著者
高橋 和郎 田中 和子 西川 清方 米本 哲人
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.1140-1152, 1975
被引用文献数
1

8例の特異な急性多発性神経炎について臨床的ならびに末梢神経の電顕的検討を行なつた.これらの症例は下肢の著しい浮腫,疼痛をもつて始まり,上行性の運動麻痺,駆幹あるいは四肢末端の知覚障害,深部反射の低下をみる.麻痺は顔面神経に及ぶことがあり,一般に四肢末端に強い。知覚障害は比較的軽い.発症は急性あるいは亜急性で時に寛解,増悪を示し,しばしば,発熱,白血球減少,血沈促進, CRP陽性, A/G比低下など感染,アレルギーを思わせる所見を有する.同時に著しい心拡大,心雑音,時に心電図異常を認める.心臓症状は多発性神経炎の回復に先立つて軽快する.神経症状はGuil1ain-Barré症候群に類似するが,脳脊髄液は細胞数増加を示すことが多いが蛋白量は正常である。末梢神経は軸索,髄鞘共に著しい障害を示し,軸索再生,髄鞘再生の像がみられ,障害は有髄線維に著しい.再生した細い無髄線維の著しい増加がみられる.筋は軽度の血管周囲性リンパ球浸潤を示すものがあるが,筋炎という程の所見ではなく,一般に神経原性萎縮を示す.いずれも男性で1973年から1974年にかけて発症し,近年多発する傾向がある.脚気にも類似するが,要因と思われるものが見出し難く,かつしばしば感染,アレルギーを思わせる所見を有する.
著者
西川 清文 森 昇子 白木 雪乃 佐藤 伸高 福井 大祐 長谷川 英男 浅川 満彦
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.27-29, 2014-03-31 (Released:2014-05-31)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

国内外来種化による寄生虫相の変遷を分析するため,2010年と 2011年に旭川市内で捕獲されたアズマヒキガエル Bufo japonicus formosusの蠕虫調査をした。その結果,このカエルで既報告の 3線虫種と 1鉤頭虫種が検出された。北海道における当該カエル種の調査はなく,新記録となったが,寄生蠕虫相は本州に生息していた時の状態をほぼ保持したまま定着していたことが判明した。
著者
大前 貴之 西川 清
出版者
Society of Computer Chemistry, Japan
雑誌
JCPE Journal (ISSN:13449826)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.37-42, 2001

半経験的分子軌道法を用いて, 凹多角形のπ電子共役系を有する四つ葉分子素子を研究した.この分子は, 自然界に普遍的に存在する炭化水素からなることから継続的な原料調達が可能であるばかりでなく, その新奇な構造からπ電子共役系の化学の新たな展開を促す興味深い標的化合物であると考えられる.
著者
西川 清
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.60-68, 1988
被引用文献数
6 6

これまであらゆる治療法を駆使しても, コントロールの困難であった成人を含む重症・難治群が, 電動ネブライザーを使用したDSCG+salbutamol 吸入の regular use (DSCG 2ml+salbutamol 0.25~1mg 1日2回) により最長8ヵ月, ほぼ全例に著明な臨床症状および日常生活の改善をみた. regular use 施行前3ヵ月と施行後3ヵ月の臨床症状を比較すると, 発作点数は難治群で71.7から17.4に, 重症群で22.8から10.2に減少した. 救急外来受診回数は, 7名の外来難治群で27.3回 (3~44回) から1.1回 (0~3回) に, 12名の重症群では12.3回 (0~38回) から3.1回 (0~13回) に減少した. また難治群の副腎皮質ホルモン使用量は Prednisolone 換算で460.7mg (150~945mg) から74.2mg (0~415mg) へと減量できた. 学校・仕事の欠席日数は, 難治群で14.1日から0.6日に, 重症群で11.1日から2.0日に減少した. 著明な臨床症状の改善をみた症例, 家族とも, 心理的にも大幅な改善を示した.<br>DSCG+β<sub>2</sub> agonist の regular use は, 気管支拡張持続作用と気道炎症の抑制作用により発作を予防するだけでなく, これまで困難であった難治群の0レベルを実現し, 気道過敏性に影響を与え, 寛解に導き得る治療法となる可能性を示唆した.