著者
増田 賢嗣 今泉 均 橋本 博 小田 憲太朗 古板 博文 松成 宏之 照屋 和久 薄 浩則
出版者
水産総合研究センター
雑誌
水産技術 (ISSN:18832253)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.7-13, 2011-10
被引用文献数
2

現在ウナギ仔魚用飼料としてはアブラツノザメ卵を主体とする飼料 (SA)が用いられている。この飼料により飼育が可能になったが,サメ卵の中でも特に本積の卵が優れていることは確認されていなかった。加えて,シラスウナギ量産に対応するためには新たな飼料原料を見出す必要がある。本研究ではイタチザメ卵主体飼料(GC)およびアイザメ卵主体飼料(CA)を調製し、 SAとの初期飼育の比較試験を行った。その結果GC区、CA区ともにふ化後21日まで生残が認められ,GC区の生残率および両試験区の終了時全長はSA区に劣ったものの、CA区の生残率はSA区に匹敵した。これにより複数のサメ卵が飼料原料として利用可能であることが明らかとなった。
著者
友田 努 黒木 洋明 岡内 正典 鴨志田 正晃 今泉 均 神保 忠雄 野村 和晴 古板 博文 田中 秀樹
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.715-721, 2015 (Released:2015-08-15)
参考文献数
25
被引用文献数
12

マリンスノーの供給源となる可能性のある餌料生物を培養し,それらの産生物質を含んだ培養水について,ふ化後 5-28 日齢ウナギ仔魚に対する給与効果を観察した。微細藻類 4 種を用いた事例では,10-28 日齢仔魚が藻体とともに増殖過程で産出される透明細胞外重合体粒子(TEP)を摂取することを確認した。一方,尾虫類を用いた事例においても,9 日齢仔魚が発生段階初期の幼生と放棄ハウスを摂取することを確認した。これにより,飼育条件下の人工仔魚が天然仔魚と同様にマリンスノーの起源物質を摂取することを追認できた。
著者
山本 剛史 松成 宏之 奥 宏海 村下 幸司 吉永 葉月 古板 博文
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.367-375, 2019

<p>ヒスチジン(His)含量の低いイワシ魚粉と His 含量の高いアジ魚粉を50%配合した飼料(FM1,FM2),FM2 の含量に合わせて FM1 に His を添加した飼料(FM1H),イワシ魚粉の配合を15%に削減して大豆タンパク質とコーングルテンに置き換えた低魚粉飼料(LFM)および FM1 と FM2 の含量に合わせて LFM に His を添加した飼料(LFMH1,LFMH2)を平均体重4.7 g のブリに45日間給餌した。最も成長の良かった FM2 区に比べ,FM1 区では若干劣り,低魚粉飼料の3 区の成長はいずれも FM1 より劣った。一方,His を FM2 のレベルに添加した FM1 と LFMH2 を与えたブリでは摂餌が増加し,成長が改善する傾向がみられた。肝臓の遊離アミノ酸組成には飼料の影響はほとんどなかったものの,普通筋では飼料中の含量を反映して His が蓄積する一方で,タウリンやほかのアミノ酸が減少した。以上の結果から,ブリ稚魚において飼料への His の添加効果は限定的であり,特に低魚粉飼料の栄養価を根本的に改善するものではないことが示された。</p>
著者
増田 賢嗣 谷田部 誉史 松成 宏之 古板 博文 鴨志田 正晃 島 康洋 桑田 博
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.131-133, 2016 (Released:2016-04-04)
参考文献数
15
被引用文献数
1 7

初めて人工シラスウナギが得られて以来,ニホンウナギ仔魚はサメ卵を主原料とする飼料でのみ給餌開始期からシラスウナギまでの安定した飼育が可能であった。サメ卵以外の飼料原料も探索されており,既に魚肉タンパク分解物(FPH)を主原料として,ニホンウナギ仔魚がわずかに成長することが報告されている。本研究では,既報の FPH を改良した飼料によりニホンウナギ仔魚を摂餌開始期から変態期以降まで飼育し,シラスウナギを得ることができた。
著者
杉田 毅 山本 剛史 古板 博文
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.191-198, 2007-06

高糖質低タンパク質飼料がマダイ稚魚の成長、見かけの消化率および肝膵臓の酵素活性に及ぼす影響を検討するため、粗糖質(CS)12%、粗タンパク質(CP)52%の飼料を対照に、CSを20および28%に増大し、CPを44および38%に削減した3試験飼料を作製し、平均体重11.4gのマダイに12週間給与した( 2水槽/飼料)。20%糖質飼料区におけるタンパク質効率およびタンパク質蓄積率は対照区より高かったが、増重率は低く、28%糖質飼料区における増重率、飼料効率、日間成長率およびタンパク質蓄積率は他区に比べて最も低かった。また、肝膵臓の糖新生酵素およびアミノ基転位酵素の活性に区間差はなく、高糖質低タンパク質飼料給与時においてもアミノ酸が糖新生の基質として積極的に活用されていることが示唆された。以上の結果から、マダイ稚魚は高糖質低タンパク質飼料を効率的に利用できないことが示された。
著者
杉田 毅 山本 剛史 古板 博文
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.191-198, 2007

高糖質低タンパク質飼料がマダイ稚魚の成長, 見かけの消化率および肝膵臓の酵素活性に及ぼす影響を検討するため, 粗糖質 (CS) 12%, 粗タンパク質 (CP) 52%の飼料を対照に, CSを20および28%に増大し, CPを44および38%に削減した3試験飼料を作製し, 平均体重11.49のマダイに12週間給与した (2水槽/飼料) 。20%糖質飼料区におけるタンパク質効率およびタンパク質蓄積率は対照区より高かったが, 増重率は低く, 28%糖質飼料区における増重率, 飼料効率, 日間成長率およびタンパク質蓄積率は他区に比べて最も低かった。また, 肝膵臓の糖新生酵素およびアミノ基転位酵素の活性に区間差はなく, 高糖質低タンパク質飼料給与時においてもアミノ酸が糖新生の基質として積極的に活用されていることが示唆された。以上の結果から, マダイ稚魚は高糖質低タンパク質飼料を効率的に利用できないことが示された。