- 著者
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渡辺 武
後藤 実
- 出版者
- 一般社団法人 日本東洋医学会
- 雑誌
- 日本東洋醫學會誌 (ISSN:1884202X)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.2, pp.23-26, 1953-12-10 (Released:2010-10-21)
桂枝加芍薬湯, 弓帰湯, 苓桂朮甘湯, 平胃散等について精油の抽出を目標とした実験を綜合すると, 精油含有の生薬を配互する漢方剤の煎出法は, 再煎法, 煎出する水の量, 抽出時間, 配互する生薬等に, 相当量の精油分を煎剤中に保有するよう考慮されている. 然し坐切度が荒い場合などは残渣中に尚多量の未抽出の油分を残している. 煎剤を調製するに際して, 蓋を除き開放したときは, ほとんど大部分の精油分を揮散させてしまうから注意を要する.之等の漢方剤の製剤に当つて, エキスを調製する際, 精油分を逸散してしまい効果が期待出来ない. 新抽出法によれば, 抽出, 濃縮と同時に精油をほとんど定量的に捕集することが出来るので, 最も合理的でしかも能率がよい.終りに臨み, 本研究の機会を与えられた武田研究所長桑田智博士, 終始御助言, 御鞭撻を頂いた朝比奈泰彦先生, 実験材料の調製に助力を得た富樫誠, 松岡敏郎, 野口友昭の諸氏に深謝する.