著者
浅野 智子 土肥 真人 野嶋 政和
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.257-260, 1996-03-29
参考文献数
5
被引用文献数
1

1995年1月17日の阪神・淡路大震災により,阪神淡路地域の住民は大きな被害を被った。本稿では,まず被災地における街-コミュニティーの再生への取り組み事例として,神戸市須磨区須磨浦通6丁目を取り上げ,同年4月から9月にかけて行われた住民集会の経過を概観する。そして被災地復興への問題と可能性を考察する。本研究の結果,4回の住民集会により,須磨浦通6丁目の住民が抱えている諸問題が具体的に把握されたこと,当地区の住民が震災からの街-コミュニティーの再生に,主体的に取り組む姿勢を有していること,そして一方で住民の主体的な取り組みを支えるための各種制度の整備,適用が未だ不十分であることが明らかになった。
著者
朝倉 真一 野嶋 政和
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.235-240, 1998-10-25 (Released:2018-04-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

The purpose of this paper is to examine the spatial structure of the monthly market held on the precincts of Kitano-Tenmangu in Kyoto City by the design survey and the research of the human behavior. As a results of this analysis, it could conclude as follows; (1) This market consists of eight zones, and these zones are more divided to four religious zones and four living-goods zones. (2) It has the religious axis made by the sequence of this stands with the three-dimensional forms, and is connected to the surrounding spaces by the two plaza-type zones. (3) As the spatial structure of his market is made by the combinations of the forms and the arrangements of the stands and the varieties of goods, it is considerable that there are techniques making the space adapted to the environment and the needs of the users without professional designer.
著者
野嶋 政和 吉田 鐡也
出版者
京都大学農学部附属演習林
雑誌
京都大学農学部演習林報告 (ISSN:0368511X)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.298-309, 1993-12-24

郊外住宅地の形成に思想的に連なる「田園都市論」は当初内務省地方局を中心に受容された。「田園都市論」は地方改良運動との関係で受容されたのであるが, それは明確な目的意識の下で受容されたのではなかった。しかし, 当時の社会状況に対応しようとする感化救済事業と接合されることを通して, 「田園都市論」は積極的な意義を与えられることになった。感化救済事業では, 従来は住宅に関する問題は救貧・防貧対策として考えられていたのだが, 資本主義の生産関係における労働力再生産過程を支える機能空間として「住」に関わる空間が理解されるようになったのである。また, この空間は国民統合というもうひとつの課題を実現するための「社会」を創出していく空間としても機能することを求められるに至った。「田園都市論」は, 分節化されかつ統合された社会関係を支え, 発展させていく空間論へと展開された。
著者
野嶋 政和 吉田 鐡也
出版者
京都大学農学部附属演習林
雑誌
京都大学農学部演習林報告 = BULLETIN OF THE KYOTO UNIVERSITY FORESTS (ISSN:0368511X)
巻号頁・発行日
no.65, pp.298-309, 1993-12-24

郊外住宅地の形成に思想的に連なる「田園都市論」は当初内務省地方局を中心に受容された。「田園都市論」は地方改良運動との関係で受容されたのであるが, それは明確な目的意識の下で受容されたのではなかった。しかし, 当時の社会状況に対応しようとする感化救済事業と接合されることを通して, 「田園都市論」は積極的な意義を与えられることになった。感化救済事業では, 従来は住宅に関する問題は救貧・防貧対策として考えられていたのだが, 資本主義の生産関係における労働力再生産過程を支える機能空間として「住」に関わる空間が理解されるようになったのである。また, この空間は国民統合というもうひとつの課題を実現するための「社会」を創出していく空間としても機能することを求められるに至った。「田園都市論」は, 分節化されかつ統合された社会関係を支え, 発展させていく空間論へと展開された。
著者
朝倉 真一 永橋 為介 野嶋 政和
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.103-108, 2001-10-25 (Released:2017-12-01)
参考文献数
65

The purpose of this paper is to figure out historically and theoretically the character of public retail and wholesale center in around the 1920s in Kyoto by focusing on the context of modern commercial and distributive policy change and the context of modern city management and planning. It could be concluded as follows; (1)Public retail was set first as the one of social work programs for the poor in down town, but the character was getting pilot of a good modern retail, and was set strategically around developing suburb in Kyoto. (2)Particularly, after wholesale center was set in 1927, not only public retail but also private retail and wholesale places were all organized and governed in modern hierarchical system of both modern commercial and distributive policy and city management. (3)This change of commercial and distributive policy was related to and supported by the modern city management policy and new city planning in Kyoto.
著者
朝倉 真一 野嶋 政和
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.789-794, 2003 (Released:2003-09-24)
参考文献数
15
被引用文献数
5 6

The purpose of this paper is to figure out the characteristics and subjects in the Flea-Markets for the community revitalization on the precincts in Kyoto City, through the research for the recognition of the constituents (the administrators, the managers, the stall keepers, the visitors) about the three Flea-Markets. As the results of this analysis, it could conclude as follows. (1) In the Flea-Market, the stall keepers and the visitors share the meanings of the Flea-Market as the place for the communications and the recreations, and (2) the stalls of the amateurs play the important roles to make this characteristic. (3) It is needed for keeping these characteristics to accept the many kinds of the stalls, not like as the conventional stalls organization. And (4) it is needed for the management of the Flea-Market and making the varieties of the goods in the Flea-Market to make use of the network of the stall keepers across the communities, to make use of the resources of the community.
著者
朝倉 真一 野嶋 政和
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録 平成15年度日本造園学会全国大会
巻号頁・発行日
pp.59, 2003 (Released:2003-09-01)

本論は、地域コミュニティ活性化を目的としたフリーマーケットについて、京都市内の3つの事例を挙げ、構成主体(空間管理者・主催者・出店者・利用者)の認識を通じてその特性を明らかにし、今後の課題を検討した。その結果、出店者・利用者はフリーマーケットのコミュニケーション・レクリエーションの場としての意味を共有する関係にあり、その中で一般市民・素人の出店が重要な役割を担っていること、そしてこうした特性を支えるためには、既存の露店組合等による管理とは異なる幅広い出店者層の受入れと、管理運営や出店者構成における地域横断的な出店者ネットワークの活用、地域組織等の地域資源の活用が重要であることが明らかになった。
著者
野嶋 政和
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.439-444, 1998-03-30
参考文献数
48

本稿では, 露伴を代表とする都市空間についての秩序認識と理想像についての包括的な言説群の歴史的背景を探る-環として, 公共オープンスペースの秩序形成を対象とし, 都市空間の変容を構造的に把握することを通じて, オープンスペースとしての道路における秩序形成のあり方を考察する。具体的には, 近代都市空間における交通・防災・衛生・美観などの道路の諸機能に抵触する諸行為の排除のプロセスを, 長屋・裏長屋=「スラム」の住民の代表的な職業であり, 道路などのオープンスペースを生業の空間としていた大道芸と「雑業」への取締を対象として明らかにすることを課題とする。