著者
藤田 大輔 高村 浩司 駒形 純也 玉木 徹 坂本 祐太 三科 貴博
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.525-530, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
20

〔目的〕理学療法士養成課程における職業的アイデンティティと進学に対する動機づけの関連性を調査した.〔対象と方法〕理学療法士養成大学の第3学年の学生60名を対象にして,職業的アイデンティティと進学に対する動機づけについてアンケートを行った.〔結果〕職業的アイデンティティに対して知的向上心(β=0.40),外的報酬(β=0.22),青春謳歌(β=0.20)は正の影響があり,無気力(β=-0.40)は負の影響を及ぼした.〔結語〕理学療法士養成課程における職業的アイデンティティには,異なる因子の動機づけが関連することが示唆された.
著者
藤田 大輔 我部山 キヨ子 田中 洋一 岡田 由香
出版者
大阪教育大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

H県N市における乳幼児健康診査対象児(4か月児・1歳6か月児・3歳児)の2164名の母親に、文書でインターネットを利用した育児支援コミュニティ開設の趣旨を説明し、同意の得られた対象に、「育児に関する調査」と題した質問紙調査を実施した。その結果、育児支援ネットコミュニティ参加申し込み者は276名で、その内訳は、乳幼児健診全対象者に対して、初産婦が25.7%、経産婦が17.3%と、初産婦で申し込み希望が多く関心が高かった。育児支援コミュニティの利用状況を示すホームページへのアクセスは、月平均約100件で、初産婦が66.2%で、経産婦が33.8%であった。月曜日と水曜日のアクセスが比較的多く、全体の約6割を占めていた。逆に土曜・日曜日は5%前後と少なかった。また、最も多い時間帯は、12時〜17時で35.2%であった。掲示板の書き込み内容は、子どもの病気や予防接種について、保育園入園の時期などが挙げられた。初産婦の質問に対し、経産婦が体験談を通してアドバイスをする傾向にあった。育児支援コミュニティの利用希望者の心理特性では、利用を希望しない者に比べ、手段的支援ネットワークが有意に低く、ストレス反応が有意に高い傾向であった。逆に、育児に対する否定的感情は低く、育児に関する情報や解決策入手の数は多い傾向が観察された。この傾向は、サイト開設後の調査においても変わらなかったが、特性的自己効力感と情緒的支援ネットワークは、サイト開設後の方が比較的高い傾向であった。以上より、手段的支援の認知が低く、ストレスが高い傾向で、育児情報を探索する傾向にある者が、育児支援サイトを利用する傾向が認められた。結果、育児支援サイトを利用することで、体験者の励ましや助言から、情緒的な支えを得ることで育児に自信をもって対処しようとする効果が期待されることが示唆された。
著者
小泉 直子 藤田 大輔 二宮 ルリ子 中元 信之
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.107-112, 1998
参考文献数
12
被引用文献数
3 9

State-Trait Anxiety Inventory(STAI)の統計学的検査項目減数化によるスクリーニングテスト:小泉直子ほか.兵庫医科大学公衆衛生学-本研究の目的は, 定期健診で身体的健診と平行して簡便に行い得る精神面の健診方法を見つけ出すことである.阪神淡路大震災の復興事業に携わる建設業の男性労働者264名を対象に, 定期健診時に行われたSTAIの状態不安(A-State)20項目, 特性不安(A-Trait)20項目, 計40項目の検査データとSDS検査データを基に重回帰分析を行い, 簡易スクリーニングテストとして活用しうる5項目を抽出した.この5項目の総得点に対する説明率は, 状態不安90.0%, 特性不安88.5%であり, 推計値と実測値の相関は, 状態不安r=0.949(p<0.01), 特性不安r=0.940(p<0.01)であった.また, この5項目の構成概念妥当性および信頼性についてもそれぞれ一定の評価が得られたことより, 対象者の精神健康の概要を把握するための簡易検査法として有用であり, 事業所におけるメンタルヘルス対策に活用しうると考えられる.
著者
山本 勇次 坂野 晶司 石井 明 鈴木 千鶴子 池上 清子 溝田 勉 藤田 大輔
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学熱帯医学研究所共同研究報告集
巻号頁・発行日
vol.17, 2005

熱帯性疾患が頻発する地域は,概して経済的にも開発途上国がそのほとんどである。もっとも近年のSARSや鳥インフルエンザの流行が示すものは,ヒトやモノの移動が盛んになることにより経済先進国や地域も対象となり,例外ではないことが判明した。とりわけ,対策や予防を計画・実践する場合には,国境を越えた協力が必要であり,かつ行政や民間活動との連携が大切になる。従って,当課題の下では,途上国の現場に上記の観点から深く係わりをもった共同研究者が,それぞれ扱ったケースを紹介し合い,関係の密な社会環境要因を摘出し,検討かつ診断することを目的とした。
著者
小島 千枝子 大野 友久 長谷川 賢一 藤田 大輔
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.25-35, 2013-04-30 (Released:2020-04-30)
参考文献数
19

【目的】半固形物は一般に,舌を口蓋に押し付けることによる押しつぶしで処理される.しかし,健常者において,固形物のように咀嚼して食べる人が存在する.本研究では,口蓋の高さが半固形物の咀嚼パターンに影響している可能性を検討した.【対象】健常若年成人女性50 名.【方法】① 上顎の歯型模型を作製し,咬合平面から口蓋の底部までの高さを5 mm 間隔で計測した.② 最大舌圧を3 回測定し,平均値を分析の対象とした.③ ゼリー5 g 程度の自由嚥下を観察と問診で,咀嚼と押しつぶしパターンに分類した.④ 咀嚼パターンの9 名に対し,ソフトワックスによる模擬PAP(Palatal Augumentation Prosthesis)を口蓋の最も高い部分に貼り付け,摂食パターンの変化を観察し,舌圧を測定した.⑤ 3 名に対しVF を行い,模擬PAP 有無での嚥下動態を比較した.【結果と考察】統計分析により,押しつぶしと咀嚼に分ける口蓋の高さのカットオフ値が20 mm と算出された.口蓋の高い人は咀嚼が有意に多く,舌圧は有意に低かった.口蓋の高い9 名に模擬PAPを装着すると,咀嚼パターンから押しつぶしパターンに変わり,舌圧は平均5 kPa 上昇した.嚥下開始時の食塊の先端の位置は,咀嚼パターンでは喉頭蓋谷以降が83% を占めたが,押しつぶしパターンに変わると,口腔・咽頭上部領域が100% になり,喉頭蓋谷持続時間も短縮した.口蓋の高い人が半固形物を咀嚼する理由については,食塊を破砕しやすいことに加え,送り込みに関しても,半ば自動的に咽頭へ送り込まれる Stage Ⅱ Transport を用いたほうが容易であることによると推測された.嚥下障害者においても,口蓋の高い人はもともと半固形物を咀嚼していた可能性がある.スクリーニング段階で,口蓋の高さと咀嚼パターンを観察項目に加えることを提案したい.口蓋の高い人には,PAP 装着を選択することが有効と考えられた.
著者
豊沢 純子 藤田 大輔
出版者
大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンター
雑誌
学校危機とメンタルケア (ISSN:1883745X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.13-23, 2012-03-31

本稿は2011年12月にスウェーデン王国のストックホノレム市およびダンデリード市の学校と教育機関を訪問し、学校安全の現状を視察した際のインタビューの内容をまとめた報告書である。スウェーデンで、は、これまで学校における殺傷事件は起きていないが、隣国のフィンランドで2007年および2008年に在校生による銃の乱射事件が起きており、この事件以降、積極的な取り組みがなされるようになった。一方、放火やいじめ、暴力事件などは以前から起こっており、それらに対しては介入が行われていた。スウェーデ、ンにおける安全教育の根幹は、価値観の教育であり、人が皆平等で、あること、他者を思いやる気持ちを持つことなどを幼少期から丁寧に教育することによって、人間関係のトラブルや犯罪の抑止につながっているようであった。また、社会福祉制度の充実により、学校に様々な立場の人が関わり子どもたちを見守る仕組みが充実していることや、教職員が安全に関する専門教育を受講しやすいことなどが、学校の安全に寄与しているように思われた。This report was written based on the interview when we visited schools in Stockholm and Danderyd in December 2011, and inspected the current state of school safety. In Sweden, serious school crisis has not happened so far, but after the shooting incident occurred in Finland in 2007 and 2008, efforts were made to be activate. Meanwhile, arson, bullying, and violence have occurred before, and they had been for the intervention. Foundation of safety education in Sweden is the teaching of values, and this education seems to inhibit the occurrence of school crisis. In addition, the richness of the welfare system,a nd the environment that many people participate the school activity seems to contribute to school afety.