り替えてられる昇温される。所定の温度に達した後、メタンを徐々に加えて電気ヒーターによる改質を行う。さらに投入電力を増加させて温度を上昇させる。そして、空気をわずかに加えて点火させた後、電気ヒーターへの通電を止める。多孔質触媒に流入した混合気は、その内部を通過する間に予熱され、その中央近傍でメタンの一部が燃焼され、残りのメタンが改質される。生成ガスの温度はその下流側で、その顕熱が多孔質体に蓄熱されるので出口に達する前に低下する。流動方向が反転すると、この蓄熱された熱エネルギーが混合気の予熱に供される。可濃限界以上の混合気による点火が困難であったため、限界以内の混合気で点火したところ、多孔質体の耐熱温度を混合気の調節をする間もなく越えてしまい、実験不可能となったため、本年度は電気ヒーターによる改質結果に留まった。それによれば、熱損失が大きい上に、電気ヒーターの出力が小さく改質に適した温度まで達しておらず、メタンの転化率は10%程度であった。しかしながら、触媒多孔質体と不活性多孔質体との組み合わせにより、高効率直接改質器となる可能性も示唆された。
著者
花村 克悟
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究は、高分子における赤外線の吸収過程および熱への緩和過程を、赤外域に拡張された温度変調分光法を用いて光学的に把握することを目的としている。水冷された銅の研磨表面に厚さ1μmのポリスチレン薄膜を付着させる。この表面にパルス状のCO_2レーザー光(波長10.6μm)を照射し、加熱すく。このパルス光は、シンクロナスモーターに取り付けられた、可変スリットを有する歯車により得られる。パルス幅は2μs、パルス間隔は14μsである。この周期で、ポリスチレン薄膜は加熱・冷却を繰り返す。これに連動して、同じ歯車でパルス光となったHe-Neレーザー光(波長3.39μm)が同じ加熱面に照射される。この反射光強度が検出器により測定される。この時、歯車に垂直に入射するCO_2レーザー光をその接線方向へ平行移動させることで、2つのパルス光の時間遅れが設定できる。この時間遅れを300ナノ秒毎にパルス間隔時間(1周期間)まで変化させた実験の結果、ある特定の時間遅れにおいてのみ反射光強度が高くなった。この立ち上がりから、完全に初期の値まで戻る時間はおよそ2μsであり、この近傍で2つのパルス光が同調していることがわかった。すなわち、温度変調分光法が赤外域においても利用できることが明らかとなった。さらに、パルス光の時間遅れに関する時間分解能は3×10^<-7>秒であり、数百ナノ秒オーダーの加熱過程が光学的に検出できることを明らかにした。なお、CO_2レーザーの振動数はポリスチレン内のベンゼン環にあるC=C-Hの面外変角振動に近い振動数であり、He-Neレーザーの振動数は2つのベンゼン環の間にあるH-C-Hの伸縮振動に一致している。本実験の時間遅れに関する時間分解能は振動の緩和時間10^<-9>〜10^<-7>秒オーダーに極めて近いことから、本実験においてレーザー光吸収後の熱への緩和過程が捉えられる可能性が示唆された。
著者
花村 克悟
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究において、数百ナノメートルの真空隙間を隔て向い合せたナノサイズピラーアレイ構造表面間のふく射エネルギー輸送がピラー高さにより波長選択的に黒体表面間ふく射輸送をおよそ100倍程度上回ることが明らかにされた。さらにナノサイズのフィッシュネット状電極と薄膜半導体を組合わせた波長選択光電池を製作し、これにピラー構造放射体を向い合せた波長選択近接場光発電システムの足掛かりを構築した。
著者
花村 克悟 三松 順治 熊田 雅弥
出版者
岐阜大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1995

本研究は、熱可塑性高分子ポリマー微粒子の超高速溶融・凝固プロセスを解明すべく、粒子内の粘弾性流動及び伝熱のメカニズムを実験的に明らかにすることを目的としている。本年度はラジアントフラッシュ定着(溶融)過程における単一実用トナー(高分子ポリマー)微粒子のふく射吸収特性を把握することに焦点を絞って研究を進めた。直径10μmの実用トナー粒子1個を、粒子と成分が等しい直径4μmの高分子繊維の先端に静電気にて付着させ、He-Neレーザーの平行光を照射し、溶融前の不定形粒子とわずかに溶融した後の球形粒子の散乱相関数を測定した。この場合、球形粒子については粒子内部のふく射吸収過程を含めたRay-Tracing法による理論値と比較することで吸収係数が見積もられ、その値は0.18(1/μm)であり、主成分がポリスチレンに近いと考えると複素屈折率は1.592-0.009iであることがわかった。さらに表面反射による散乱現象が支配的であり、それに1次の透過光が前方散乱を助長している。また、2次以上の透過光の寄与は小さく無視していることが明らかとなった。一方、溶融前の不定形粒子については粒子の外周近傍では前方散乱が強く、それ以外では拡散反射を呈する平板の性質に近い散乱位相関数が得られた。このモデルを構築することは容易ではないので測定された位相関数そのものを用いて先のふく射輸送を解析したが、実験との良好な一致は得られず、むしろ、散乱体が一様に分散された均質モデルを仮定し、Heneyey-Greensteinの近似位相関数を用いた解析手法がよく実験結果を説明できた。すなわち、不定形粒子層では単一粒子の特徴がそれ程強く反映さないことが明らかになった。
著者
花村 克悟
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、薄膜状の光起電力半導体を裏面側の基板電極と光入射側のナノグリッド電極により挟み込み、ナノピラーアレイ構造を有する加熱面と数百nmの真空隙間を隔てて向い合せ、ピラー側面とグリッド電極側面に生ずる表面プラズモンとそれらの高さとのファブリペロー干渉により、発電に寄与する波長範囲のみを選択的に増強および吸収することによって高効率かつ高密度な近接場光起電力発電を構築することを目的とし、数値計算により期待される選択波長近接場ふく射輸送の増強機構を明らかにするとともに、ナノグリッド電極・薄膜半導体・基板電極の3層構造光起電力電池を製作し、そのシャープな波長選択性や発電密度の高度化を試みる。
著者
花村 克悟
出版者
東京工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究で考案されたヘリウムガス衝突噴流式冷却システム内蔵型発電装置を用いて、ボタン型燃料電池を800℃で発電中に、酸素同位体を導入後、300℃まで1秒以内に冷却し、2次電子イオン質量分析により、同位体酸素濃度分布マッピングを取得した。その結果、ScSZ粒子(酸素イオン伝導体)とLSM粒子(電子伝導体)の混合酸素極において、YSZ電解質との界面から数ミクロンの領域において、ScSZ粒子から電解質へ同位体酸素が拡散すること、さらにLSM粒子内部にも同位体酸素が多く拡散し、この狭い領域においてのみ電荷移動電流が高く、酸素極過電圧の要因となっていることが、初めて実電極により明らかとなった。
著者
中川 順達 坂間 理 渋田 匠 花村 克悟
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.858, pp.17-00412-17-00412, 2018 (Released:2018-02-25)
参考文献数
12

Microscopic visualization experiments and simple numerical calculations using Darcy's law have been conducted for soot (PM) deposition in hexagonal channel diesel particulate filters (HEX DPFs) made of aluminum titanium oxide. In the HEX DPFs, a flow rate of the conventional wall-through flow crossing over a wall between inlet and outlet channels (an Inlet/Outlet wall) changes drastically during surface pore filtration, because a part of working gas with soot is distributed to an Inlet/Inlet wall as a bypass flow which is introduced into a wall between inlet and inlet channels (an Inlet/Inlet wall), then turning toward the direction parallel to its wall surface, and finally exiting into the outlet channel. In this case, the thickness of soot deposited on the surface of the Inlet/Inlet wall becomes thinner for the dependence on the distance from the outlet channel. On the other hand, during soot cake layer filtration, since the difference between both superficial flow velocities for Inlet/Inlet and Inlet/Outlet walls become smaller, growth rates of soot cake layers are almost uniform on both wall surfaces. Consequently, the thickness of soot deposited on the Inlet/Inlet wall has a distribution from the minimum height at the center of the channel width to the maximum around the edge.