著者
藤井 元輝 大野 博司 植木 あゆみ
雑誌
第46回日本集中治療医学会学術集会
巻号頁・発行日
2019-02-04

【背景】2型糖尿病治療薬のメトホルミンの有害事象に乳酸アシドーシスがある。メトホルミン中毒は死亡率の高い疾患であり、特に高度のアシドーシスによる意識障害・循環不全を伴う場合は、血液浄化療法が有効である。血行動態が不安定な際は持続腎代替療法が考慮されるが、間歇的血液透析と比較し、薬剤のクリアランスが低い欠点がある。今回、我々は血行動態の不安定なメトホルミン中毒に対してprolonged intermittent renal replacement therapy (PIRRT)を施行し、救命した一例を経験したので報告する。【臨床経過】66歳男性。2型糖尿病でメトホルミンを内服中であった。来院1週間前に炎天下での屋外業務で熱中症となり、食事・水分がほとんど摂取できなくなったが内服薬は継続していた。来院日に倦怠感が強く当院救急外来に救急搬送となった。来院時著明な乳酸アシドーシス(pH 6.9,乳酸値124 mg/dl)、腎機能障害、高カリウム血症を認め、メトホルミン中毒、急性腎障害と診断した。意識障害を認め、挿管・人工呼吸器管理の上でICU入室とした。乳酸アシドーシス、急性腎障害に対して血液浄化療法の適応と考え、循環不安定なため、PIRRTを施行した。1回目のPIRRT中に乳酸アシドーシス、意識状態、血行動態の改善を得て、第2病日に抜管した。当初高値であった血中メトホルミン濃度はPIRRTに伴い経時的な低下を認めた。【結論】血行動態が不安定なメトホルミン中毒に対しては、PIRRTが血行動態を悪化させることなく、メトホルミンを除去する選択肢となりうる。
著者
平井 重行 欅 文喜 藤井 元
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.24, pp.1-8, 2006-03-13
参考文献数
12

ユビキタス社会を実現する技術やシステム,またサービスの研究が盛んに行われている.我々は,家庭での日常生活で利用するサービスやシステムについて,浴室を対象にQOL向上へ向けた研究開発を行っている.情報家電を使用する環境という観点では,住宅内では特殊な空間と言える浴室であるが,我々は安全性を確保した上でセンサ類を設置し,生体情報や行動を計測して様々なアプリケーションの実現を試みてきた.また,そのエンタテインメント応用という位置付けで,入浴者の状況や行動をサウンドに変換し,浴室における普段の入浴行為に対して新たな楽しみ方を付加するシステムを試作してきた.本稿では,これまでに研究してきた2種類の浴室環境とそのエンタテインメント応用のシステムについて紹介し,日常生活をより楽しむインタラクティブなコンテンツの在り方について議論する.To increase Quality of Life, we have researched and developed several bath-systems and their services for an useful bathroom in daily life. However the bathroom is an unique space in terms of a place for appliances in a house, we try to equip several sensing devices in safety and measure bathing person's activities, motions and vital signs for various applications. As one of those applications, we developed entertainment systems that enhance the amenity space 'bath' by sounds controled by bathing person's state and activities. In this paper, two bath-systems for entertainment applications we developed are described, and also we discuss how we make and evaluate interactive content for entertainment in daily life.
著者
金澤 成美 山本 隆昭 高田 賢二 藤井 元太郎 石橋 抄織 佐藤 嘉晃 原口 直子 今井 徹 中村 進治
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13440241)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.92-102, 1998
被引用文献数
31

1981年4月から1996年3月までの15年間に北海道大学歯学部附属病院矯正科を来院した矯正患者を調査対象に, 経時的推移を調査し以下の結果を得た.1. 過去15年間の来院患者総数は4, 559名で, 1981年から1990年までは増加していたが, その後の患者数は減少していた.2. 性別では, 男性 : 女性が1 : 1.5と女性が多く, また年齢が高くなるに伴い女性が増加していた.3. 初診時年齢は経時的に年齢が高くなる傾向にあり, 成長期の患者が減少し, 永久歯列期の患者が増加していた.4. 来院動機では審美障害が最も多く, 次いで咀嚼障害であった.また, 顎関節症を主訴とする患者が近年は増加していた.5. 来院経路では, 自意が減少し, 院内他科や他の医療機関からの紹介が増加していた.6. 不正咬合の種類では, occlusal anomaliesが74.2%, space anomaliesが78.7%であった.前者では, 反対咬合が40.5%, 上顎前突が13.6%であったが, 経時的に反対咬合は減少していた.後者では前歯部叢生が62.8%と多く, 経時的に前歯部叢生が増加している傾向が認められた.7. 顎顔面領域の先天異常では, 口唇口蓋裂の占める割合が高かったが, 人数では経時的に減少していた.8. 外科的矯正治療患者の割合は全体の約16%を占め, 反対咬合症例が圧倒的に多かった.9. 顎関節症状を有する患者は増加する傾向にあり, 特に女性の占める割合が高かった.
著者
田中 良明 斉藤 勉 藤井 元彰 斉藤 友也 前林 俊也
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

難治性悪性腫瘍に対する放射線治療において、進行固形癌や再発癌は通常の放射線照射単独では十分な治療効果が得られない場合が多い。そこで、三次元原体照射による優れた線量分布と、放射線増感作用を有する温熱療法併用することにより、局所一次効果と臨床症状に改善が得られるかを検討した。対象は平成15年1月以降の4年間に温熱併用放射線化学療法を行った消化器系の癌腫25例(男/女=18/7、平均年齢59.4歳)で、内訳は、膵癌8例、胆嚢癌2例、胆管癌4例、小腸腫瘍2例、S状結腸癌2例、直腸癌7例で、現症別では局所進行・手術不能12例、術後再発12例、その他1例である。放射線治療は可能な限り三次元原体照射、多門照射を適用し通常分割で50〜60Gy、温熱療法はRF波誘電加温装置(Thermotron-RF8)を用い、病巣部41℃、30分以上で週1回、計4回以上を目標に実施した。化学療法は膵癌にはGEM(800-1000mg)、結腸・直腸癌には5-FU/LV、UFT、TS-1もしくはFOLFOXを適用した。結果は、治療内容について予定の70%以上実施できた症例を完遂例とすると、完遂率は68%(17/25)で、臓器別では膵癌(7/8)、結腸・直腸癌(7/9)で完遂率が高かった。画像診断や臨床症状による治療効果は、著効7例、有効12例、無効6例であり、臓器別の奏効率は膵癌(6/8)、結腸・直腸癌(8/9)で高く、胆道癌(4/6)、十二指腸・小腸癌(1/2)では相対的に低かった。完遂率別の治療効果は完遂例で著効6、有効10、無効1(奏効率94%)、非完遂例で著効1、有効2、無効6(奏効率38%)であり、完遂例の方が奏効率が高かった。臨床的に疼痛の軽減、異常分泌物の排泄減少など、QOL(生活の質)の向上が得られる例が多かった。有害事象として、2例に急性胃潰瘍がみられたものの、局所の疼痛、熱感などは軽微であった。以上、本法により奏効率の向上と一次効果持続期間の延長ならびに患者のQOLに改善がみられ、難治性腫瘍に対して有効な治療法であることが明らかとなった。