著者
藤目 ゆき
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

連合国占領軍の事件・事故に起因する人身被害に関する研究を行い、被害者とその遺族が受けた心理的・社会的・経済的ダメージやその後の暮らし、現在の心境・考えなどを明らかにした。全国調達庁職員労働組合による被害実態調査について、1000件を超える調査票の内容をデータ入力し、地方ごとに年表およびマップを作成した。GHQと米日両政府・被害者及びその遺族・政党や労働組合などの社会団体の動向を調査し、補償請求運動と立法化の過程を解明した。また、占領軍被害補償問題を原爆や空襲の被害、「慰安婦」被害など他の補償請求問題との比較検討・関係性の考察を進めた。
著者
林 博史 藤目 ゆき 秋林 こずえ
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

アメリカやイギリスなどで多くの米軍関係資料を収集するとともに、基地問題に取り組んでいる諸団体の聞き取りや資料収集をおこなうことができた。また日本国内や韓国など共同で基地の現地調査も実施し、韓国の研究者や、日本国内で基地を抱えている地域の地元研究者などとのネットワーク作りも進めることができた。共同研究者がそれぞれ多くの研究成果を発表し、米軍による性暴力ならびに性売買の歴史と現状について新たな研究を付け加えることができた。
著者
藤目 ゆき 山本 ベバリー 南田 みどり 今岡 良子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

大規模な国際組織であるWIDF(国際民主女性連盟)による世界平和運動の取り組み、またアジア各地の女性運動の展開を調査し、朝鮮戦争真相調査団の活動をはじめとして冷戦時代の国際女性運動の諸相を明らかにした。
著者
藤目 ゆき 大越 愛子 南田 みどり 古沢 希代子 今岡 良子 津田 守 深尾 葉子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

四カ年を通して、北はモンゴルから南は東ティモールにいたる北東及び東南アジアの全域を射程として、現代女性史に関する調査・研究を実施した。日本国内はもとよりモンゴル、中国(大陸)、台湾、韓国、ベトナム、カンボジア、タイ、ビルマ、フィリピン、インドネシア、東ティモールにおいてフィールドワークを行い、資料を収集した。軍事主義が女性に与えて影響を明らかにするための研究計画に基づいて、戦争・軍事政権・外国軍隊の駐留のインパクトを調査した。第一に朝鮮戦争・ベトナム戦争、またベトナムとカンボジアの紛争、カンボジア内戦・フィリピン内戦といった戦争下における女性の経験、第二にタイ・ビルマ・インドネシア・台湾などの軍事政権が女性に与えた影響、第三に駐韓米軍・在日米軍・米比一時駐留協定・モンゴルにおけるPKO訓練基地をめぐる地域女性史に焦点をあてた。これらの調査を通して、戦争・軍事政権・外国軍隊の駐留といった状況が女性に対する性暴力を構造化させ、人身売買・性的搾取構造を確立させていった過程を明らかにした。また、このような軍事主義的・暴力的構造に対してアジアの女性たちがんなる受動的な被害者であったのではなく、果敢に抵抗し、人権と平和が尊重される秩序を構築するために力を発揮したことをも明らかにした。このような研究成果を発表するために研究代表者・研究分担者はそれぞれに機会あるごとに学会における発表、学術誌への投稿、図書の刊行などに取り組み、また研究組織として『アジア現代女性史』全十巻の刊行に取り組むとともに、年報『アジア現代女性史』を日本語版・英語版で創刊し、それぞれ四号まで発行した。
著者
吉本 秀子 三宅 義子 藤目 ゆき 纐纈 厚 吉本 秀子 三宅 義子
出版者
山口県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

これまで在日米軍基地問題は、主として政治領域の問題として扱われてきたが、本研究は、これにジェンダーの視点を持ち込み、女性を中心とした岩国市民のオーラル・ヒストリーを記録することで、基地問題を公的領域としてだけでなく、公的領域と私的領域を橋渡しする問題として捉え直している。三宅は、岩国市民のキーパーソンに聞き取り調査を実施、オーラル・ヒストリーを記録した。藤目は、占領期における基地被害を女性史の視点から描き出し、著書『女性史からみた岩国米軍基地』を出版した。纐纈は、日米安保条約の枠組みから見た岩国基地の位置を考察した。吉本は、在日米軍基地が米国でどう報道されてきたかについて、ニューヨークタイムズ紙を例に分析した。基地問題で私的領域は顕在化しにくい。本研究は、顕在化しにくい部分を聞き取り調査と一次史料調査で顕在化させることを試みた。また、メディア分析で私的領域が公的領域として顕在化する事例を探った。