著者
森本 浩行 西形 達明 西田 一彦 玉野 富雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.806, pp.45-54, 2005-12-21
参考文献数
15
被引用文献数
1

城郭石垣は, 個々の石垣石の大きさや加工の状態, 基本勾配や反りの量などの違いによって様々な断面形状を形成しており, 同じ形状のものは存在しない. これら石垣形状に影響を与える各種要因を考慮した石垣構築の技術的な変遷について解明を進めた結果, 基本勾配や反りの量は石垣石の加工状況に大きく影響されていることが明らかとなった.
著者
天野 光三 西田 一彦 渡辺 武 玉野 富雄 中村 博司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.2000, no.660, pp.101-110, 2000
被引用文献数
1

近世の城郭における石垣構造の技術的頂点に位置するものとして徳川期初期での大坂城石垣がある. 石垣形状での2次元的曲線および3次元的曲面にみられる構造美や構造形式としての力学的合理性からみて, 城郭石垣は世界的に他に例をみない極めて優れたものである. 本研究では, 歴史遺産としての徳川期大坂城城郭石垣をその構造に着目して土木史的研究を行った. まず, 現場調査と文献調査により過去の崩壊事例を明らかにした. 次に, これらの歴史データの分析をもとに抽出した石垣構造形式の力学的合理性に関して, 平面および断面形状に着目した実証的研究を行った. その中で, 石垣構造の安定性評価法として, 石垣構造比および石垣はらみ出し指数といった工学指標について提案した.
著者
山本 浩之 西形 達明 八尾 眞太郎 西田 一彦 笠 博義
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集C (ISSN:1880604X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.43-57, 2010
被引用文献数
3

城郭石垣の動的状態での安定性を力学的に評価することを目的に,実物大の石垣の大型振動台実験をした.石垣は,"打込みはぎ"による反りを有する形状とし,背面は栗石と土で充填した.実験方法は,入力波形を3Hzの正弦波,入力方向を水平一方向とし,加速度振幅を段階的に増加させ,各材料(石材,栗石,背面地山)の応答状態を計測した.その結果,688gal付近を境界に,石垣の変形が"転倒モード"から"孕み出しモード"へ移行し,各材料の応答加速度や各材料間の位相差に変化があることが捉えられた.また,このような石垣の変形過程は,栗石の沈下等による背面土圧の増加や岩盤の内部摩擦角に相当する石材間の摩擦角の低下に伴い発生することが明らかになった.
著者
西田 一彦 西形 達明 玉野 富雄 森本 浩行
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.750, pp.89-98, 2003-12-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

城郭石垣の多くは構築から400年前後経過しており, 崩壊の危機にさらされている箇所が数多く存在している. 城郭石垣の保存のために, 現在の形状を計測し把握するとともに, 城郭石垣構築当時における状態を推定するために石垣構築技術についての記述がある「後藤家文書」,「石垣秘伝之書」および「石墻書」の三つの構築手法を明らかにすることで反り曲線勾配部分について数式化することを試みた. この両者の比較により, 構築当時からの変形状況が把握でき, 現在多くの城郭石垣で問題となっている孕み出しの大きさを算出することが可能となった. さらに, 崩壊の危険性の判断や修復の必要性および修復形状などへの活用が可能となる.
著者
西形 達明 西田 一彦 玉野 富雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.69-74, 2002-05-15 (Released:2010-06-15)
参考文献数
6

我が国の古墳内部の石室は歴史的情報の宝庫とも言うべきものであり, 古墳盛土とともに現在もいたる所で精力的な調査がなされている. その中で石室構造はその歴史的情報の他に, 石組み構造としての地盤工学的に重要な情報も数多く有している. とくに, 上部の古墳盛土重量を支持する石室の力学的構造とその安定性について考察することは, 石室の維持補修に対しても貴重な資料を与えるものと考えられる, そこで, 本研究では石室の石組み構造と安定性について, 個別要素法を用いて基礎的な解析を行った結果について報告する.
著者
中山 義久 西田 一彦 西形 達明 井上 啓司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.638, pp.207-215, 1999-12-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
16
被引用文献数
2

非常に幅広い物理・強度特性を有するまさ土の液状化特性を総合的に把握することを目的として, 関西地区で産する複数のまさ土を対象として繰返し三軸試験機で液状化試験を実施した. 液状化強度に及ぼすまさ土の物性値として粒度特性 (細粒分含有率, 50%通過粒径, 均等係数), 風化度 (強熱減量), コンシステンシー特性 (流動限界) を選び, それぞれの物性値と液状化強度との関連を調べた. その結果, まさ土の液状化特性はその採取場所によって大きく異なるが, コンシステンシー特性 (流動限界) と圧密後の間隙比を用いて簡易的に液状化強度を推定できることが明らかになった.
著者
森本 浩行 西田 一彦 西形 達明 玉野 富雄 森 毅
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.263-268, 2000

1959 (昭和34) 年の「大坂城総合学術調査」において, 現大阪城が豊臣秀吉創建のものではなく, すべて江戸時代初期の徳川幕府による築造であることが判明した. またこの調査により, 本丸天守台南側で地下深く埋れた石垣が発見された. その後, ガスや水道の埋設管敷設に係わる調査において, いくつかの地下石垣が発見された. 特に, 1984 (昭和59) 年に行われた大手前配水池南側の調査において, 大規模な石垣垣の隅角部が発見された. これらの地下石垣は地上の石垣とは規模も積み方も異なり, 豊臣時代の大坂城ではないかと考えられている. 本研究では, 筆者らが提示している数値評価法を用いて, この地下石垣の特徴について考察するとともに, 石垣構築の技術的な面から構築年を推定した.
著者
玉野 富雄 西田 一彦 Bimal SHRESTHA 金岡 正信 森本 浩行
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.5-8, 2004-01-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
2
被引用文献数
2 2

Japanese Castle masonry walls constructed from the end of sixteen century to the middle of seventeen century hold a historical heritage in the construction culture and are famous worldwide for their uniqueness with mortar-less construction. Present investigations on these walls have shown bulging at various locations and the engineering evaluation on the wall stability needs to be urgently required. Based on this viewpoint, this paper presents the FEM analysis results on the stability and deformation behavior with parametric analyses on Osaka Castle masonry wall. It is found that the cobble plays a significant role in reducing the stresses of stone wall and that the masonry wall structure ratio adds stability by the arching effect action on the masonry wall.
著者
森本 浩行 西形 達明 西田 一彦 玉野 富雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.806, pp.806_45-806_54, 2005 (Released:2006-05-19)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

城郭石垣は, 個々の石垣石の大きさや加工の状態, 基本勾配や反りの量などの違いによって様々な断面形状を形成しており, 同じ形状のものは存在しない. これら石垣形状に影響を与える各種要因を考慮した石垣構築の技術的な変遷について解明を進めた結果, 基本勾配や反りの量は石垣石の加工状況に大きく影響されていることが明らかとなった.
著者
野間 康隆 山本 浩之 西村 毅 笠 博義 西形 達明 西田 一彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集C(地圏工学) (ISSN:21856516)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.444-456, 2013
被引用文献数
5

城郭石垣の維持管理においては地震時の安定性評価手法の確立が課題となっている.本研究では,城郭石垣を対象として地震時の変形を予測し,なおかつ,その結果を用いて動的安定性評価を行う手法について検討を行った.具体的には,粒状体の解析手法の一つである個別要素法を用いて城郭石垣の地震時変形予測を考え,各石垣構成材(築石,栗石,地盤)の物性値と入力物性値との関係を明確にした上で実物大城郭石垣モデルの振動台実験結果の再現を試みた.この結果,地震力が作用した場合の築石の変形量や変形モードを的確に再現できることが確認された.さらに,文化財である城郭石垣を対象として地震時の安定性を評価することを目的として,上記の解析結果を「孕み出し指数」により評価する手法についての提案を行った.
著者
森本 浩行 西田 一彦 西形 達明 玉野 富雄 森 毅
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.263-268, 2000-05-01 (Released:2010-06-15)
参考文献数
14

1959 (昭和34) 年の「大坂城総合学術調査」において, 現大阪城が豊臣秀吉創建のものではなく, すべて江戸時代初期の徳川幕府による築造であることが判明した. またこの調査により, 本丸天守台南側で地下深く埋れた石垣が発見された. その後, ガスや水道の埋設管敷設に係わる調査において, いくつかの地下石垣が発見された. 特に, 1984 (昭和59) 年に行われた大手前配水池南側の調査において, 大規模な石垣垣の隅角部が発見された. これらの地下石垣は地上の石垣とは規模も積み方も異なり, 豊臣時代の大坂城ではないかと考えられている. 本研究では, 筆者らが提示している数値評価法を用いて, この地下石垣の特徴について考察するとともに, 石垣構築の技術的な面から構築年を推定した.