著者
鈴木 滋夫 武田 鉄郎 金子 健
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.39-48, 2008
被引用文献数
1 3

本調査の目的は、特別支援学校<病弱>におけるLD・ADHD等で適応障害のある生徒の実態把握および実際の支援の状況を調査することであり、全特別支援学校<病弱>94校に在籍するLD・ADHD等で適応障害のある生徒を対象とした。特別支援学校<病弱>の60.5%にLD・ADHD等(もしくはその疑いがある)で適応障害のある生徒が在籍し、生徒数の11.4%が該当の生徒であった。3年間でほぼ倍増している。彼らは多くの困難を抱えて転入してくる(前籍校では、85.7%が登校状況に問題あり等)が、特別支援学校におけるさまざまな支援を通して、改善の状況(担任の85.5%が「かなり改善」「一部改善」と回答)にあることが明らかになった。しかし、進路指導については、制度上の問題も含め、多くの課題を抱えている。これら調査結果をふまえ、在籍状況、生徒の実態、指導上の困難とその支援、進路指導の視点から考察を行った。
著者
池谷 守司 岩澤 敏幸 鈴木 滋
出版者
静岡県中小家畜試験場
雑誌
静岡県中小家畜試験場研究報告 (ISSN:09146520)
巻号頁・発行日
no.16, pp.43-47, 2005-12
被引用文献数
1

ブタ未成熟卵母細胞はTCM-199中で卵核胞期の状態で保存可能であるが、本研究では保存した卵母細胞をレシピエントとした核移植を行い、活性化時間および胚盤胞までの発生率について調査した。と畜場由来ブタ卵巣から採取した未成熟卵母細胞は、20mMHepesおよび10%ウシ胎子血清添加Hanks塩TCM-199にて37℃、空気中で24~28時間保存培養後、NCSU37にて体外成熟培養を37~41時間行った(保存区)。保存培養せずに成熟培養したものを対照区とした。除核および体細胞核の移植は既報に準じ、デュロック種と金華豚の交雑種由来およびGFP遺伝子を導入した金華豚の細胞核を、ピエゾマイクロマニュピュレーターを用いて体外成熟卵子細胞質内に直接移植した。活性化処理は成熟培養開始から48(48時間区)または52時間(52時間区)後に行い、0.3%PVA添加PZMで110時間培養後の発生について観察後、借り腹豚に外科的移植を行った。桑実胚~胚盤胞への発生率は、保存区と対照区の両区で活性化時間による差は認められなかったが、DJ由来の核移植卵子では、48時間区で、保存区が、対照区より有意に高い発生率が得られた。産子は、対照区では、48時間区で1頭、保存区では、48時間区で1頭、52時間区で3頭得られた。TCM-199で一時的に保存したブタ卵母細胞をレシピエントとした核移植により、桑実~胚盤胞期肢を作出可能であることが明らかとなった。
著者
坂本 尚史 鈴木 滋 立松 英信 大塚 良平
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.164-171, 1980-05-05 (Released:2008-08-07)
参考文献数
6
被引用文献数
1 3

青函トンネルの先進導坑,北海道方約5000mの地点において,新第三紀訓縫層中の断層を埋めて産する茶褐色の鱗片状鉱物がサンコーコンサルタント,伊藤昌史氏により発見された。この試料は,早稲田大学鞠子正教授を経て筆者らに提供され,その後の室内研究により我国での3番目の産出である鉄セピオライトであることが明らかにされた。 化学分析値から計算された脱水相の単位胞の1/2構造式は以下の通りである。 (Si11.49Ti0.03Al0.38Fe3+0.10)12.00(Fe3+1.25Fe2+0.26Mn0.02Mg6.00)7.53O32・Ca0.03Na0.05K0.04 一方,FeをすべてFe2+であるとしてO30(OH)4をもとにして構造式を計算すると (Si11.74Ti0.03Al0.23)12.00(Al0.16Fe2+1.65Mn0.02Mg6.13)7.96O30(OH)4・Ca0.03Na0.05K0.04 となり,理想式によく一致する,従って,この鉄セピオライト中のFeは当初Fe2+として形成され,その後酸化されたものと考えられた。 この論文では,このほかに,X線回折データ,熱分析データ等の鉱物学的データが示されている。
著者
池田 潔彦 山田 雅章 鈴木 滋彦 鍋田 孝
出版者
静岡県林業技術センター
雑誌
静岡県林業技術センター研究報告 = Bulletin of the Shizuoka Prefecture Forestry Technology Center (ISSN:09162895)
巻号頁・発行日
no.32, pp.29-35, 2004-03

静岡県産のスギ中日材や大径材と南アフリカ産グランディスの丸太より単板切削を行い,高分子イソシアネート樹脂接着剤を用いた単板積層接着により,28mm厚3タイプと9mm厚2タイプの化粧性を重視した構造用合板を製造した。全タイプについて構造用合板JASの2級曲げ試験と同1級曲げ試験を行い,28mm厚タイプは釘1面せん断試験,床組の面内せん断試験を行った。曲げ試験等の結果から,28mm厚の全層スギ合板では,JAS2級のヤング係数基準値を下回る個体が見られ,ヤング係数の大きな丸太を一定量合板原料に加える,表裏層の単板厚を大きくする,第2層の単板方向を表層と同一方向にするなど,原料面や製造面での対応が必要と思われた。一方,表裏単板と心板にグランディス,添え心板にスギ単板を用いた同厚のタイプはJAS1級の曲げ性能基準値を満たす製品製造が可能と考えられた。合板製造ロット内における変動係数は,ヤング係数が5~15%,密度が3~4%であった。また,スギを原料とした28mm厚合板の釘接合性能や水平構面のせん断性能は,木造住宅の剛床組等に用いる構造用面材として十分な性能を有していると思われた。
著者
越川 兼行 安田 雅晴 後藤 大輔 鈴木 滋雄 石川 誠治
出版者
岐阜県農業技術センター
雑誌
岐阜県農業技術センター研究報告 (ISSN:18829104)
巻号頁・発行日
no.7, pp.23-29, 2007-03

岐阜県における夏秋イチゴは、奥美濃及び飛騨の冬期に豪雪で知られる地域で栽培されている。土耕栽培は作業がつらく、高設ベンチ導入の希望があるが、雪害によって高設ベンチが倒壊することが予想される。そこで、高設ベンチ「岐阜県方式」を改良した可搬式高設ベンチを開発し、郡上市高鷲町(標高600m)の現地で栽培試験を行った。長さ2mを栽培槽の1ユニットとして連続して設置し、栽培槽を支える水平直管をS字フックで支柱と簡便に着脱できるようにした。冬期には垂直な支柱のみとなる。1ユニットの重量は培地無しの状態で5kg、栽培状態では約25kgである。培地はヤシ殻単体で株当たり培地量は1リットルである。EC濃度は0.5~0.6dS/m程度、給液回数は4~6回/日、排液率が20~40%となるよう管理する。培地温は夏期でも20℃を下回ることもあり、土耕栽培の最低地温の23℃より低くイチゴの根の生育適温に近く経過し、17年度の収量は2,880kg/10aとであった。
著者
鈴木 滋 西戸 裕嗣 大塚 良平
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.238-247, 1976
被引用文献数
1

東京都小笠原父島北東海岸の初寝浦付近には,無人岩の枕状溶岩が広く分布している。筆者らの一人(西戸)はその空隙をうめて,キフッ石,モウフッ石,カイジュウジフッ石などのフヅ石および緑色粘土を伴なって産する淡褐色の粘土を見い出した。その後の室内研究により,この粘土は加水タルクを主とし,極く少量中の不透明鉱物を伴なうことが明らかにされた。その粘土の化学分析の結果から, 22の陽電荷をもとにして求めた構造式は以下の通りである。<br> (Mg<sub>2.87</sub>Mn<sub>0.02</sub><sup>2+</sup>Fe<sub>0.09</sub><sup>3+</sup>)(Si<sub>3.95</sub>Al<sub>0.01</sub>)0<sub>10</sub>(OH)<sub>2</sub>・Ca<sub>0.03</sub>・Na<sub>0.05</sub>・K<sub>0.01</sub>・<sub>n</sub>H<sub>2</sub>O.<br> この論文では,このほかにその陽イオン交換能および交換性イオン, X線回折データ,熱分析データ,赤外吸収スペクトル,電子顕微鏡像が示されている。