著者
西村 貴直
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.14-22, 2003-03-31

今日,とくに英米を中心としたいくつかの先進資本主義諸国では,既存の福祉国家体制の,大規模な再編成のプロセスのなかで,貧困問題をめぐる社会的な構図が大きく書き換えられつつある。その背景には,貧困の問題を,一般労働者階級の失業や低賃金の問題と,あるいは一般市民が被っている社会的・経済的剥奪の問題と結びつけて把握するのではなく,一般社会とは切り離された「アンダークラス」の構成員が抱える個人的・集団的属性の問題として把握する考え方が存在している。本稿では,こうした「アンダークラス」に言及する,あるいはそれと深くかかわるいくつかの議論の検討を通じて,現代福祉国家における「貧困」をめぐる問題構成の変容の一側面を浮き彫りにしたい。こうした作業は,とくに英米の「ワークフェア」政策から多くを吸収しようとしているわが国の福祉政策の展開を占う意味でも,極めて重要な意義をもつように思われる。
著者
岡部 卓 室田 信一 久保 美紀 西村 貴直 新保 美香 安藤 藍 三宅 雄大 杉野 昭博 金子 充 堅田 香緒里 圷 洋一 布川 日佐史 和気 純子 小林 理 乾 彰夫 長沼 葉月
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究の目的は、貧困・低所得者対策である生活保護・生活困窮者自立支援・関連施策による方策(制度・政策およびソーシャルワーク)が「包摂型社会」構築にどのように寄与しているかを理論的・実証的研究を通じて検証し、今後とりうる方策を検討することである。以上の研究目的設定のもと、本年度は、フィリピン・マニラでの海外調査の実施である。欧米モデルとは異なるフィリピンでの貧困対策・社会的包摂の取組みの実際を検討するべく、St. Mary’s College Quezon CityのImelda Macaraig教授にインタビューした。また、海外での学会参加及び報告を行った。具体的には、福祉レジームと若者の移行に関する研究報告(Welfare Regime and Young people’s Transition to Adulthood: A Frame-work for Five Countties’ Comparasion)をJournal of Youth Studies Conference(オーストラリア、ニューカッスル)で実施した。その他、支援者へのインタビュー調査を次年度以降の本調査に向けてのプレ調査として、貧困、障がい、女性関連の施設職員(支援者)へのインタビュー調査を実施した。フィリピン調査、学会報告は、研究成果として報告書にまとめた。
著者
西村 貴直 Takanao NISHIMURA
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 = Nagasaki International University Review (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.185-194, 2005-01

1980年代以降、様々なかたちの社会変動プロセスが同時的に進行していくなかで、多くの社会的葛藤が生じてきている。なかでも、富める者と貧しい者との二極分化が「豊かな」先進諸国の内部でも深刻化しており、「新しい」貧困問題を形成しつつある。本稿では、わが国における「新しい」貧困問題の一端を構成する「フリーター」問題に関し、英米における「新しい」貧困問題に言及する“アンダークラス”の概念と対比させながら、特にその言説にともなういくつかの問題を浮き彫りにすることを目的としている。
著者
西村 貴直
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.185-194, 2005-01-31

1980年代以降、様々なかたちの社会変動プロセスが同時的に進行していくなかで、多くの社会的葛藤が生じてきている。なかでも、富める者と貧しい者との二極分化が「豊かな」先進諸国の内部でも深刻化しており、「新しい」貧困問題を形成しつつある。本稿では、わが国における「新しい」貧困問題の一端を構成する「フリーター」問題に関し、英米における「新しい」貧困問題に言及する"アンダークラス"の概念と対比させながら、特にその言説にともなういくつかの問題を浮き彫りにすることを目的としている。