著者
南 ひとみ 井上 晴洋 佐藤 裕樹 川﨑 寛子 山本 浩之 荻原 久美 中尾 一彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.327-332, 2020-03-25

要旨●食道アカラシアおよびその類縁疾患の診断および治療は,近年新たな低侵襲治療の内視鏡的食道筋層切開術(POEM)やhigh resolution manometryが登場したことによって飛躍的に進歩した.運動機能の異常である本疾患群は,形態学のみでは診断困難な場合も多く,内視鏡の典型像を知る以外にも,食道X線検査や食道内圧測定などの検査所見から総合的に病態を把握することが重要である.本稿では,食道アカラシアや遠位食道痙攣,jackhammer食道などの食道運動機能障害の内視鏡所見について概説する.
著者
山本 浩之 西形 達明 八尾 眞太郎 西田 一彦 笠 博義
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集C (ISSN:1880604X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.43-57, 2010
被引用文献数
3

城郭石垣の動的状態での安定性を力学的に評価することを目的に,実物大の石垣の大型振動台実験をした.石垣は,"打込みはぎ"による反りを有する形状とし,背面は栗石と土で充填した.実験方法は,入力波形を3Hzの正弦波,入力方向を水平一方向とし,加速度振幅を段階的に増加させ,各材料(石材,栗石,背面地山)の応答状態を計測した.その結果,688gal付近を境界に,石垣の変形が"転倒モード"から"孕み出しモード"へ移行し,各材料の応答加速度や各材料間の位相差に変化があることが捉えられた.また,このような石垣の変形過程は,栗石の沈下等による背面土圧の増加や岩盤の内部摩擦角に相当する石材間の摩擦角の低下に伴い発生することが明らかになった.
著者
笠 博義 山本 浩之
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
地盤工学会誌 (ISSN:18827276)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.14-17, 2011-09-01

The masonry walls of Japanese castles are precious cultural properties, and many people come to sightseeing on the castles. For this reason, in the conservation of their careful consideration is required both preservation of their cultural properties and stability of foundation structure of them is required. From recent studies, it was gradually discovered that Japanese traditional masonry walls are stable for both static and dynamic conditions. For preservation and restoration of them, the appropriate evaluations and measures based on examination of the geotechnical engineering are needed.
著者
福永 正明 大西 英雄 松友 紀和 山本 浩之
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.489-495, 2016 (Released:2016-06-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

Purpose: The purpose of this study was to evaluate the effects of target diameter and display-field of view (D-FOV) in modulation transfer function (MTF) by circular edge strategy using the computed tomography (CT) image measurement program “CTmeasure”. Methods: We calculated the MTF (MTFedge) using the circular edge strategy applied to cylindrical phantom (200 mmφ) that inserted with cylinders have 10, 20, 30, and 40 mm diameters. The phantom images were reconstructed using filtered back projection method varied with D-FOV (240, 320, 400, and 500 mm). The study compared both MTFedge and MTFwire at MTF50% and MTF10% for target diameter and D-FOV, respectively. Results: The MTFedge by the different of target diameter indicated in rough compatibility. However, MTFedge of D-FOV diameters (320, 400, and 500 mm) decreased in the high frequency range. Conclusions: The circular edge strategy for MTF depended on the D-FOV, however, it was little dependent on target diameter using the CT image measurement program “CTmeasure”.
著者
山本 浩之 吉田 正人 松尾 美幸 安藤 幸世 粟野 達也 鳥羽 景介
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

裸子植物でありながら被子植物のような二次木部を持つグネツム科の高木について、傾斜樹幹における負重力屈性発現のメカニズムを調査した。傾斜樹幹では、上側で二次木部の肥大成長が促進されると同時に、特異的に大きな引張の成長応力が発生することがわかった。その微視的メカニズムは、原始的なタイプの引張あて材をつくるモクレン科の樹種に類似していることがわかった。このことから、グネモンノキの負重力屈性挙動は、他の裸子植物に見られるような圧縮あて材型ではなく、被子植物に見られるような引張あて材型であると結論した。さらに二次師部においても、傾斜の上側で著しい肥厚が見られ、そこには大きな引張応力の発生が認められた。
著者
坪井 邦仁 福永 正明 山本 浩之
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.72, no.12, pp.1237-1244, 2016 (Released:2016-12-20)
参考文献数
17
被引用文献数
3 1

Purpose: The purpose of this study was to investigate the effects of the metal artifact reduction using single energy metal artifact reduction (SEMAR) with a prosthetic hip joint in different field of view (FOV). Methods: A prosthetic hip joint was arranged at the center of the phantom. The phantom images were scanned by changing calibrated-FOV (C-FOV) of 240, 320, 400, and 500 mm. Those images were reconstructed by changing the display-FOV (D-FOV) of 120, 180, 240, and 320 mm. The metal artifact reduction with the SEMAR was evaluated by calculating the artifact index (AI) and its decrease ratio. Results: The AI of C-FOV (500 mm) and D-FOV (120, 180, 240, or 320 mm) were 15.8, 15.8, 15.7, and 14.4 with SEMAR. For changed C-FOV, the AI of C-FOV (240 mm) was significantly higher than any other C-FOVs. The AI of C-FOV (240 mm) was 29.8–30.0 and that of the other C-FOV were 12.4–15.8 with SEMAR. In addition, the decrease ratio of AI was 52.2–54.1% for C-FOV (240 mm) and 58.9–73.2% for the other C-FOVs. Conclusion: Although the SEMAR decreased the metal artifact, the effect of reducing the metal artifact was affected by C-FOV.
著者
山本 浩之 岡田 隆 永井 朗 西田 綾子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.10, pp.1771-1773, 1988-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
14

Some Trichoptera, so-called net spinning caddis, eject the contents of their silkglands to build a nest for protecting themselves in a rapid stream. The adhesive protein formed by caddis worm Stenopsyche griseipennis McLachlan has been studied to obtain some basic knowledges such as the preparation of fibroin solution, the amino acid analysis, and the bonding strengths on test pieces. The protein was found to have the tensile strengths of the highest 14 kg/cm2 on iron and 7 kg/cm2 on pig bone, and the highest compressive shear strength 12kg/cm2 on iron.A discuss ion is presented that includes results of the bonding strengths of Bombyx mori fibroin.
著者
山本 浩之 緒方 辰男 日下 裕 蓮井 昭則 佐々木 康
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集C (ISSN:1880604X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.718-731, 2008

計画された長大切土のり面の中央部に三成分(X, Y, Z 方向)地中変位測定孔を埋設し,掘削期間中の三成分の地山挙動を計測した.その結果,掘削時における鉛直変位(リバウンド)や水平変位などの変形量および収束時期の傾向,掘削除荷(土被り荷重が減少)することにより鉛直ひずみが非線形で増加する傾向が捉えられた.そして,掘削による除荷の大きさと鉛直変位から見掛けの弾性係数を整理するとともに,掘削前に実施した孔内載荷試験の除荷過程の応力−変位曲線から得られる除荷重と弾性係数との関係を比較した.さらに,切土のり面の変形挙動の予測手法として,掘削前の孔内載荷試験に基づく解析モデルの構築方法,また掘削時の管理基準値設定方法の考え方について提案した.
著者
野間 康隆 山本 浩之 西村 毅 笠 博義 西形 達明 西田 一彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集C(地圏工学) (ISSN:21856516)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.444-456, 2013
被引用文献数
5

城郭石垣の維持管理においては地震時の安定性評価手法の確立が課題となっている.本研究では,城郭石垣を対象として地震時の変形を予測し,なおかつ,その結果を用いて動的安定性評価を行う手法について検討を行った.具体的には,粒状体の解析手法の一つである個別要素法を用いて城郭石垣の地震時変形予測を考え,各石垣構成材(築石,栗石,地盤)の物性値と入力物性値との関係を明確にした上で実物大城郭石垣モデルの振動台実験結果の再現を試みた.この結果,地震力が作用した場合の築石の変形量や変形モードを的確に再現できることが確認された.さらに,文化財である城郭石垣を対象として地震時の安定性を評価することを目的として,上記の解析結果を「孕み出し指数」により評価する手法についての提案を行った.
著者
長尾 和明 山本 浩之 笠 博義 竹津 英二 木村 義弘
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
トンネル工学研究発表会論文・報告集 (ISSN:18849091)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.263-268, 2003-11-17 (Released:2011-06-27)
参考文献数
6

Iiyama tunnel has bored into Tertiary sandstone, mudstone and tuffbreccia which include inflammable gas like methane gas, at boundary of Nagano and Niigata prefecture. For methane gas is very combustible and explode easily, investigation and monitoring of inflammable gas is very important for safety construction of the tunnel. It was reported that horizontal exploratory boring, automated monitoring system and ventilation system for dilution of the gas were applied effectively on this tunneling.
著者
武藤 佳恭 山本 浩之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J96-B, no.12, pp.1316-1321, 2013-12-01

本論文は,(1)床発電の研究のはじまり,(2)床発電の実証実験と床発電商品としての実施例,(3)熱海市での温泉排熱を利用した温度差発電,(4)ロウソク熱を使った温度差発電,(5)たき火熱,薪ストーブの廃熱,バイクマフラー廃熱,懐炉(カイロ)廃熱などを利用した温度差発電,(6)自然廃熱を利用したマグマ熱発電まで網羅的に紹介する.エネルギーハーベスティングまたはパワーハーベスティングの研究は,新産業創出に貢献できるものと著者らは期待している.関連する測定技術や性能向上のための技術問題についても簡単に述べる.上記のうち,(1)〜(5)は,実証実験,(6)は日本国が実施すべきマグマ熱発電の概要を説明する.
著者
山本 浩之 俣野 哲朗
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.133-139, 2007 (Released:2008-06-05)
参考文献数
40
被引用文献数
1

予防HIV-1ワクチン開発における最も本質的な問題は,ウイルス抗原の易変異性への対処ではなく,宿主防御免疫系の働きによる自然寛解を許容せず慢性持続感染を成立させるウイルスをそもそもどのように制御するかという点である.この考え方は,自然寛解が得られる急性ウイルス感染症に対する予防ワクチン開発戦略とは本質的に異なるアプローチである.ヒトHIV-1感染症及びサル免疫不全ウイルス(SIV)感染サルモデルの解析により,宿主適応免疫系はエイズウイルス複製の抑制においても中心的な役割を果たしていることが明らかになってきたが,自然寛解が一般に得られないことからもわかるとおり,その機能の発揮は自然感染においては完全でない.したがって,何が障壁となるのかを明らかにしその条件を取り除くアプローチ,あるいはウイルス複製制御に元来寄与しうる条件を強化するアプローチが,HIV-1ワクチン開発には求められる.それはすなわち,エイズウイルス慢性持続感染が成立する過程が,どの段階で,どのような機序で,どの程度可逆であり,可逆性を得るためにどのような宿主防御免疫を誘導すればよいのかを理解することと一体である. 本稿では,サルエイズモデルについて言及したうえで,宿主レベルでのエイズウイルス感染防御免疫について概説する.特にin vivoでのエイズウイルス複製抑制に中心的な役割を果たしていることが知られているウイルス特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL),および持続感染成立阻止への寄与が明らかになりつつあるウイルス特異的中和抗体について,我々の研究で得られた知見を含め,重点的に解説する.同時にそれらに基づく予防HIV-1ワクチン開発の進展を概観し,今後解決すべき問題点を考察する.
著者
吉田 正人 山本 浩之
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

樹木の姿勢はあて材に発生する成長応力で調整されている。しかし、木材にあて材が含まれると、割れ・反りが大きくなり、高度利用の障害となる。そこで本研究は、針葉樹のあて材がどのように形成するのかを遺伝子発現の立場から理解することを目指した。細胞壁リグニンの合成に関連する遺伝子を調べたところ、あて材が形成されるときだけに発現する遺伝子を発見し、これをCoLac1と命名した。この遺伝子はあて材の細胞壁においてリグニン増加と密接な関係にあることを明らかにした。また、次世代シーケンサであて材形成時の遺伝子発現を網羅し、あて材形成の理解を深めた。