著者
辰口 直子 大 雅世
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.345-351, 2019-10-05 (Released:2019-10-11)
参考文献数
12

一定条件下で鶏卵のゆで加熱を行い,卵の中心温度と保持時間が凝固状態に与える影響を明らかにして,好みの凝固状態の温泉卵を作るための指標を提示する事を目的とした。 水温65℃,68℃,70℃一定で加熱した場合,卵中心温度は,65℃で30 分,68℃で28 分,70℃で27 分で水温近くに達した。その時,いずれの温度でも卵白の流動性があるが,到達温度によって異なり,卵黄の高さもそれぞれ異なった。温泉卵の形状は65℃では,卵白の流動性があり,210 分経過した後も広がり方は減るものの流動性が認められた。68℃では保持時間が長くなると流動性は減少し,70℃では30 分経過すると流動性がみられなくなった。卵黄は65℃,68℃では保持時間が長くなると高さが増す傾向にあったが,70℃では大きな差はみられなかった。中心温度と保持時間での卵白と卵黄の凝固状態が明らかになったので,これらの結果を利用して好みの成績を得る為の指標を作成した。
著者
石黒 初紀 阿部 加奈子 辰口 直子 蒋 麗華 久保田 紀久枝 渋川 祥子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.95-103, 2005-02-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

一般には炭火で調理されたものがおいしいと評価されることは多いがその根拠は明らかにされていない.そこで, 伝熱量および放射の割合を同等にした数種の熱源で鶏肉を焙焼し, 官能検査, においの成分分析を行った.さらに, 試料を焙焼する熱源から発生する燃焼ガスの成分分析を行った.官能検査の結果, においと総合的評価は[炭火焼き]と[ガス網焼き]を比較すると, 有意差は認められなかったが[炭火焼き]が好まれる傾向がみられ, さらにその匂いの差は識別できるものであった.そこで, においについて機器測定を行った.その結果, エレクトロニック・ノーズによる分析結果からセンサーが測定できるにおい成分の量は[ガス直火焼き], [ガス網焼き], [ヒーター焼き]は同等であるが, [炭火焼き]は他の熱源のものより低いことがわかった.このため, 炭火加熱により生じたにおいに何らかの違いがあることが考えられた.また, GCMSによる分析結果から, 官能検査により炭火加熱をした鶏肉の方が好まれた要因は, 香気成分組成において好ましくないにおいを持つ脂肪族アルデヒド類の割合が焼き網に比べ少なく, 香ばしい香りを有するピラジン類やピロール類の割合が多いためと考えられた.鶏肉の焙焼香の違いの原因は, 燃焼ガスにあるのではないかと考え, 燃焼ガスの測定を行った.その結果, 炭の燃焼ガスには, 焼き網よりも還元性の強い一酸化炭素や水素が多く含まれ, 酸素の含有量が少なかった.なお, この燃焼ガスの組成の違いと香気成分の生成との詳細な関連についてはさらなる検討が必要である.
著者
辰口 直子 渋川 祥子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.157-165, 2000-05-20
参考文献数
8
被引用文献数
4

本研究は材質の異なる市販鍋(アルミ,銅,多層,ステンレス,ホーロー,パイレックス,土鍋)や厚さの異なる試験用鍋(アルミ)を用い,その熱特性と調理適性との関連を明らかにすることを目的とし,実験を行った。鍋の材質や厚さの違いによる熱特性として,温度上昇速度,水分蒸発量,熱効率を算出し,その際ガス流量を変化させ,火力の違いによる影響も加味した。その結果,以下のことが明らかとなった。1.熱効率と鍋内試料の温度上昇速度は,熱容量が小さく同時に熱伝導率の高い材質の鍋ほど大である。2.熱伝導率が低い鍋(ステンレス,ホーロー,パイレックス,土鍋)と厚さの薄い鍋は,鍋底に温度ムラがおこりやすく,焦げ付きやすい。3.鍋底の温度ムラの大きい材質の鍋(パイレックス,土鍋,ホーロー)は煮崩れ量が多くなる。4.鍋の特質は火力が大きいほどでやすい為,調理成積に差が出る。火力が小さければ鍋間の差が出にくい。このため,短時間で鍋内温度を上げたい場合は熱容量の小さく熱伝導率の高い鍋(アルミ,銅)及びホーローを用いるとよい。煮込み料理のように,条件として煮崩れ量が少なく,蒸発量が少なく,温度ムラなく均一である方が好ましい場合には熱伝導率が高く厚手の鍋(アルミ厚鍋,多層鍋)が好ましい。
著者
石黒 初紀 阿部 加奈子 辰口 直子 蒋 麗華 久保田 紀久枝 渋川 祥子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.95-103, 2005-02-15
被引用文献数
1

一般には炭火で調理されたものがおいしいと評価されることは多いがその根拠は明らかにされていない.そこで, 伝熱量および放射の割合を同等にした数種の熱源で鶏肉を焙焼し, 官能検査, においの成分分析を行った.さらに, 試料を焙焼する熱源から発生する燃焼ガスの成分分析を行った.官能検査の結果, においと総合的評価は[炭火焼き]と[ガス網焼き]を比較すると, 有意差は認められなかったが[炭火焼き]が好まれる傾向がみられ, さらにその匂いの差は識別できるものであった.そこで, においについて機器測定を行った.その結果, エレクトロニック・ノーズによる分析結果からセンサーが測定できるにおい成分の量は[ガス直火焼き], [ガス網焼き], [ヒーター焼き]は同等であるが, [炭火焼き]は他の熱源のものより低いことがわかった.このため, 炭火加熱により生じたにおいに何らかの違いがあることが考えられた.また, GC-MSによる分析結果から, 官能検査により炭火加熱をした鶏肉の方が好まれた要因は, 香気成分組成において好ましくないにおいを持つ脂肪族アルデヒド類の割合が焼き網に比べ少なく, 香ばしい香りを有するピラジン類やピロール類の割合が多いためと考えられた.鶏肉の焙焼香の違いの原因は, 燃焼ガスにあるのではないかと考え, 燃焼ガスの測定を行った.その結果, 炭の燃焼ガスには, 焼き網よりも還元性の強い一酸化炭素や水素が多く含まれ, 酸素の含有量が少なかった.なお, この燃焼ガスの組成の違いと香気成分の生成との詳細な関連についてはさらなる検討が必要である.
著者
石黒 初紀 阿部 加奈子 辰口 直子 蒋 麗華 久保田 紀久枝 渋川 祥子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.95-103, 2005

一般には炭火で調理されたものがおいしいと評価されることは多いがその根拠は明らかにされていない.そこで, 伝熱量および放射の割合を同等にした数種の熱源で鶏肉を焙焼し, 官能検査, においの成分分析を行った.さらに, 試料を焙焼する熱源から発生する燃焼ガスの成分分析を行った.官能検査の結果, においと総合的評価は[炭火焼き]と[ガス網焼き]を比較すると, 有意差は認められなかったが[炭火焼き]が好まれる傾向がみられ, さらにその匂いの差は識別できるものであった.そこで, においについて機器測定を行った.<BR>その結果, エレクトロニック・ノーズによる分析結果からセンサーが測定できるにおい成分の量は[ガス直火焼き], [ガス網焼き], [ヒーター焼き]は同等であるが, [炭火焼き]は他の熱源のものより低いことがわかった.このため, 炭火加熱により生じたにおいに何らかの違いがあることが考えられた.また, GCMSによる分析結果から, 官能検査により炭火加熱をした鶏肉の方が好まれた要因は, 香気成分組成において好ましくないにおいを持つ脂肪族アルデヒド類の割合が焼き網に比べ少なく, 香ばしい香りを有するピラジン類やピロール類の割合が多いためと考えられた.<BR>鶏肉の焙焼香の違いの原因は, 燃焼ガスにあるのではないかと考え, 燃焼ガスの測定を行った.その結果, 炭の燃焼ガスには, 焼き網よりも還元性の強い一酸化炭素や水素が多く含まれ, 酸素の含有量が少なかった.<BR>なお, この燃焼ガスの組成の違いと香気成分の生成との詳細な関連についてはさらなる検討が必要である.
著者
辰口 直子 大 雅世
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

<目的>温泉卵を作る際の加熱温度は、一般に65~70℃といわれている。本研究では加熱到達温度と時間経過が凝固状態に与える影響を明らかにし、好みの温泉卵を作る加熱条件を明らかにすることを目的とした。到達温度65℃、68℃、70℃における凝固状態を確認し、その温度をそのまま保った場合の経時変化を測定した。<br /><br /><方法>恒温槽を用い、水温65℃、68℃、70℃に設定し、卵をいれて中心が設定温度になるまで加熱し、その後所定の時間保持した。卵は市販の物を購入して用いた。水温、卵中心温度は熱電対で測定した。加熱後の卵を割卵し、形状(長径、短径等の大きさ)と、TEXTURE PROFILE UNIT卓上型物性測定器(YAMADEN TPU-2S)を用いテクスチャー(破断強度、凝集性、付着性)を測定した。<br /><br /><結果>所定の温度に達した時点の凝固状態を確認した。この温度に一定時間保持した場合の変化は、卵白の凝固は65℃では変化はないが、68℃、70℃では時間経過によって、卵白では水溶状態の減少傾向がみられた。卵黄は65℃、68℃では保持時間が長くなると形状が変化し、高さが増す傾向にあったが、70℃では大きな差はみられなかった。到達温度と各温度での保持時間での、卵白と卵黄の凝固状態が明らかになったので、これらの結果を利用して好みの成績を得るための操作の指標のためのデータが得られた。