著者
小川 雅之 細田 正洋 福士 政広 小柏 進
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.313-320, 2008 (Released:2008-05-29)
参考文献数
17

東京では通勤手段として地下鉄の利用率が高いことから,地下鉄車内の線量率を把握しておくことは保健物理学的に重要である。そこで,都内の地下鉄12路線について空間γ線線量率の測定を行った。その結果,最大値(36.5nGy/h)は最小値(23.3nGy/h)の1.6倍であった。また,車内の線量率は,車外より33%低い値であった。更に,地下鉄線内の線量率は深さに依存せず,地下構造物やホームの構造物中に含まれる天然放射性核種濃度に依存すると考えられた。
著者
遠山 尚紀 岡本 裕之 黒岡 将彦 木藤 哲史 株木 重人 古徳 純一 福士 政広 大野 達也 唐澤 久美子
出版者
公益社団法人 日本医学物理学会
雑誌
医学物理 (ISSN:13455354)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.123-142, 2022-09-30 (Released:2022-09-30)
参考文献数
2

The questionnaire survey was conducted in 2020 to investigate the working conditions of qualified medical physicists in Japan. We developed a web-based system for administering the questionnaire and surveyed 1,228 qualified medical physicists. The number of received responses was 405. We summarized the results of the survey by job category. The obtained results showed that most of the people working as certified medical physicists met the following conditions: (1) position of healthcare occupation, (2) direct supervisor is a medical doctor or a medical physicist, (3) licensed or passed an examination for a Class I Radiation Protection Supervisor, (4) without the license of professional radiotherapy technologist, (5) master’s or doctor’s degree, (6) being assigned to the section that is different from the radiological technologist section. The average annual salary was approximately 600,000 yen higher for those employed as medical physicists than for those employed as radiotherapy technologists. The percentage of work performed by a certified medical physicist in radiation therapy greatly varies depending on whether the physicist is dedicated to treatment planning and equipment quality control. Alternatively, the proportion of the true duties of medical physicists in charge of radiation therapy, as considered by qualified medical physicists in radiation therapy, was the same regardless of whether they were working full-time or not. The results of this survey updated the working status of certified medical physicists in Japan. We will continue to conduct the survey periodically and update the information to contribute to the improvement of the working conditions of medical physicists and policy recommendations.
著者
元日田 和規 田川 まさみ 池田 賢一 福士 政広 亀岡 淳一
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.68, no.8, pp.979-985, 2012-08-20 (Released:2012-08-24)
参考文献数
17
被引用文献数
1

Radiological technologists (RTs) and medical technologists (MTs) are legally allowed to work as sonographers performing medical ultrasound examination. Despite the total number, much fewer RTs work as sonographers than MTs. To explore the reason, we investigated educational programs, universities, and colleges for both specialties. First, we established five categories of sonographers’ competency: 1) Anatomy for imaging diagnosis, 2) Diseases and diagnosis, 3) Imaging, 4) Structure and principle of the equipment, and 5) Evaluation of image quality, using competence reported by the International Society of Radiographers and Radiological Technologists (ISRRT) and diagnostic competency required of sonographers in Japan. Using these categories, we analyzed the content and total instruction time by lectures and seminars based on information written in the syllabi, and explored the differences in education related to sonographers’ competency in both programs. “Anatomy for imaging diagnosis” was taught in 15 RT programs (93.8%), and 6 MT programs (31.6%). “Diseases and diagnosis” was taught in 13 RT programs (86.7%), and 8 MT programs (53.3%). “Imaging” was taught in 14 RT programs (100%), and 13 MT programs (76.5%). “Structure and principle of the equipment” was taught in 12 RT programs (85.7%), and 6 MT programs (31.6%). “Evaluation of image quality” was taught in 11 RT programs (84.6%), and 3 MT programs (15.0%). The average instruction time for RT was longer than for MT programs in all categories. RTs are educated and have a foundation to be sonographers at graduation, and may have the possibility to expand their career in this field.
著者
小川 雅之 細田 正洋 福士 政広 小柏 進
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
Radioisotopes (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.313-320, 2008-05-15
参考文献数
17

東京では通勤手段として地下鉄の利用率が高いことから,地下鉄車内の線量率を把握しておくことは保健物理学的に重要である。そこで,都内の地下鉄12路線について空間γ線線量率の測定を行った。その結果,最大値(36.5nGy/h)は最小値(23.3nGy/h)の1.6倍であった。また,車内の線量率は,車外より33%低い値であった。更に,地下鉄線内の線量率は深さに依存せず,地下構造物やホームの構造物中に含まれる天然放射性核種濃度に依存すると考えられた。
著者
福士 政広 細田 正洋 杉野 雅人 南 一幸 古川 雅英 下 道國
出版者
首都大学東京
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.59-64, 2008-03
被引用文献数
1

東京都島嶼の環境放射線および環境放射能の調査を目的として、2006年8月28日から8月30日の期間で、小笠原群島の父島と母島の空間ガンマ線線量率、天然放射性核種濃度、ラドン(^<222>Rn)・トロン(^<220>Rn)散逸率および屋内ラドン濃度の調査を行った。小笠原群島の父島・母島の空間ガンマ線線量率は、27.7 nGy/h、35.4 nGy/hで全国平均50 nGy/h より低い値であった。天然放射性核種濃度は、父島:0.88% (^<40>K)、0.22 ppm (U)、0.26 ppm(Th)、母島:0.35 % (^<40>K)、0.15 ppm (U)、1.5 ppm (Th)であった。ラドン(^<222>Rn)・トロン(^<220>Rn)散逸率は、父島:検出下限値以下(^<222>Rn)、85 mBq・m^<-2>・s^<-1> (^<22O>Rn)、母島:3.8 mBq・m^<-2>・s^<-1> (^<222>Rn)、219 mBq・m^<-2>・s^<-1> (^<22O>Rn)であった。いずれも、我々が詳細なデータを有する伊豆諸島三宅島と比べると高値を示した。また、屋内ラドン濃度は、平均値で3.7 Bq・m^<-3>で、わが国の平均屋内ラドン濃度15.5 Bq・m^<-3>の24%程度であった。
著者
福士 政広 井上 一雅
出版者
東京都立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

ポータブルα線スペクトルサーベイメータの開発・改良を実施した。試作・開発中のポータブルα線スペ クトルサーベイメータは、検出器に2000mm^2面積イ オン注入型シリコン半導体検出を採用したものである。また、スミア法に対応した真空容器設置型を試作した。当初予定のAm-241のα核種のエネルギースペクトルの測定を明瞭に確認できた。平成30年度は購入が間に合わず、研究協力関係にある放射線医学総合研究所所有のNp-237、Am-241、Cm-244の3核種混合電着線源では、それぞれの核種のエネルギースペクトルを確認できた。また、令和元年度に同様の線源が購入でき、性能評価を実施した結果、同様の分解能を得ることができた。241Am電着線源および3核種(237Np、241Amおよび244Cm)混合電着線源(以下、3核種混合電着線源)を用いた実測の結果、可搬型α線スペクトロメータは線源検出器間距離が3.8 mmの場合、約240 keVのFWHMを有しており、複数のピークを持つα線源を検出することが可能であることが明らかとなった。しかし、空気層によるα線の散乱および吸収の影響により、線源検出器間距離が大きくなるとエネルギー分解能が増大することが確認された。空気層によるα線の散乱および吸収の影響を低減することでエネルギー分解能の向上を図るために真空中で測定できるように改良が必要であることを明らかにし、改良した真空容器設置型α線スペクトルメータに対して同様の性能評価を行った結果、線源検出器間距離が4.3 mmの場合に約160 keV、24.3 mmの場合に約110 keVのFWHMを有しており、真空条件下の測定によってエネルギー分解能の向上を実現した。α種スペクトルサーベイメータの開発研究は大方順調に進捗している。
著者
柳澤 健 新田 收 笠井 久隆 猫田 泰敏 飯田 恭子 菊池 恵美子 長田 久雄 福士 政広 齋藤 秀敏 福田 賢一
出版者
日本保健科学学会
雑誌
東京保健科学学会誌 (ISSN:13443844)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.276-281, 2000-03-25 (Released:2017-10-27)

東京都立保健科学大学生の国家試験合否予測などを目的として、東京都立医療技術短期大学生の入学・在学時成績と医療系国家試験合否との関係を(1)入学選抜方法と国家試験合否, (2)入学選抜方法(一般入試・推薦入試)と退学・除籍者数, (3)一般人試成績と国家試験合否, (4)学内成績と国家試験合否, (5)一般入試成績と学内成績, および, (6)国家試験の得点予測の6項目に分けて統計学的に分析した。対象は同短期大学に入学した1,132名で, 入学選抜方法, 一般入試成績, 学内成績, および国家試験の合否を指標に調査した。その結果, (1)入学選抜方法の相違による国家試験合格率に有意差はなかった。(2)一般人学に比べ推薦入学で退学・除籍者が多い傾向がみられた。(3)一般入試の成績は国家試験合格群と不合格群の間で有意差がなかった。(4)多くの学内主要科目の成績において国家試験合格群は不合格群に比べ高得点であった。(5)一般入試成績と学内成績との間に相関はなかった。(6)4学科のうち2学科で国家試験の得点予測式を試作した。
著者
清水 雅美 安斎 育郎 福士 政広 乳井 嘉之
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.272-280, 1997-05-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
29
被引用文献数
3 5 2

チェルノブイリ事故後, 多くの国々で, キノコ中に比較的高濃度の放射性セシウムが含まれていることが注目されるようになった。キノコは生息する木や土壌などからセシウムをよく吸収し, その移行係数が高い。本研究では, 日本各地で生産された干椎茸中に含まれる放射性セシウムの濃度を分析し, 核実験およびチェルノブイリ原発事故などに伴う全国の環境放射能汚染状況を把握することを試みた。原木栽培した干椎茸を全国の都道府県より集め, 137Csおよび134Csの放射能濃度を高純度Ge半導体検出器により分析した。その結果, 3.4-33.6Bq/kgの137Csが検出された。134Csはいずれも検出限界以下であった。137Csの濃度は各都道府県の雨水・落下塵中の137Cs濃度と危険率1%で有意な相関を示した。また, 137Csの濃度は年平均気温とも危険率10%で負の相関を示したが, 原木中の濃度が把握されていないため, 気温との逆相関は見かけ上の相関である可能性もある。ちなみに, 気温と雨水・落下塵中の137Cs濃度の2変数を説明変数とした重相関係数は0.54 (危険率2.5%で有意) であった。北海道・東北, 関東, 中部, 近畿, 中国, 四国, 九州の7地域にグルーピングして分散分析を試みた結果, グループ内のばらつきよりもグループ間のばらつきが有意に大きいことが示された。気温および降下量との相関性に関する先の考察とあわせて考えると, この事実は干椎茸中の137Cs濃度がそれらの因子と関連している可能性があることを示唆するものと考えられる。
著者
日本保健物理学会医療放射線リスク専門研究会 甲斐 倫明 伴 信彦 太田 勝正 小野 孝二 酒井 一夫 長谷川 隆幸 福士 政広 吉永 信治
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 : hoken buturi (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.42-51, 2011-03-01
参考文献数
20

Radiation use in medicine generally gives us the benefit that outweighs the risk. However, some patients are much concerned about the risk while some medical people are unaware of radiation risk. The aim of this report is to review the low dose risk not only in the reports of ICRP, UNSCEAR, BEIR and French academy but also in the scientific papers that have been paid attention to. On these bases, we discuss the low dose risk and how we face the risk in medicine in order to go for medical use of radiation to the right way. In particular, we hope this report will support medical people as well as radiation protection experts should understand the radiation risk in medicine on current scientific basis.