- 著者
-
鈴木 晶
- 出版者
- 法政大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2003
わが国では舞踊学がいまだ未発達であり、とくにバレエ研究は未熟で、研究者も数少ないという現状を踏まえて、まずバレエ史研究に関する基本文献の収集と整理、改題の作成をしたほか、バレリーナの伝記的研究という視点から20世紀バレエ史を追い、論文にまとめた(これは現在も継続中で、2007年には単行本で出版の予定)。アジアにおける西洋舞踊史に関連しては、まず韓国国立芸術総合学校で聞き取り調査し、韓国では世界でも珍しく大学でのバレエ教育に力を入れていることがわかった。次いで上海市舞踏学校を見学し、聞き取り調査した結果、中国のバレエがロシアの影響下で発達したこと(ワガノワ・メソッドにもとづいている)と、フランスやロシアと同様、全寮制による8〜9年間の一貫教育がおこなわれていることがわかった。日本における西洋舞踊史に関しては大正時代の新聞雑誌資料を収集し、現在これのデータベース化をすすめている。日本に洋舞が紹介されてから100年間に、洋舞と邦舞がどのように相互に影響を与え合ってきたかをみるため、その融合の一例として、高知市のよさこい祭、札幌市のよさこいソーラン祭などの「よさこい型祭」を調査し、これにポストモダン社会をめぐる哲学的な考察を加え、ポルトガルでの国際部用学会で口頭発表し、さらにその内容を手直しして、台北での国際部用学会で口頭発表した。この発表には、かのスーザン・レイ・フォスターに出席してもらうことができた。また、日本においてはダンス・セラピーの領域においても、洋舞系と邦舞系があることに着目し、芙二三枝子のダンス・セラピーと高沢流のリハ舞を取り上げ、その特徴を抽出し、韓国のAPPAN研究大会で口頭発表した。