著者
尾形 優 金子 健太郎 後藤 慶太 河野 かおり 山本 真千子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.227-234, 2017-01-20 (Released:2017-02-07)
参考文献数
26

冷え症において, 冷え症群と非冷え症群とを循環動態指標および自律神経活動指標を用いて比較し, 冷え症の生理学的メカニズムを明らかにすることを目的とした. 対象は若年健常女性20名 (冷え症群12名, 非冷え症群8名) とし, 晩秋 ・ 冬季に測定を実施した. 生理学的指標として, 心拍数 ・ 血圧 ・ 末梢皮膚温 ・ 末梢血流量 ・ 鼓膜温 ・ サーモグラフィ ・ 四肢血圧脈波を用いた. 自律神経活動指標は, 心拍変動を用いて周波数解析を行い, 副交感神経活動指標と交感神経活動指標を求めた. データの分析は両群間を指標ごとに比較 ・ 検討し, 加えて各群における鼓膜温と各末梢皮膚温との差を両群間で比較した. その結果, 冷え症群は非冷え症群にくらべて副交感神経活動指標が低値で, 交感神経活動指標が高値であった. 末梢循環においては, 冷え症群の血流量低下と皮膚温低下も明らかであった. よって, 冷え症者は安静時の副交感神経活動が小さく, 交感神経活動の緊張により安静時すでに末梢の循環機能低下が起きていることを明らかにした.
著者
金子 健彦
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.151, no.3, pp.117-121, 2018 (Released:2018-03-10)
参考文献数
6

サンバイオ株式会社は現在,再生細胞薬SB623の開発を行っている.このSB623には神経栄養因子や成長因子を分泌する働きがあり,脳の虚血や外傷等による損傷後の神経修復に寄与できると考えられる.SB623の安全性および有効性を評価するため,18例の慢性期脳梗塞患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱa相臨床試験を米国にて実施した.移植1年後までの効果を評価したところ,European Stroke Scale,National Institute of Health Stroke Scale,Fugl-Meyer Assessmentのいずれにおいても有意な機能改善が認められた.安全性においても,SB623に起因する副作用や重篤な有害事象は認められなかった.これらの結果から,SB623は慢性期脳梗塞に対し,安全かつ有効であることが示唆された.現在は米国および日本で臨床試験を実施しており,特に日本では再生医療等製品に対する新たな枠組みの中で,いち早く患者様に届けられるよう,臨床開発を加速させている.
著者
金子 健太郎 進藤 斉 佐藤 和夫 高橋 康次郎
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.7, pp.539-549, 2013 (Released:2018-01-15)
参考文献数
25
被引用文献数
1

不飽和脂肪酸の水和化能の高い乳酸菌を用いて,焼酎もろみ中でγ-ラクトン類を生成させるための諸条件を検討した。1.水和化能の高い乳酸菌をどぶろくから分離し,その中から能力の高い乳酸菌26-a株,26-d株及び41-d株 の3株を分離した。同定の結果,26-a株及び26-d株はLb.brevisと同定されたが,41-d株は同定に至らなかった。2.焼酎もろみでの不飽和脂肪酸の供給源として麹エキスや酵母の自己消化物,90%精白米よりは玄米が好ましいことがわかった。3.玄米を掛け原料として黒麹(90%精白)を用いた焼酎仕込条件を検討した結果,酵母は,清酒酵母K701より焼酎酵母SH4,泡盛酵母AW101が優れていた。また,乳酸菌の添加時期は2次仕込の1日目に,添加菌数は106cfu/mlが好ましかった。4.この条件で仕込んだ焼酎には0.070~0.15ppmのγ-nonalactone,0.16~0.35ppmのγ-dodecalactoneが生成された。また,乳酸菌26-d株のみに0.09~0.12ppmのγ-decalactoneが検出された。5.官能評価では,対照に比べ乳酸菌を添加して醸造した焼酎は,γ-ラクトン類の香りが高く味が濃いというコメントが見られた。また,低沸点香気成分の量が多いこと等から,香りの評価がいずれも高く,また,味及び総合評価でも26-d株及び41-d株で醸造した焼酎が対照よりもかなり良い結果であった。
著者
金子健二 訳
出版者
宝文館
巻号頁・発行日
1928
著者
金子 健太郎 尾形 優 熊谷 英樹 山本 真千子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.4-11, 2012-08-20 (Released:2016-07-08)
参考文献数
9
被引用文献数
3

蒸しタオルによる足部への温罨法 (以下,蒸しタオル法とする) の生理学的効果と,既報の足浴による効果とを比較した.若年健常男子 19名 (平均年齢 21.3 ± 3.4歳) を対象に,心拍数と血圧,体表温 ・ 皮膚血流量,心拍変動 (heart rate variability :HRV),圧受容器反射感受性 (baro-reflex sensitivity : BRS) 指標を測定した.蒸しタオル法は,安静臥床位 15分後に,加温 ・ 加湿したフェイスタオルを両足にそれぞれ4枚で 15分間被覆する方法で実施した.各測定値の観察は,蒸しタオル法前から蒸しタオル法後 30分間まで連続して行った.その結果,蒸しタオル法は,全身循環に負荷をかけることなく,末梢循環を促進,維持させ,自律神経活動では,交感神経活動を賦活化させることなく,副交感神経活動を亢進させることが確認できた.また,蒸しタオル法と足浴法を比較した結果,ほとんどのパラメーター間で統計学的に有意差は認められなかった.したがって,蒸しタオル法は少なくとも今回の方法に従えば,足浴に代わる方法として用いることが可能であると考えられた.
著者
金子 健太郎 熊谷 英樹 尾形 優 竹本 由香里 山本 真千子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.35-41, 2009-12-05 (Released:2016-08-25)
参考文献数
14
被引用文献数
7

若年健常男子 19名 (平均年齢 21.3±3.4歳) を対象に,心拍数と血圧,体表温 ・ 皮膚血流量,心拍変動 (heart rate variability : HRV),圧受容器反射感受性 (baro -reflex sensitivity : BRS) を用い,仰臥位による足浴の生理学的効果を検討した.HRVから低周波成分 (low frequency : LF) と高周波成分 (high frequency : HF) を算出し,副交感神経活動指標を HF,交感神経活動指標を LF/HFとした.足浴 (湯温40℃,15分) は安静仰臥位 15分後に実施し,足浴前から足浴後 30分間 (足浴後 0~ 15分 : 足浴後 1,足浴後 15~ 30分 : 足浴後 2) 連続して測定値の観察を行った.足浴前と比べた結果を以下に示す.心拍数は足浴後1,2で有意に減少した.血圧は,収縮期血圧,拡張期血圧ともに足浴後 2において有意に減少した.HFは足浴後 1,2で有意に増加した.LF/HFは足浴中で有意に増加した.BRSは足浴後 1で有意に増加した.足部,胸部体表温と足部皮膚血流量は,足浴中から足浴後1,2にかけて有意に増加した状態を維持した.足浴は全身循環に大きな負担をかけることなく,かつ末梢循環を促進,維持させ,自律神経活動に関しては,足浴後に副交感神経活動を賦活化させ,交感神経活動を抑制することが確認された.
著者
伊原 奈帆 瀧野 陽子 大岸 美和子 竹内 麻理 阿部 晃子 金子 健 櫻井 洋臣 藤田 幸子 長田 大雅 橋口 さおり 森﨑 浩
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.301-306, 2021 (Released:2021-11-24)
参考文献数
20

【緒言】呼吸困難に対するフェンタニルの有効性はモルヒネに比してエビデンスが乏しく確立されていない.COVID-19肺炎の呼吸困難に対し,高用量静注フェンタニルから低用量静注モルヒネ投与へのスイッチングが有効であった症例を報告する.【症例】85歳男性.COVID-19肺炎のため気管挿管,人工呼吸管理となり,疼痛緩和のためフェンタニル持続投与が開始された.呼吸困難の訴えが顕著となりフェンタニルを増量したが,効果不十分なため緩和ケアチームが介入し,フェンタニル2400 µg/日からモルヒネ76.8 mg/日に変更したところ呼吸困難は消失した.一方,呼吸抑制が顕著となりモルヒネを10 mg/日まで漸減し,呼吸抑制は改善し呼吸困難も認めなかった.【考察】フェンタニルよりも低用量のモルヒネで呼吸困難を緩和できたのは,フェンタニルの耐性形成や呼吸困難緩和に対するモルヒネの優位性が一因と考えられる.
著者
米田 佳弘 藤田 種美 中原 紘之 金子 健司 豊原 哲彦
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.45-54, 2008 (Released:2008-01-23)
参考文献数
27
被引用文献数
2

大阪湾の人工護岸上の高密度にウニ類が生息している藻場において,3 年間にわたりウニ類の密度を人為的に調節した実験区で海藻群落の年間生産量を推定した。ウニ類の現存量が大きくなるほど海藻の全生産量も大きくなり,現在のウニ生息量の約 2 倍(2000 g 湿重/m2,60 個体/m2)でも海藻群落は維持された。このことから,大阪湾の人工護岸上の藻場では,ウニ類の摂食圧が増大すると海藻の生産量も同時に増大し,磯焼けとはならずに,海藻群落を維持しながらウニ類が高密度で共存できることが明らかとなった。
著者
鈴木 滋夫 武田 鉄郎 金子 健
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.39-48, 2008
被引用文献数
1 3

本調査の目的は、特別支援学校<病弱>におけるLD・ADHD等で適応障害のある生徒の実態把握および実際の支援の状況を調査することであり、全特別支援学校<病弱>94校に在籍するLD・ADHD等で適応障害のある生徒を対象とした。特別支援学校<病弱>の60.5%にLD・ADHD等(もしくはその疑いがある)で適応障害のある生徒が在籍し、生徒数の11.4%が該当の生徒であった。3年間でほぼ倍増している。彼らは多くの困難を抱えて転入してくる(前籍校では、85.7%が登校状況に問題あり等)が、特別支援学校におけるさまざまな支援を通して、改善の状況(担任の85.5%が「かなり改善」「一部改善」と回答)にあることが明らかになった。しかし、進路指導については、制度上の問題も含め、多くの課題を抱えている。これら調査結果をふまえ、在籍状況、生徒の実態、指導上の困難とその支援、進路指導の視点から考察を行った。
著者
金子 健二 金広 文男 森澤 光晴 三浦 郁奈子 中岡 慎一郎 原田 研介 梶田 秀司
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, pp.853-864, 2010 (Released:2012-01-25)
参考文献数
42
被引用文献数
7 6

The development of cybernetic human HRP-4C is presented in this paper. The word “Cybernetic Human” is a coinage for us to explain a humanoid robot with a realistic head and a realistic figure of a human being. HRP-4C stands for Humanoid Robotics Platform-4 (Cybernetic human). Standing 158[cm] tall and weighing 43[kg] (including batteries), with the joints and dimensions set to average values for young Japanese females, HRP-4C looks very human-like. This paper introduces the project overview, the design process, mechanical features, and electrical features with specifications of HRP-4C.
著者
小林 仁美 金子 健彦 多賀 昌樹
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.77-84, 2019-08-01 (Released:2019-10-15)
参考文献数
31

【目的】月経前症候群(PMS)の発現には様々な因子が関連しており,これまでに睡眠時間や栄養素摂取,欠食の有無,やせや肥満,運動習慣などとの関連が報告されている。食物には様々な栄養素が含まれていること,時代と共に食事内容は変化することを考えると,食事を選択する際の意識・傾向を含め,継続的,多角的な視点でPMS症状との関連を解析する必要がある。そこで本研究では,女子大学生を対象にPMS症状と食生活習慣の関連について検討することを目的とした。【方法】52名の女子大学生を対象とし,PMS症状に関する調査,食事調査および食生活習慣調査を実施した。PMS症状はMDQ(Menstrual distress questionnaire)を用いて評価し,MDQスコアと栄養素および食品摂取量の相関を求めた。平均値の比較には対応のないt検定を行った。【結果】MDQスコアと栄養素等摂取量との相関を検討したところ,動物性たんぱく質,動物性脂質,飽和脂肪酸,飽和脂肪酸エネルギー比率,コレステロールと正の相関,炭水化物と負の相関が認められた。食品摂取量では肉類,卵類,乳類と正の相関,穀類および砂糖・甘味料類の摂取量と負の相関が認められた。また,食生活習慣調査では食品の組み合わせや調理方法を考慮しない者はMDQスコアが高く,PMS症状が強かった。【結論】栄養素や食品の摂取量とPMS症状の程度には相関が認められることが明らかになった。食生活習慣の改善はPMS症状を緩和するために有効な手段の一つである可能性が示唆された。
著者
金子 健彦 ティモシー マーフィー Takehiko KANEKO MURPHEY Timothy
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
no.62, pp.163-166, 2021-03-31

2019年12月、中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019;COVID-19)は、パンデミックを引き起こし、大学教育の運営にも大きな影響を及ぼした。今回、我々は新規に遠隔双方向の英語講義を開始するにあたり、Zoom会議システムを用いて、その立上げを支援する経験を得たのでその詳細を報告する。講義の開始前には、インターネットの接続状況や、端末機器の保有状況を調査した。また、講義の実際においては、Zoom会議システムが有するブレイクアウト機能、チャット機能、画面共有機能が有用であった。本システムの利用により、講義者、履修者のいずれのITリテラシーも向上した。今回利用したテレビ会議システムによる、遠隔双方向講義は、講義運営上大きな問題を生じなかったが、今後もその教育的効果の検証を継続することが重要と考える。
著者
梶田 秀司 金子 健二 阪口 健 三平 満司 伊吹 竜也
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

人間型ロボットがさまざまなドアを人と同程度の速度と信頼性を持って通過するための制御理論を研究しこれを実現する。ドア通過では、ロボットが手先や体の一部を環境に接触させ、力を及ぼしつつ歩行を継続しなくてはならない。これは従来の歩行制御理論では困難な課題であった。本研究では、提案者らが近年考案した「空間量子化ダイナミクス」と呼ぶ新しいモデル化手法、および近年注目をあびるリーマン計量に基づいた軌道生成・制御技術を融合することによりこの問題をスマートに解決する。さらに研究の過程で得られた知見を一般化することにより、ヒューマノイド以外の一般的なロボットで利用できる形への理論の拡張と整備を行う。
著者
金子 健二
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.127, no.3, pp.152-155, 2007-03-01 (Released:2007-06-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

本記事に「抄録」はありません。