著者
小路 哲生 高橋 道也
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.347-353, 2016 (Released:2017-03-24)
参考文献数
15
被引用文献数
1

腎硬化症による慢性腎臓病は,徐々に悪化し,高齢で透析に至る症例が増え,透析導入原因3位となっている。 その対策として真武湯を中心にした漢方薬の可能性が報告されている。今回腎硬化症と思われる慢性腎臓病を対象に,真武湯と防已黄耆湯のエキス剤を併用投与し,腎不全進行抑制効果について検討した。対象は,香川県済生会病院腎臓内科に通院中の腎硬化症患者20例(男性12例,女性8例,平均年齢76.2歳)。真武湯エキス顆粒5g と防已黄耆湯エキス顆粒5g を分2朝夕食前で併用処方した。投与前,投与後3ヵ月,6ヵ月で臨床検査値を検討した。 血清クレアチニン値は,2.04,1.72,1.59mg/dL と低下,eGFR は26.8,32.2,35.3mL/minと改善を認めた(p <0.01)。他の検査値には特に変化を認めなかった。これらより腎硬化症と思われる慢性腎臓病に対して真武湯と防已黄耆湯の併用に腎機能改善効果があると考えられた。
著者
高橋 道子
出版者
北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院
雑誌
国際広報メディア・観光学ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.6, pp.113-134, 2008-03-21

Nowadays civil society in Japan is in the midst of a great transformation at a time when 'publicness', which used to belong to the authorities, should now involve those whom are concerned with administrative and fiscal reforms. Consequently, people in local communities have growing commitments to participate in policymaking directly, in a so-called 'partnership'. Furthermore, there is a growing interest in how the authorities should reform their environmental, welfare, and urban development policies at the regional level. It is certain that decision-making should depend on how well the residents of the local district facilitate consensus-building efforts among themselves. Prior to accomplishing agreement, mutual understanding is called for by means of communication in the local community. This is the reason why I discuss the theoretical possibilities of the Chonaikai (neighborhood association) within the framework of civil public sphere (Harbermas 1973), that is described as a communication space in order to present an ideal model of the Chonaikai. I argue that the ideal model should be considered as a voluntary association, in which the people establish agendas relevant to self-evident 'living', some of which might result in the raising of political issues in civil society by means of intersubjective communication.
著者
松石 昌典 久米 淳一 伊藤 友己 高橋 道長 荒井 正純 永富 宏 渡邉 佳奈 早瀬 文孝 沖谷 明紘
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.409-415, 2004 (Released:2006-07-26)
参考文献数
7
被引用文献数
19 21

黒毛和牛肉に特有な好ましい香りである和牛香に寄与する香気成分を明らかにするために,和牛肉と輸入牛肉(豪州産)から連続水蒸気蒸留により香気画分を取得し,ガスクロマトグラフィー分析,ガスクロマトグラフィー-マススペクトロメトリー分析,ガスクロマトグラフィー-においかぎ分析を行った.分析の結果,ラクトン類5種,ケトン類5種,アルコール類8種,不飽和アルコール類3種,エステル類2種,脂肪族アルデヒド類9種,脂肪族不飽和アルデヒド類8種,酸類2種,その他6種の計48成分が同定された.このうち,40成分は輸入牛肉より和牛肉に多く検出され,特にラクトン類は和牛肉に著しく多かった.同定された成分についてAEDA(Aroma Extract Dilution Analysis)法により香気寄与率を示すFD factor(flavor dilution factor)を求め,香気特性と合わせて和牛香への寄与を検討した.その結果,和牛香の甘さには,ココナッツ様,桃様の香りを有するラクトン類が寄与し,脂っぽさには脂臭い香りを有する一部のアルコール類やアルデヒド類などと,バター様の香りを有するジアセチルやアセトインなどが寄与していると推定された.
著者
高橋 道清 副島 延寿
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.207-209, 1979-03-01 (Released:2011-03-14)

南極昭和基地に, 可搬型地球局を臨時に設置し, 世界初のテレビ生中継を行った.困難な物理的条件のもとで, 地球局を設置するため特殊な方策が必要であった.地球局の内容, 回線構成, ならびに極地向けの仕様などについて解説し, あわせて極地における輸送, 建設, 番組作りの模様を紹介している.
著者
高橋 道宏 多喜田 保志 市川 宏伸 榎本 哲郎 岡田 俊 齊藤 万比古 澤田 将幸 丹羽 真一 根來 秀樹 松本 英夫 田中 康雄
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.23-34, 2011-01-15

抄録 海外で広く使用され,30項目の質問から構成されるConners成人期ADHD評価尺度screening version(CAARS®-SV)の日本語版を作成し,成人期ADHD患者18名および健康被験者21名を対象に信頼性・妥当性を検討した。各要約スコアの級内相関係数の点推定値はいずれも0.90以上であり,また因子分析の結果,ADHDの主症状である不注意と多動性-衝動性を表す因子構造が特定された。内部一貫性,健康成人との判別能力ともに良好であり,他のADHD評価尺度CGI-ADHD-SおよびADHD RS-Ⅳ-Jとの高い相関が認められた。以上により,CAARS-SV日本語版の信頼性および妥当性が確認された。
著者
澁谷 正俊 富澤 正樹 高橋 道康 谷口 孝彦 小笠原 國郎 岩渕 好治
出版者
日本薬学会化学系薬学部会
雑誌
反応と合成の進歩シンポジウム 発表要旨概要 第29回反応と合成の進歩シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.212-213, 2003-09-24 (Released:2004-03-16)

ダイヤモンドの基本構成単位に相当する高度な対称性を有する三環性脂環式炭化水素:アダマンタンは医薬品素材として極めて重要な位置を占めている。例えば、パーキンソン病治療薬ならびにA 型インフルエンザ予防薬であるアマンタジンを始め、合成レチノイド、NMDA 型グルタミン酸受容体アンタゴニスト、抗腫瘍剤など多様な薬剤分子の生理活性発現に関与している。アダマンタンは創薬化学における有用素子として、その官能基化と誘導体化に関する研究が盛んに行われているが、意外にもその分子上へのキラルな要素の導入に関しては、広瀬らの豚肝臓アルコールデヒドロゲナーゼを用いた置換2-アダマンタノンの不斉還元ただ一例が知られるのみであった。我々は、アダマンタンの創薬資源としてのさらなる可能性に興味を抱き、その母核上へのエナンチオ制御下の効率的官能基導入法を開発すべく検討を開始した。その結果、入手容易なσ-対称性7-メチレンビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オンのエナンチオ特異的修飾と、その生成物のアダマンタン核への閉環という2つの工程を鍵として、アダマンタンの不斉修飾への途を拓くことができた(Scheme 1)。本シンポジウムでは、その経緯とともに本手法のキラルα-アダマンチル-α-アミノ酸合成への活用について報告したい。【7-メチレンビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オンのエナンチオ選択的修飾】村岡らの報告に従って合成した7-メチレンビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オンのケトン部周辺へのエナンチオ選択的な官能基の導入を検討した。キラルリチウムエノラートを生成後、ベンズアルデヒドとの不斉アルドール反応を行ったところ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離可能な2 種のジアステレオマー混合物(生成比10:1)が得られた。収率79%、89% ee で得られる主成績体は一回の再結晶によって、光学的に純粋とすることができた。一方、エキソメチレン部を足場とするエナンチオ非対称化については未だ良好な結果を得るには至ってないが、エキソメチレン体から4 工程を経て導かれるラセミアリルアルコールが香月–Sharpless 不斉エポキシ化反応下に速度論的分割を受け、高光学純度(96%ee)のアリルアルコールを与えることを見いだした(Scheme 2 )。【7-メチレンビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オン誘導体のアダマンタンへの閉環反応】上述のようにして得た7-メチレンビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オン誘導体を基質として、Olah らの条件に準じてアダマンタンへの閉環反応を検討した。その結果、いずれの場合も0.35 当量の四塩化チタン存在下、塩化メチレン中、–30℃で速やかに閉環反応は進行し、光学活性なアダマンタン誘導体を与えた(Scheme 3 )。ここで、アダマンタン核への多様な官能基導入法の開発という観点から、オキシムエーテルへと導き、このものの閉環反応を検討した。その結果、オキシムエーテルもケトン体と同様にルイス酸条件下、種々のヘテロ原子求核剤と速やかに反応して良好な収率で1,3-置換アダマンタン誘導体を与えることを見いだした。【キラルα-アダマンチル-α-アミノ酸の合成】アルドール成績体を光延条件下アジドへと変換した後、閉環条件に付し、高収率でアダマンタンを得た。アミノ基への還元、保護、ベンゼン環の酸化を経てキラルα-アダマンチル-α-アミノ酸を合成した(Scheme 5)。また、キラルシリルエノールエーテルとイミンとのMannich 反応と閉環反応の組み合わせによる短工程合成も達成した(Scheme 6)。
著者
高橋 道郎 大塚 二郎
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.1611-1614, 1990-09-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
9
被引用文献数
1 2
著者
村松 泰子 河野 銀子 藤原 千賀 高橋 道子 高平 小百合 中澤 智恵
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

学校教育におけるジェンダー・バイアスに関し、中学生の理科という教科の学習を取り上げ、興味や関心、態度のジェンダー差の有無、その背景要因を明らかにすることを目的とした実証的研究を行った。理科と自然・科学への関心や態度に関する質問紙調査を、初年度は中学1年生に、2年度は2年生となったほぼ同一の対象に実施した。中2調査は、中1調査と同質問と新質問で構成した。調査対象は中1調査が全国各地の公立中学校9校961名、中2調査は同様の8校869名である。中1調査は、学校特性差を見るため東京都と近県の国公立・私立中学計22校でも実施した。第3年度には、調査校の教員インタビュー調査を行った。データ分析の軸は、男女差、理科の好き嫌いによる違い、中1から中2への変化、理科のおもしろさの変化のしかたによる違い、成績の自己評価ランクによる違い、学校特性(入試の有無、共学と女子校)による違いなどである。主な結果は次のとおりである。(1)科学的現象への関心は、内容により女子が高いもの、男子が高いものがある。(2)理科への関心は、女子は生物的内容、男子は物理的内容で高く、学習内容の理解度は数学的センスを要する単元ほど女子が低い。(3)理科の好き嫌いや学ぶ意味のとらえ方の男女差は中1から中2にかけて拡大し、とくに女子は理科嫌いの傾向が強まる。(4)理科に対する態度や信念の男女差は、全般的には中1から中2にかけて減少傾向にあるが、女子の方が理科に対し否定的な学習態度を示す。(5)理科の実験時の中心的役割は男子、準備・片づけや記録担当は女子が多い。(6)得意・苦手な科目は、英語を除きジェンダー化しており、また理科の得意・苦手は男子のほうが全般的な成績の自己評価との関係が強い。(7)女子校の生徒は実験や理科に積極的だが、意識としては理科は男子の教科とする傾向が強い。
著者
高橋 道子
出版者
北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院 = Graduate School of International Media, Communication, and Tourism Studies, Hokkaido University
雑誌
国際広報メディア・観光学ジャーナル
巻号頁・発行日
no.6, pp.113-134, 2008

Nowadays civil society in Japan is in the midst of a great transformation at a time when 'publicness', which used to belong to the authorities, should now involve those whom are concerned with administrative and fiscal reforms. Consequently, people in local communities have growing commitments to participate in policymaking directly, in a so-called 'partnership'. Furthermore, there is a growing interest in how the authorities should reform their environmental, welfare, and urban development policies at the regional level. It is certain that decision-making should depend on how well the residents of the local district facilitate consensus-building efforts among themselves. Prior to accomplishing agreement, mutual understanding is called for by means of communication in the local community. This is the reason why I discuss the theoretical possibilities of the Chonaikai (neighborhood association) within the framework of civil public sphere(Harbermas 1973), that is described as a communication space in order to present an ideal model of the Chonaikai. I argue that the ideal model should be considered as a voluntary association, in which the people establish agendas relevant to self-evident 'living', some of which might result in the raising of political issues in civil society by means of intersubjective communication.