著者
吉田 敦彦 永田 佳之 今井 重孝 西村 拓生 西平 直 森岡 次郎 藤根 雅之
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

日本のオルタナティブ学校に関する事例研究と原理的考察を通して、公教育とオルタナティブ教育とが連携する意義と可能性を明らかにした。1)多義的な「オルタナティブ」概念および「多様性と公共性」をめぐる議論を分析したうえで、学校教育法と並立するオルタナティブな教育機会確保法の意義を明らかにした。2)オルタナティブ教育実践の質を保証する先行事例として、相互認証、教員研修、公民連携等の役割を担う中間支援組織の試み、および台湾の「実験教育三法」の動向を検証した。3)公教育学校とオルタナティブ学校が連携したサステイナブルスクール・プロジェクトに参画し、ホールスクールアプローチによる実践・評価モデルを開発した。
著者
西平 直
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.473-484, 2019 (Released:2020-06-12)
参考文献数
41

「修養」は翻訳語ではない。しかし江戸期から一貫して使われてきた言葉でもない。明治期の修養論だけ見ているとその「厚み」が見えない。本稿は江戸期と明治期を共時的に構造化する。加えて、欧米語の翻訳、とりわけcultivationに注目し、その周辺領域を検討する。論点は、1)政治との関連、2)道徳との関連、3)養生との差異、4)修行との差異、5)稽古との差異。「非」近代の営みを近代教育のカテゴリーに回収しないための手掛かりを翻訳の「ズレ」に見る。翻訳の中で理解される日本特有の教育的伝統を見る試みである。
著者
西平 直
出版者
教育思想史学会
雑誌
近代教育フォーラム (ISSN:09196560)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.63-72, 2008-09-12 (Released:2017-08-10)

教育における精神分析の影響。その問題を学説史に即して考察した論考(下司論文)を手掛かりに、まず、精神分析の「科学化」を媒介とした教育との接続を確認し、次に、フロイト精神分析に遡って「科学化される以前」の姿を確認し、そこから何が変質したのか、その転換を確認する。その上で、こうした問いの立て方とはまったく別に、フロイト精神分析それ自身のうちに「教育学的含意」を探る可能性に言及し、その作業は「教育」概念そのものを新たに規定する作業とワンセットになっていることを論じた。同時に、そうした考察を通して、「精神分析の影響」という問いの立て方が、罠にもなれば、議論を活性化する起爆剤ともなることを示した。
著者
西平 直
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.84, pp.19-37, 2001-11-10 (Released:2010-05-07)
参考文献数
32

The so-called Postmodern philosophy is the philosophy of de-construction wherein the ontological basis of the modern human sciences has been destroyed. We have to look for a new perspective of Life Cycle. This paper tries to find a new framework from Eastern philosophy. Eastern philosophy is a philosophy of de-construction, but it is a philosophy of re-construction as well. The category of “Eastern philosophy” in this paper is strictly limited to the wording of Toshihiko lzutsu. In a word, this paper intends to re-construct the way we perceive child development from the perspective of Eastern philosophy as structured by lzutsu.In order to simplify my discussion, I made a chart which illustrates three processes;Process A is the way to construction, or the way of child development, in which he/she establishes the ego, acquires the language, and makes boundaries through the grid of language. (Izutsu called this grid “semantic articulation”).Process B is the way to de-construction, or “Oh-so (往相) in Buddhism. This is the way in which one leaves from the ego, loses boundaries through dissolving the grid of language, and becomes more subtle and fluid.Process C is the way to re-construction, or” Gen-so (還相) in Buddhism. This is the way in which one returns to the world of ordinary consciousness, but in “a double perception”. Through this process individual phenomenal beings are recovered. But those who have once experienced the state of no-boundary are so radically transformed that they never forget a viewpoint of no-boundary. In this sense, the perspective of Eastern philosophers can be called 'a double perception'.Eastern philosophers (the sages who have once experienced “Non-Being” and came back to the ordinary consciousness) open for us a possibility to see children in two different dimensions, i.e., as those determined by our ordinary boundaries, and as those completely free from all boundaries. What kind of image of children do Eastern philosophers suggest to us in their 'double perception'? What do they teach us about the different phases of child development which we cannot recognize within our ordinary 'single perception'? This is the starting point to read anew Eastern philosophers' texts from the viewpoint of child development or Life Cycle.
著者
西平直喜編
出版者
大日本図書
巻号頁・発行日
1970
著者
渡辺 将尚 西平 直史
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.13(205)-22(214), 2004-02-16

We developed a computer aided instruction (CAI)system that can show how much the students understand. We made out the effect of this system by the experiment with 12 students. At first, they answered 5 questions about the German definite articles that we had prepared on a Web page in advance. They sent their answers via Internet to the server and the teacher obtained them from the server. If they had some questions, they were able to send them with the answers. We confirmed that this system has the following 3 advantages :1. We can grasp in every question, how many students understand the question. 2. We can make the explanation more efficient, because we can also know, which mistakes the students make. The teachers can spare more time to explain the points which the students do not understand. 3. The students can ask questions more easily than before, since they need to make themselves know neither to the teacher nor the other students.
著者
西平 直
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.395-405, 1999-12

本論は、「精神世界」という知の枠組み(日本におけるニューエイジ潮流)を検討したものである。1980年代以来、この潮流は、物質中心主義の既成の学問体系(アカデミズム)に対する代案として、成立してきた。 この潮流をオカルト主義とだけ理解してはならない。むしろ、それは、地球の危機と近代文明の限界を痛感した人々によって,自然発生的に求められた新たな世界観(コスモロジー)であり、その特徴は、エコロジカル・ホリスティック・コスモロジカル・トランスパーソナル・スピリチュアルといった形容詞によって示される。アカデミズムは、こうした大衆的潮流といかに関わるべきなのであろうか。 まず、三つの鍵概念が検討される。1「こころ」心理学的、精神的、宗教的な領域の複合態。2「からだ」物質としての肉体ではなく、私たちがそれとして生きている身体。3「いのち」個人の生命ではなく、むしろ、生きとし生けるものの命であり、地球生命体の命である。こうした鍵概念は、近代の物質中心主義的還元主義に対する代案としての意味を持っている。 続いて、二つの理論が検討される。1ホリスッティック教育。2トランスパーソナル心理学。どちらも、既成のアカデミズムと対話の可能性を秘めた理論である。 こうした考察の後、本論は、この潮流の問題点を以下のように捉えた。1、この潮流は今後とも拡大し続け、とりわけ、環境問題に心を痛め、近代科学に限界を感じる人々によって支持されるであろう。2、しかし、そのロマン主義的傾向から、この潮流は大衆受けするエンタテインメントに成り下がる危険性を持つ。3、それを避けるためには、既成のアカデミズムとの対話が必要である。4、アカデミズムの側からの共感的かつ批判的な対応が求められている。それは、単にサブカルチャーであるこの潮流のためではなく、アカデミズムが脱近代社会における人々の必要と結びつくためにも、大切なことである。
著者
鈴木 明宏 西平 直史 高橋 広雅 小川 一仁
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では携帯電話を用いた簡易経済実験システム「Easy Economic Experiment System (E3)」を開発した。また、E3を用いた教育実験を講義に取り入れたときの教育効果の検証、及びE3を利用した経済実験と伝統的に行われてきた紙実験との実験結果の比較を行った。分析の結果、教育効果については教育実験に参加あるいは見学した学生の方が小テストの成績が通常形式の講義のみよりも有意に高いことが示された。また、E3を用いても紙を用いた経済実験と同様の実験結果が得られることが示された。