著者
鈴木 俊洋
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.58, pp.203-218,25, 2007-04-01 (Released:2009-07-23)

The main purpose of the paper is to call philosophers' attention to expertise, a form of tacit knowledge that is essential for expert problem-solving activities in the life-world. To this end, I construct a framework showing how mathematical objects emerge from omitprosses of expert problem-solving activities. First, I will refer to the framework of the historical genesis of mathematical objects that is presented by Enrico Giusti, an Italian historian of mathematics. His framework suggests that mathematical objects emerged from processes of technical omit-skills of problem-solving by mathematicians. Then I will explain how Husserl's genetic phenomenology analyzes the genesis of geometrical objects. The framework of the genesis of mathematical objects that is presented here strongly encourages philosophical investigations into expertise in order to study the nature of mathematical objects (and of ideal objects, generally). In addition, it provides philosophers of mathematics with an alternative way of interpreting mathematical objects, and I hopeit helps phenomenologists interpret Husserl's concept of the "life-world".
著者
鈴木 俊洋
出版者
北海道大学哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:02872560)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.105-110, 2019-01-04
著者
藤原 厚作 鈴木 俊洋
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.39-46, 2023 (Released:2023-06-30)

本稿の目的は、農薬の技術(薬剤と散布方法)の発展が、農薬と農業者との間の関係性にいかなる影響を与えたかについて考察し、現代において農薬について論じるときに何を念頭におくべきかを提示することである。そのために、技術哲学の枠組みを参照しながら、農薬についての倫理の実践がどのようにあるべきかを論じた後、フィールドワークによるインタビュー調査の結果について考察する。まず、考察の枠組みを確認するために、技術哲学で提唱されている「技術に同行する倫理学」という構想を参照して、個々の使用や設計の現場における倫理の実践、いわゆる「ボトムアップ型」の倫理の実践の重要性について論じる。ボトムアップ型の倫理の実践の具体例として、1970年代後半に福岡県で起こった減農薬運動について説明する。つぎに、戦後の日本の水稲作における農薬の技術の変遷について概観し、それが、薬剤の低毒化と散布方法の省力化という二つの方向性において発展してきたことを示す。その後、かつて減農薬運動に参加していた農業者を対象として実施したフィールドワークの調査結果を検討し、農薬技術における発展が、農薬と農業者との間の関係性の希薄化という派生的影響をもたらしたことを示す。最後に、以上の知見に基づいて、現代において、我々が農薬を論じるときに何に気をつけなければならないかを考察する。
著者
金光 秀和 直江 清隆 本田 康二郎 寺本 剛 鈴木 俊洋
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、技術が新しい行為の形を生み出し、社会のあり方を大きく変える現代において、技術のあり方に反省的な眼差しを向けることのできる批判的視点を獲得することを目的とした。この研究によって、第一に、技術に対する批判的視点に関する哲学的考察を進めてその成果を発表することができた。第二に、技術の営みを記述することの哲学的な意義について考察し、また、実際に日本の職人のフィールド調査を行い、その営みを哲学的に記述して成果を学会などで発表した。第三に、福島第一原子力発電所事故に関する記述的・規範的探究を進めてその成果を公表した。第四に、技術哲学の知見を反映させた教科書の作成に参加した。