著者
森田 学 稲垣 幸司 王 宝禮 埴岡 隆 藤井 健男 両角 俊哉 伊藤 弘 山本 龍生 吉江 弘正
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.352-374, 2013-01-16 (Released:2013-04-24)
参考文献数
106

2011年8月「歯科口腔保健の推進に関する法律」が公布・施行された。高齢化が進む中,生涯を通じて歯科疾患の予防や口腔機能の維持に取り組み,国民が健全な生活を営める社会の実現に向けた法的な整備が開始したことになる。この動きを受けて,本論文では,日本歯周病学会として,ライフステージごとの歯周病予防戦略について提案する。How to 式ではないので,「読んですぐ実践できる」という種類のものではない。むしろ,どのような考えをベースにこれからの歯周病対策をすべきか,診療室・地域において,歯周病学会会員ならではの活躍の参考資料になればと願う。日本歯周病学会会誌(日歯周誌)54(4):352-374, 2012
著者
王 宝禮 砂川 正隆 山口 孝二郎 亀山 敦史 金子 明寛
出版者
日本歯科薬物療法学会
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.23-30, 2015-04-01 (Released:2015-06-01)
参考文献数
46

Kampo medicine has a long experience and actual performance over a long period of history. The first oriental medicine was approved by Japanese national health insurance in 1976, and 147 kinds of oriental medicine are currently approved by the National Health Insurance Drug Price. Those of 7 kinds of Kampo medicine were approved by Japan Dental Association of “National Health Insurance Drug Price Standard related with dental treatment” on April 2012. It has been reported that approximately 70 to 80% of doctors has an experience to use oriental medicine in a clinical site. Meanwhile, oriental medicine was used at more than 85% of medical facilities in a survey of Kampo medicine usage at oral surgery clinics in all Japanese Dental University hospital and Medical University hospital. However, only a few Kampo medicine was used at general dental clinics. Establishment of the evidence of oriental medical treatment in dental lesions is one of the solution of popularizing a treatment of Kampo medicine in oral surgery. Hence, efficacy of Kampo medicine which was approved by the new drug standard since 1986 was evaluated from the aspect of Evidence-based medicine(EBM).
著者
王 宝禮 早坂 奈美 山口 康代 王 龍三
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.117-126, 2018 (Released:2018-11-08)
参考文献数
35
被引用文献数
2 1

排膿散及湯の歯周炎に対する有効性の確認を目的として,ラット口腔内の右側下顎第一臼歯部の歯肉にカラゲニンの処置により歯周炎を惹起させ,排膿散及湯2900mg/kg を10日間経口投与し,歯周炎に対する排膿散及湯の抗炎症作用の効果を検討した。歯周炎に及ぼす効果について,写真撮影による歯肉の状態の経過観察,最終投与後に摘出した炎症部位の病理標本による病理組織学的分析により評価した。その結果,排膿散及湯は,歯肉の腫脹を抑制すると共に,病理組織学的分析において歯周ポケットが浅くなり,上皮層糜爛改善,上皮突起の伸張,炎症細胞の減少,歯根膜の成熟を確認できた。さらに,好中球数の減少,血管数の増加傾向,破骨細胞数の減少傾向を確認した。また,ポケット接合上皮に生じた上皮脚の伸長とポケット上皮の根尖側への側方増殖が軽減した。以上の結果より,排膿散及湯が歯周炎に対して抗炎症作用を有する可能性が示唆された。
著者
伊藤 弘 埴岡 隆 王 宝禮 山本 龍生 両角 俊哉 藤井 健男 森田 学 稲垣 幸司 沼部 幸博
出版者
日本歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

歯周治療の一環として禁煙治療が歯科保険に導入されるためには、禁煙治療の介入による歯周治療の成果が極めて良好となることが重要である。そこで、禁煙外来受診による改善を、一般的に行われている臨床パラメータと歯肉溝滲出液と血漿成分の生化学的成分解析、さらには禁煙達成マーカーである血漿中コチニンと呼気CO濃度の変化を検索した。その結果、禁煙外来受診により、禁煙達成マーカーが減少し、さらには自己申告による禁煙の達成から、禁煙外来受診は禁煙に対し有効な戦略である。しかしながら、生化学的変化は認められなかった。今後長期的な追跡が必要であると考えている。
著者
王 宝禮 今村 泰弘 藤井 健男 音琴 淳一 太田 紀雄 大浦 清
出版者
一般社団法人 日本歯科薬物療法学会
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.101-107, 2004-12-01 (Released:2010-06-08)
参考文献数
29

本研究では, ヒスタチンを用いて歯肉組織中に最も多く存在するヒト歯肉線維芽細胞に対する影響について検討を行った.ヒスタチンは新鮮ヒト耳下腺唾液を用いてハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーによって分離, 精製された.ヒト歯肉線維芽細胞は, インフォームドコンセントのもと抜歯後の歯に付着する歯肉組織から摘出した.ヒト歯肉線維芽細胞は, ヒスタチンを添加し培養された.細胞増殖はMTT分析, DNA合成はBrdU法, Ki-67タンパク質の検出はウエスタンブロット法で行われた.結合分析はオプティカルバイオセンサーによって行われた.ヒスタチンは, ヒト歯肉線維芽細胞に対して増殖率, DNA合成率, Ki-67タンパク質量を増加させた.ヒスタチンとヒト歯肉線維芽細胞の結合が確認できた.以上の結果から, ヒスタチンがヒト歯肉線維芽細胞の増殖を誘導したことを示唆した.将来的に, ヒスタチンが歯周病患者における歯肉線維芽細胞の再生を誘導する可能性があるかもしれない.