著者
若林 秀隆
出版者
日本下肢救済・足病学会
雑誌
日本下肢救済・足病学会誌 (ISSN:1883857X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.2-9, 2019 (Released:2019-04-01)
参考文献数
19

末梢動脈疾患患者では,サルコペニアやフレイルを認めることが多く,下肢切断や死亡のリスク因子である.そのため,サルコペニアやフレイルの評価と治療が重要である.サルコペニアの原因は,加齢,活動,栄養,疾患に分類され,入院中の不適切な活動制限や栄養管理,医原性疾患が原因の場合,医原性サルコペニアと呼ぶ.フレイルには,身体的,精神・心理的,認知的,社会的がある.身体的フレイルのおもな原因は,サルコペニア,低栄養,ポリファーマシーであり,ポリファーマシーは医原性フレイルである.医原性のサルコペニアやフレイルを予防することが重要である.サルコペニアやフレイルに対しては,リハビリテーションと栄養の視点で生活機能やQOLを最大限高める,リハビリテーション栄養の考え方が有用である.末梢動脈疾患の治療と同時に,早期からサルコペニアやフレイルの存在を疑って診断し,リハビリテーション栄養の視点で介入してほしい.
著者
齋藤 正美 大塚 吉則 若林 秀隆
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.301-306, 2017 (Released:2017-05-02)
参考文献数
16
被引用文献数
1

〔目的〕総合診療医を目指す専攻医の,リハビリテーション(以下,リハ),診療およびリハの教育研修に対する意識からそのあり方を明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象者は,家庭医・総合医後期研修プログラムを実施している総合診療専攻医7名と循環器内科専攻医1名の計8名とした.面接によるフォーカスグループインタビューを行い,分析方法にSteps for Coding and Theorizationを用いた質的研究とした.〔結果〕「総合診療医の備えるリハ能力」,「リハ職との関係性の希薄」,「講義受講後の成果」,「総合診療専攻医のリハ教育研修のあり方」の4つの概念が抽出された.〔結語〕かかりつけ医やその役割を期待される専攻医へのリハ教育研修の体制が必要である.
著者
筧 慎吾 若林 秀隆
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.170-174, 2021 (Released:2021-11-15)
参考文献数
17

術後回復を促進させる術前環境の適正化にあたり,術前から介入するプレハビリテーションの重要性は高まっている. ERAS®プロトコルのガイドラインでは手術部位により, 高く推奨されている. プレハビリテーションの効果は運動耐容能や呼吸機能,筋力を向上させ,術後合併症を軽減し入院期間を短縮することである. 構成は, 運動療法, 患者術前教育, 内科的治療, 禁煙・禁酒, 栄養療法などであり, 多職種でのマルチモーダルアプロ―チで介入する. 対象や開始時期は, 胸部・腹部・骨盤内手術患者で運動習慣がなく, 高齢やサルコペニア患者などを対象とし, 手術4週間以上前からの開始が推奨されている. 運動療法は, 中強度以上のレジスタンストレーニングや有酸素運動, 呼吸筋トレーニングであり, 併存疾患が多い高齢患者には, モニタリングと個別運動処方をする. 低栄養患者やサルコペニア患者には, リハ栄養を基準に運動療法と栄養療法を組み合わせることが重要である.
著者
若林 秀隆
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.43-49, 2016

&emsp;リハビリテーション栄養とは,栄養状態も含めて国際生活機能分類で評価を行ったうえで,障害者や高齢者の機能,活動,参加を最大限発揮できるような栄養管理を行うことである.サルコペニアは,加齢のみが原因の原発性サルコペニアと,活動,栄養,疾患が原因の二次性サルコペニアに分類される.サルコペニアの治療はその原因によって異なり,リハビリテーション栄養の考え方が有用である.特に活動と栄養による医原性サルコペニアの予防が重要である.<br>&emsp;老嚥とは健常高齢者における嚥下機能低下であり,嚥下のフレイルといえる.老嚥の原因の1 つが嚥下関連筋のサルコペニアである.サルコペニアの摂食嚥下障害とは,全身および嚥下に関連する筋肉の筋肉量減少と筋力低下による摂食嚥下障害である.特に誤嚥性肺炎後に認めやすい.サルコペニアの摂食嚥下障害への対応は全身のサルコペニアと同様で,特に早期リハビリテーションと早期経口摂取が大切である.
著者
吉村 由梨 若林 秀隆 前田 圭介 西岡 心大 小蔵 要司 中原 さおり
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.964-970, 2017 (Released:2017-06-20)
参考文献数
13

【目的】リハビリテーション栄養研修会への参加と、サルコペニアの評価とリハビリテーション栄養管理の実践の関係について検証した。【対象および方法】日本リハビリテーション栄養研究会会員4,621名を対象にオンライン調査を実施した。研修会参加の有無と筋力・筋肉量・身体機能測定、エネルギー蓄積量を考慮した栄養プランニング実施、栄養補助食品使用、栄養からみたリハビリテーションの考慮で、単変量解析、多変量解析を行った。【結果】715名(15.5%)の有効回答を得た。研修会参加者は536名(75%)、非参加者179名(25%)であった。筋肉量の測定・評価、エネルギー蓄積量を考慮した栄養プランニング実施、栄養からみたリハビリテーションの実施は、研修会参加群で有意に多く、参加回数が増えるごとに各項目のオッズ比が向上した。【結論】サルコペニアの評価とリハビリテーション栄養管理の実施は、リハビリテーション栄養研修会の参加の有無および参加回数と関連していた。