著者
清水 大輝 雄山 博文 若林 健一 伊藤 真史 杉田 竜太郎
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.546-550, 2021 (Released:2021-11-25)
参考文献数
20

脳空気塞栓症は,医療行為や外傷,あるいは潜水などによって生じるが,内因性疾患が原因で生じることは稀である.今回,胸部疾患および腹部疾患にそれぞれ続発した脳空気塞栓症を経験したので報告する.症例1は78歳男性.非結核性抗酸菌症と肺気腫を基礎に有し,反復性気胸を呈していた.突然の左半身麻痺・意識障害にて発症し,画像検査にて,両前頭葉に微小な空気像と両側大脳半球に多発性脳梗塞,および右肺に気管支肺炎と気胸を認めた.臨床経過と検査所見から,慢性肺疾患を基礎に気胸に起因する脳空気塞栓症と診断した.症例2は92歳男性.嘔吐後意識障害にて発症し,画像検査では,左大脳半球に空気像と両側半球に多発性脳梗塞,および小腸イレウス・腸管気腫症・門脈ガスを認め,非閉塞性腸管虚血症に起因する脳空気塞栓症と診断した.脳空気塞栓症の中には,稀ではあるが内因性疾患が原因の場合があることに留意し,全身の複雑な病態把握に努める必要がある.
著者
橋口 一弘 若林 健一郎
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.123, no.1, pp.24-29, 2020-01-20 (Released:2020-02-05)
参考文献数
16

アレルギー性鼻炎の治療選択肢は近年増加してきたが, 薬物治療の中心となるのは第2世代抗ヒスタミン薬である. 抗ヒスタミン薬は第1世代と第2世代に分類されるが, 基本的な構造は共通である. 第1世代抗ヒスタミン薬の特徴として, 脂溶性が高く組織移行性が良好である. このため中枢移行しやすくなり, 眠気などの副作用を起こす. また H1 受容体に対する選択性が低いため, ムスカリン受容体, セロトニン受容体などアミン受容体に共通構造を持つほかのアミン受容体にも結合をする. 口渇, 食欲増進などの副反応はこのためである. こういった不要な反応を軽減することを目的として第2世代抗ヒスタミン薬が開発された. 第2世代抗ヒスタミン薬の特徴として, 脂溶性が低下し血中タンパク結合が多くなった. このため組織移行性が悪くなったが, 中枢移行が少なくなり眠気などの副作用が減った. H1 受容体に対する選択性が高くなったことから, ほかのアミン受容体への結合が少なくなり, 第1世代抗ヒスタミン薬で見られた副反応が減ってきた. 一方で組織移行性の低下なども見られることから, その効果には個人差があることも理解しておく必要がある. 近年経口剤ではなく, 投与経路を変更した貼付剤の抗ヒスタミン薬が開発されてきた. さまざまな投与法の選択肢が増えてきたことで, 第2世代抗ヒスタミン薬の特徴を理解し, 患者満足度を上げるように使用することが大事である.
著者
神野 佑介 永田 英 新居 優太郎 今林 潤 鷲見 香莉奈 若林 健流 岩築 美幸 松田 孟男 柏木 ハツヱ 佐古 佐世子 鴈金 舞 鄭 喆心 廣岡 陽子 森本 拓輝
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-05-10

アトウッドの滑車を利用して加速度をコントロールすれば,月や火星の重力もつくれると考え,重力可変装置を製作した.下降するおもりの側を実験カプセルとして内部の重力を計測した.0.5秒の短い時間ではあるが,火星,月,エンセラダスの表面重力を作ることができた.すでに実働している微小重力発生装置と連携すれば0Gから1Gの任意の重力を生み出すことができる.さらに,上昇するおもりの側を実験カプセルとすれば,約1.5Gまでの重力をつくりだせると考えられる. この装置で作った火星表面重力を用いて,火星での水の振る舞いを観察した.その結果,火星上の水は,地球上での挙動とかなり異なることがわかった.火星重力下での水は,粘性が大きくなったような動きを示した.映像から解析した火星の水の粘性は地球の水と比べて約2.4倍であった. 簡単な原理で目的とする天体の重力を実現することができた.今後の太陽系探査で,さまざまな天体環境での予備実験に重要な役割を果たすと考えられる.
著者
若林 健 竹内 憲民 楠山 友紀子 山本 汐里 文元 玲子 由良 義明
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.424-428, 2015-08-20 (Released:2015-11-24)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

We report a case of extensive bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaw (BRONJ) associated with a mandibular fracture, which improved after treatment with teriparatide and surgical therapy. An 83-year-old woman was referred to our hospital because of swelling of the submandibular region. At presentation, clinical examination revealed swelling of the right submandibular region and discharge of pus. A computed tomographic (CT) scan confirmed osteolytic changes and a fracture of the mandible. Three months after bone curettage, fixation with a titanic plate, and treatment with teriparatide, new bone formation was observed. Five months after this therapy, the fractured segment had completely healed. Teriparatide may contribute to the improvement of BRONJ.
著者
濤榮松 宏仁 樽茶 清悟 石川 統 藤原 晴彦 塩川 光一郎 深町 博史 若林 健之 桑島 邦博 土肥 絢子 グラー ロバート 吉田 榮 植田 榮司
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学大学院理学系研究科・理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.4-19, 2001-03

学部教育を考える/壽榮松先生を送る/この13年は何であったか/石川統先生を送る/定年退官に際して思う、40年の研究生活のこと/塩川光一郎先生を送る/35年の研究を振り返って : 生命を電子で見る/若林先生を送る/理学部での日々/土肥絢子さんを送る/退官にあたって/吉田さん退官によせて
著者
白木原 康雄 若林 健之
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.277-288, 1983-11-30 (Released:2010-09-30)
参考文献数
34

The method of three-dimensional image reconstruction from electron micrographs is described with reference to the use of symmetries of specimens. Among the symmetries (two-dimensional translational symmetry, helical symmetry, icosahedral symmetry) which have been dealt with so far, the helical symmetry is fully described concerning its nature and its use. The practical aspects of the method, including manipulation of the phase data, are also presented.