著者
職域における喫煙対策研究会 大和 浩 姜 英 朝長 諒 藤本 俊樹 中川 恒夫 平野 公康
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.146-151, 2022-05-20 (Released:2022-05-25)
参考文献数
6

目的:改正健康増進法では,バスやタクシーなど旅客運送用車両での喫煙は禁止され,屋外や家庭,それ以外の車両等で喫煙する場合についても「望まない受動喫煙が発生しないように配慮すること」が求められている.しかし,一般企業の業務車両や自家用車で同乗者が居るにもかかわらず喫煙している状況が散見される.本研究では,車両の中で喫煙した場合の受動喫煙の実態を明らかにすることを目的とした.対象と方法:5人乗りの自動車内で運転者が紙巻きタバコを1本喫煙し,すべての窓を閉鎖した状態,一部の窓を開けた状態,すべての窓を開放した状態の計6パターンで,助手席と後部座席において喫煙により発生する微小粒子状物質(PM2.5)の濃度をデジタル粉じん計で測定した.なお,結果:すべての窓を閉鎖した状態では車内のPM2.5 は 3,400 μg/m3 に達した.一部の窓を 10 cm開けてもPM2.5 は 500~3,000 μg/m3,すべての窓を開放しても数百~1,500 μg/m3 と高い濃度になることが認められた.考察と結論:業務車両や自家用車で同乗者の望まない受動喫煙を防ぐ配慮としては,窓を開放する対策では不適切であり,車内で喫煙しないことが求められる.
著者
大和 浩 加藤 尊秋 姜 英 清水 大地 朝長 諒 藤本 俊樹 山本 希望
出版者
The University of Occupational and Environmental Health, Japan
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.335-338, 2020-12-01 (Released:2020-12-01)
参考文献数
5
被引用文献数
3

Secondhand smoke (SHS) caused by smoking on apartment verandas is a severe social problem in Japan. If someone smokes on a veranda, SHS drifts into other residents’ rooms through their windows. Most non-smoking residents are annoyed by this, but they do not confront the person responsible. To study this situation, we burned cigarettes and measured the spread of SHS in terms of fine particle (PM2.5) concentrations. Cigarette smoke generated on a lower veranda spread to upper and horizontal neighboring verandas and into rooms through windows, reaching a maximum concentration of 139 μg/m3. The Health Promotion Act that was revised in 2018 and enacted in 2019–2020 requires all smokers to avoid producing SHS, even outdoors and at home. It is expected that combining the measurement of SHS from verandas to other verandas and rooms with the revised Health Promotion Act could create a national consensus on “no smoking on apartment verandas.”
著者
田崎 裕太郎 牧野 謙二 大塚 哲洋 中村 太祐 北村 慶 宮﨑 敦史 藤本 俊史 杉尾 小百合 今村 祥子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.141-145, 2022 (Released:2022-10-12)
参考文献数
17

症例は67歳男性.切除不能進行胃がんへの化学療法が奏功せず,外来にて症状緩和を行っていた.自宅で過ごされていたが,体動困難となり,救急外来を受診.Hb値3.4 g/dlと高度貧血を認め,進行胃がんからの出血と診断.入院のうえ緩和的放射線治療を開始したが,連日輸血を行うもHb値は改善せず,入院4日目の内視鏡検査にて漏出性出血(oozing bleeding)を認めた.入院11日目のHb値2.8 g/dlであり,照射継続での止血は困難と判断し,同日に血管塞栓術(TAE)を施行した.TAE後は輸血にてHb値8.0 g/dlまで改善.その後,輸血は不要となり,入院28日目に転院となった.出血性進行胃がんに対する緩和的放射線治療の高い有効性が報告されているが,奏功しなかった場合の救済治療に苦慮することがある.緩和的放射線治療が奏功しない出血性進行胃がんに対し,TAEが有効な救済治療となった1例を報告する.
著者
藤本 俊明 隈上 秀伯
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.131-133, 1971 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7

The authors reported a case of facial paralysis associated with hypertension. The patient was 12 years old female who presented with a right facial nerve paralysis and complained disturbance of vision. Her blood pressure was 216/138 mmHg. A pediatrist diagnosed her as hypertension associated with nephritis. Ophthalmologic diagnosis was neuroretinopathia angiospastica. The findings were spasm of the retinal artery, papilloedema and bleeding in the retina. She was admitted to our clinic for investigation of facial nerve paralysis. According to our investigation the facial nerve of this patient was affected at the level of the infrachordal part of the facial canal. We assumed that the pressure induced by bleeding in the facial canal pressed the nerve and the paralysis occurred. The bleeding was suspected as a similar phenomenon to bleeding in the retina.
著者
藤本 俊一郎 合田 雄二 平井 有美 大橋 智明
出版者
特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
雑誌
日本医療マネジメント学会雑誌 (ISSN:18812503)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.371-378, 2009-09-01 (Released:2013-08-26)
参考文献数
4

DPC対象病院においては診療報酬が包括支払いであるため、コスト管理とともに報酬の範囲内で必要な治療を行うことが経営上要請される。当院ではクリティカルパスを用いて診療の標準化・効率化を図ってきたが、さらに原価情報を分析するため、患者別原価計算システムを構築した。医事会計システム、DPC ソフト、電子クリティカルパスソフトからの情報を原価計算システムに集積し、人事・給与データを活用して分析した。未破裂脳動脈瘤クリッピングのクリティカルパス使用患者12例で原価計算を行い、収入は22,194,125円、原価は5,538,825円、収益は16,655,300円、収益率は75%であり、1人当たりの収益は1,387,941円であった。原価計算・収益原価構造グラフでの検討で収益の大部分は手術による収益であることが明らかになった。平均在院日数は入院期間Ⅱの範囲内で、DPC 収入も出来高収入を上回っており、未破裂脳動脈瘤クリッピングのクリティカルパスはDPCに対応できていると判断した。 クリティカルパスと患者別原価計算を融合することは、臨床的ベストプラクティスと経済的ベストプラクティスを可視化することができ、医療の質向上と経営基盤の確立に貢献できると考える。