- 著者
-
三宅 雄大
- 出版者
- 一般社団法人 日本社会福祉学会
- 雑誌
- 社会福祉学 (ISSN:09110232)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.4, pp.17-30, 2022-02-28 (Released:2022-05-21)
- 参考文献数
- 12
本稿の目的は,生活保護制度における大学等への「世帯分離就学」がどのような論理によって正当化され,維持されているのかを明らかにすることである.以上の目的を明らかにするべく,分析資料としては,2017年に開催された厚生労働省・社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」の議事録を用いる.分析結果として,部会の議論では:①「大学等非就学者/高卒就職者/非利用世帯との均衡」を理由に,大学等就学の「最低生活保障への包摂不可能性」が指摘されていた.そして,②これにより「世帯内就学」の正当性が否定され,③結果として「世帯分離就学」が消極的に正当化されていた.しかし,以上の「世帯分離就学」を正当化する論理には,いくつかの問題が含まれており必ずしも頑健なものではなかった.そのため,今後,あらためて「世帯分離就学」を正当化する論理を精査し,大学等就学時の「世帯認定」の在り方を検討する必要がある.