著者
森田 学 稲垣 幸司 王 宝禮 埴岡 隆 藤井 健男 両角 俊哉 伊藤 弘 山本 龍生 吉江 弘正
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.352-374, 2013-01-16 (Released:2013-04-24)
参考文献数
106

2011年8月「歯科口腔保健の推進に関する法律」が公布・施行された。高齢化が進む中,生涯を通じて歯科疾患の予防や口腔機能の維持に取り組み,国民が健全な生活を営める社会の実現に向けた法的な整備が開始したことになる。この動きを受けて,本論文では,日本歯周病学会として,ライフステージごとの歯周病予防戦略について提案する。How to 式ではないので,「読んですぐ実践できる」という種類のものではない。むしろ,どのような考えをベースにこれからの歯周病対策をすべきか,診療室・地域において,歯周病学会会員ならではの活躍の参考資料になればと願う。日本歯周病学会会誌(日歯周誌)54(4):352-374, 2012
著者
金子 圭子 内田 啓一 大木 絵美 髙谷 達夫 森 啓 藤井 健男 富田 美穂子 吉成 伸夫 石原 裕一 田口 明
出版者
日本口腔診断学会
雑誌
日本口腔診断学会雑誌 (ISSN:09149694)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.212-215, 2017-06-20 (Released:2017-06-24)
参考文献数
6

An external dental fistula involves formation of a fistula or granulation as an excretion pathway in the jaws or face, due to chronic purulent odontogenic inflammation. We describe a case involving a 30-year-old male patient who had an external dental fistula-like scar in the right buccal region. A diagnosis of an external dental fistula, caused by an infected right mandibular first molar, was made; endodontic therapy was performed without symptomatic improvement, and the patient was referred to our university. Tenderness in the masseter region and scarring in the right buccal region were found upon examination. Diagnostic imaging revealed a cylindrical structure suggestive of an external dental fistula in the soft tissues. Removal of the external dental fistula was performed under general anesthesia and the course was good. Patients with an external dental fistula may show symptoms for a prolonged period before a definitive diagnosis is made; however, diagnosis can be facilitated by early, accurate imaging examination.
著者
伊藤 弘 埴岡 隆 王 宝禮 山本 龍生 両角 俊哉 藤井 健男 森田 学 稲垣 幸司 沼部 幸博
出版者
日本歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

歯周治療の一環として禁煙治療が歯科保険に導入されるためには、禁煙治療の介入による歯周治療の成果が極めて良好となることが重要である。そこで、禁煙外来受診による改善を、一般的に行われている臨床パラメータと歯肉溝滲出液と血漿成分の生化学的成分解析、さらには禁煙達成マーカーである血漿中コチニンと呼気CO濃度の変化を検索した。その結果、禁煙外来受診により、禁煙達成マーカーが減少し、さらには自己申告による禁煙の達成から、禁煙外来受診は禁煙に対し有効な戦略である。しかしながら、生化学的変化は認められなかった。今後長期的な追跡が必要であると考えている。
著者
王 宝禮 今村 泰弘 藤井 健男 音琴 淳一 太田 紀雄 大浦 清
出版者
一般社団法人 日本歯科薬物療法学会
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.101-107, 2004-12-01 (Released:2010-06-08)
参考文献数
29

本研究では, ヒスタチンを用いて歯肉組織中に最も多く存在するヒト歯肉線維芽細胞に対する影響について検討を行った.ヒスタチンは新鮮ヒト耳下腺唾液を用いてハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーによって分離, 精製された.ヒト歯肉線維芽細胞は, インフォームドコンセントのもと抜歯後の歯に付着する歯肉組織から摘出した.ヒト歯肉線維芽細胞は, ヒスタチンを添加し培養された.細胞増殖はMTT分析, DNA合成はBrdU法, Ki-67タンパク質の検出はウエスタンブロット法で行われた.結合分析はオプティカルバイオセンサーによって行われた.ヒスタチンは, ヒト歯肉線維芽細胞に対して増殖率, DNA合成率, Ki-67タンパク質量を増加させた.ヒスタチンとヒト歯肉線維芽細胞の結合が確認できた.以上の結果から, ヒスタチンがヒト歯肉線維芽細胞の増殖を誘導したことを示唆した.将来的に, ヒスタチンが歯周病患者における歯肉線維芽細胞の再生を誘導する可能性があるかもしれない.
著者
河合 治 藤井 健男 加藤 義弘 根井 敏行 小鷲 悠典
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.698-703, 1993-12-28
被引用文献数
7 1

本研究の目的は,今金町の中学生における歯周疾患の罹患状態を調査し同時に行った口腔清掃指導の効果について,CPITNとGI, PlIを用い検討することである。診査部位は,左右上下顎第一・第二大臼歯,上顎左側及び下顎右側中切歯とした。調査および指導期間は,1987〜1991年の5年間で,延べ1839人であった。初年度の診査結果は,CPITNのコードは,0が42%,1が19%,2が32%,3が7%,4が0%であった。GI,PlIは,それぞれ平均1.56±0.97,1.68±0.64であった。CPITNのコードは3年目まで大きな変化は認められなかったが,4年目に悪化し,5年目にはコード0が59%,1が23%,2が15%,3が2%,4が0%となった。また,GI,PlIは,初めの3年間減少傾向が認められ,4年目には一時的に悪化したが5年目には,改善が認められた。以上の結果から,診査対象は既報の他地域の同世代を対象とした研究結果と比較すると,歯周組織の状態はやや良好な集団であり,著者らが行ったブラッシング指導を伴う検診のシステムが有効であると考えられた。