著者
増田 賢嗣 奥 宏海 野村 和晴 照屋 和久 田中 秀樹
出版者
水産総合研究センター
巻号頁・発行日
no.2, pp.99-104, 2010 (Released:2011-07-26)

サメ卵主体液状飼料の開発と改良はシラスウナギまでの飼育を可能とし、研究の焦点はシラスウナギの大量生産法の確立に移っている。そのためには、大量生産への応用が困難な現行の給餌法を改良する必要があり、特に中層で給餌できる方法の開発が求められている。飼料が飼育水全体に拡散したコロイド型飼料はこの要請に応えられる可能性がある。本研究では、コロイド型飼料のモデルである海水希釈牛乳で満たされた水槽中では、牛乳が一定濃度以上で、十分な摂餌時間があればウナギ仔魚は摂餌でき、また一定期間生存できることを明らかにした。
著者
友田 努 黒木 洋明 岡内 正典 鴨志田 正晃 今泉 均 神保 忠雄 野村 和晴 古板 博文 田中 秀樹
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.715-721, 2015 (Released:2015-08-15)
参考文献数
25
被引用文献数
7

マリンスノーの供給源となる可能性のある餌料生物を培養し,それらの産生物質を含んだ培養水について,ふ化後 5-28 日齢ウナギ仔魚に対する給与効果を観察した。微細藻類 4 種を用いた事例では,10-28 日齢仔魚が藻体とともに増殖過程で産出される透明細胞外重合体粒子(TEP)を摂取することを確認した。一方,尾虫類を用いた事例においても,9 日齢仔魚が発生段階初期の幼生と放棄ハウスを摂取することを確認した。これにより,飼育条件下の人工仔魚が天然仔魚と同様にマリンスノーの起源物質を摂取することを追認できた。
著者
野村 和晴
出版者
独立行政法人水産総合研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、ニホンウナギにおいて2世代でクローン系統作出を可能にする雌性発生条件について検討した。ウナギ精子を遺伝的に不活性化する紫外線の照射条件は400 μW cm-2 s-1 の強度で35~75秒間(1,400~2,800 erg/mm2)だった。第二極体放出阻止は、受精後3分に、水温0℃の海水に、5~15分間浸漬という低温処理で可能だった。さらに、第一卵割阻止を可能にする高圧処理条件について検討したところ、受精後40~45分に、9,000~10,000 psiの圧力条件で、4分間という条件によりゲノムを倍加した4倍体の作出が可能であった。
著者
田中 秀樹 野村 和晴 風藤 行紀 今泉 均 増田 賢嗣
出版者
農林水産技術情報協会
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.18-22, 2011 (Released:2012-12-06)

ウナギは盛んに養殖されているが,飼育下で自然に産卵しない魚であり,その一生には多くの謎が残されている。そのため,人工的に成熟させて受精卵を得ること,ふ化後,餌を与えて育てること,長期にわたるレプトセファルスと呼ばれる幼生期を経て透明な稚魚,シラスウナギに変態させることなど,すべてが困難であった。水産総合研究センターではこれまでの研究成果を基に,2002年に世界で初めて人工的にシラスウナギを作り出すことに成功し,昨年春には人工ふ化ウナギを育てて親とし,さらに次世代を得る「完全養殖」を達成した。この技術により,天然資源に依存しないウナギの養殖が理論的には可能となり,将来はウナギの育種も期待される。