- 著者
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寺尾 岳
谷 幸夫
- 出版者
- 学校法人 産業医科大学
- 雑誌
- Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.3, pp.337-340, 1988-09-01 (Released:2017-04-11)
- 被引用文献数
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常用量のbenzodiazepine系薬剤(以下BZDと略す)を中断後, 重度の離脱症状を呈した2例を報告した. 症例1は61歳男性で, nitrazepam1 0mg/日を離脱後7日目にせん妄を呈した. 症例2は49歳女性で, nitrazepam 5mg/日とtriazolam 0.5mg/日を離脱後4日目に幻聴, 5日目に視覚性の認知障害を呈した. 常用量のBZD中断において離脱症状が生じることは少なく, さらにこのような精神病様状態が発生することは稀である. 本論文では, 6ヵ月以上の服用期間と強度の不眠を危険因子として挙げ, さらに症状発生日の予測法についても言及した. 不幸にして精神病様状態が発生した場合の処置として, diazepamの静注を勧めた. また, BZDの常用量投与の際にも中止する場合には漸減が望ましいと考え, 具体的な漸減法を示した.