著者
宇次原 清尚 加藤 克彦 小枝 剛
出版者
岐阜県農業技術研究所
雑誌
岐阜県農業技術研究所研究報告 (ISSN:13468456)
巻号頁・発行日
no.3, pp.1-8, 2003-03

1992年から1998年にかけて、農業技術研究所で育成した8系統から、雑種第1代の7品種と固定1品種を「トゥインクル」シリーズとして育成した。「トゥインクルスノー」は純白で、花底が緑の品種で唯一固定種である。「トゥインクルホワイト」「トゥインクルパープル」「トゥインクルピンク」は単色で花底は赤黒、花径はやや大きい最も開花の早い品種である。「トゥインクルスカイ」「トゥインクルチェリー」はかすりの紫とかすりのピンクの品種で、花色や切り花形質が特に優れていたので、この2品種を品種登録出願した。「トゥインクルマリン」「トゥインクルピーチ」はバイカラーの紫とバイカラーのピンクの品種で草丈が良く伸びる品種である。「トゥインクルマリン」は固定種のバイカラーパープルとバイカラーピンクの交雑によるF1品種で、他の6品種は「トゥインクルスノー」を母親にして、固定系統を交雑したF1品種である。育成した品種は、いずれも枝数が多く、極小輪の花が多数着く、ボリュームの出やすい極早生品種である。
著者
加藤 克知
出版者
長崎大学
雑誌
保健学研究 (ISSN:18814441)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.1-17, 2009-03

南米古代アンデス社会におけるヒト頭部の変工または加工に関係する風習的事象,「人工頭蓋変形」,「生体頭蓋穿孔(開頭術)」および「首狩りと首級」という3つのテーマについて,筆者のデータを交え形質人類学の観点から解説した.それぞれは古代アンデス社会に深く浸透し,おおむねアンデス文明成立当初からインカ帝国滅亡の日まで,社会の中で連綿と生き続けた.ペルーの考古学の父であるJulio C. Telloは,古代アンデス社会においては,頭部は宗教的シンボル,権力のシンボルであり,最も高貴な神格をもったものであった,と述べた.つまり,これらの頭部関連風習の原点は,古代アンデス社会における頭部崇拝の宇宙観にあったと考えられる.
著者
加藤 克
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.123-132, 2017 (Released:2017-11-16)
参考文献数
16
被引用文献数
1

生物学標本の蓄積は,当該種の形態的,地理的分布の歴史的変遷に貢献するが,古い時代に採集された標本には,採集データが付属しない場合があり,有効に利用できないことがある.本研究では,採集年次不明の山階鳥類研究所所蔵ヤマゲラPicus canus標本(YIO-23324)を対象に,付属ラベルの利用年代の考察と採集者のフィールドノートの記載情報を利用してその採集年次情報の復元を試み,研究資源としての標本価値の向上を目的とした.この結果,標本の旧蔵機関である帝国大学で利用されていたラベルの付属から1885年以前の採集標本であること,ラベルに記載されている「ブラッキストン」という採集者名と日本の鳥学の近代化に貢献したThomas Blakistonのフィールドノートの照合から,1881年5月にBlakistonによって採集された標本である可能性が高いことを示した.この結果を援用することで,山階鳥類研究所に所蔵されている帝国大学旧蔵標本のうち,採集年次が判明しない標本の一部についても19世紀収集標本であることを裏付ける情報を整理した.以上の結果に基づき,古い標本を利用した研究の健全な遂行の上では,コレクションヒストリーの解明と,標本情報の再検討研究の継続が必要であることを提言した.
著者
加藤 克
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.61-72, 2018-08-31 (Released:2018-08-31)
参考文献数
18

Value of specimens as research materials is secured by their collection information. This research attempted to restore collection information of a mammal skeletal specimen stored in the National Museum of Nature and Science with insufficient collection data by clarifying its collection history. The specimen was presented to the Tokyo Imperial Museum in 1906 from the Australian Museum, where we found the information for the specimen including the collection locality, cataloging date, collector’s name, and the catalog number of the Australian Museum. The restoration of collection information improved the value of the specimen. And the continuation of the restoration effort like this study contributes to the improvement of the global biodiversity information.
著者
加藤 克知
雑誌
長崎大学医療技術短期大学部紀要 = Bulletin of the School of Allied Medical Sciences, Nagasaki University (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.111-117, 1988-03-31

現代日本人上腕骨,橈骨,大腿骨および脛骨の最大長と骨幹中央周を用いた判別分析による性別判定法について検討し,さらにその縄文時代人骨への適用の可能性について調べ以下の結果を得た.1)中間点法による単項目ごとの的中率は橈骨最大長と上腕骨骨幹中央周で84.7%,86.7%と高率である.2)全8項目からの判別式では87.8%の的中率が得られた.また,骨幹中央周に関する分析では上肢骨(上腕骨と橈骨)からの判別式の的中率は88.8%で高く,一方下肢骨(大腿骨と脛骨)からのそれは73.5%とやや低い.3)現代人骨の骨幹中央周から得られた判別式に縄文時代人骨を適用してみると,的中率は一般に現代人の場合より10%程度低下したが,これは縄文時代人骨と現代人骨の計測値の差による境界値のずれに起因すると考えられる.
著者
加藤 克
出版者
札幌博物場研究
雑誌
札幌博物場研究会誌
巻号頁・発行日
no.2020, pp.1-23, 2020-03-26

この資料はサイト「札幌博物場研究」http://www.fsc.hokudai.ac.jp/mk_hunhm/index.htmlからもダウンロード可能です。
著者
加藤 克 山本 一博
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.571-576, 2020 (Released:2020-12-14)
参考文献数
15

高齢化に伴い心房細動(atrial fibrillation: AF)患者は増加し,2050年にはAF有病率が1.1%(103万人)を超えるとされている.AF患者の心原性脳塞栓発症率は年間約5%と高く,90%以上が左心耳由来である.心原性脳塞栓はアテローム血栓性脳梗塞に比べ,梗塞巣が広く重篤化しやすく死亡率や介護度も高くなる.したがってAF患者の治療に際しては抗凝固療法の適応の有無を評価することが推奨される.一方,脳卒中のリスクが高く長期的に抗凝固療法が推奨される患者のうち,出血リスクの高い患者への対応に苦慮することも少なくない.このような患者に対する長期的抗凝固療法の代替として,WATCHMAN左心耳閉鎖デバイス(left atrial appendage closure: LAAC)が2019年9月に日本でも保険適用となった.本稿ではLAACの適応,術前後の流れや併用薬,さらには今後の期待と課題について概説する.
著者
加藤 克知 イルダ ビダル 篠田 謙一 真鍋 義孝 北川 賀一 小山田 常一 六反田 篤
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学医学部保健学科紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.13-17, 2002-12

頭蓋骨折と思われる傷痕を有するインカ時代ペルー先住民のTrepanation(頭蓋穿孔)施術頭蓋3例を観察し,骨折痕と頭蓋穿孔の関連について考察した.頭蓋穿孔痕は,一例は骨折受傷部と異なる部位に,残り2例は骨折受傷部に一致して存在した.これらの観察から得られた所見は,頭蓋穿孔が何らかの治療的意図を持って骨折痕に対してとられた処置であることを示唆する.すなわち,特にインカ時代は戦闘行為による頭蓋骨折発生頻度の高い時期であり,当時人々は頭蓋穿孔が骨折受傷後の状態や予後の改善に有効であることを経験的に認識していたと考えられる.Three trepanned skulls with fracture traces in ancient Peru (Inca period) were presented, and whether the trepanations were intended to the fracture lesions or the following symptom was briefly discussed. The skull fractures, probably resulting from violence, was located in the frontal or parietal regions. In one case, the trepanations were performed in different regions from the fracture lesions, and in other two cases the operations were probably done at the correspondent regions to the lesions. The observation on these skulls suggests the possibility of trepanations as an intended therapeutic procedure of the skull fractures in Inca period of Peru, where people might frequently experienced the traumatic injuries by violence such as the fight.
著者
加藤 克
巻号頁・発行日
2006-03-24

207p.
著者
加藤 克
出版者
札幌博物場研究
雑誌
札幌博物場研究会誌
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.1-23, 2020-03-26

『大正日日新聞』は、大正デモクラシー期に活躍したジャーナリスト鳥居赫雄(素川)が1918(大正7)年8月末に発生した大阪朝日新聞筆禍事件(白虹事件)で朝日新聞社を引責退社したのち、翌年11月に創刊した新聞である。新聞社設立に際して社長となった貴族院議員藤村義朗男爵、出資者である大阪の銅鉄商勝本忠兵衛と鳥居の協力によって創刊された『大正日日新聞』であったが、経営者間の不和、放漫経営、対立する朝日新聞社、毎日新聞社による圧力もあり、創刊の翌年7月には経営が破綻した。新聞社が短命であったために社史などは全く残されておらず、その設立から解散に至るまでの経緯は鳥居の下に集まっていた新聞記者たちによる鳥居の評伝や回顧録[伊豆 1952, 1962, 1965; 新妻 1969; 日本新聞協会 1976, 1977; 冨田 2017など]や当時の朝日新聞社社長村山龍平の伝記[朝日新聞社大阪本社社史編集室 1953、以下『村山伝』と表記]、『朝日新聞社史』[朝日新聞百年史編集委員会 1991、以下『朝日社史』と表記]などに基づいている。ただし、評伝の大部分は新聞社設立から30年以上経過した時点での記憶に頼っているため内容には異同があり、個々の事象の前後関係も明確ではない部分がある。朝日新聞社の社内用資料として清水[1964]が『大正日日新聞』についてまとめた資料も、その多くは鳥居の評伝を執筆した記者からの聞き取りに基づいており、『朝日社史』の記述も同様の傾向があると考えられる。また、主要な出資者である勝本忠兵衛の「人となりがわからない」[冨田 2017]とされることや、「編集局の陣容は、まさに超一流だったが、残念ながら経営陣に人を得ず」[内川 1967]と評価されたり、鳥居の「理想的な新聞」を勝本が「一つの企業と考えていたに過ぎ」なかった[伊豆 1965]と評価されていることなど、新聞社経営に理解、能力を持たない勝本の存在が経営者間の対立の理由の一つとされていることも、残された情報が鳥居や新聞社視点からのものに偏っており、かつその記述の目的がジャーナリスト鳥居素川を顕彰するためであることに由来していると考えられる。これらの点から考えて、『大正日日新聞』に関する従来の歴史的経緯の理解は、新聞社設立に関わった当事者全員の実際の考えや行動に基づくものではない可能性がある。 本稿は上記の課題に対して、白虹事件から『大正日日新聞』創刊前後までの期間における、これまでその存在が知られていなかった鳥居と勝本を中心とする関係者の書簡群(1)を利用して、新聞社設立に至る経緯、鳥居と勝本の考えや行動の実態を把握する。そして、従来とは異なる観点からその経緯をみたときに、これまでの理解が十分であったのか否かを確認したい。これにあわせて、『大正日日新聞』に関係してこれまで全く名前が挙がることがなかった、書簡の宛先である北海道帝国大学教授八田三郎のキーパーソンとしての役割についても示すこととしたい。

1 0 0 0 OA 再審公判

著者
加藤 克佳
出版者
日本刑法学会
雑誌
刑法雑誌 (ISSN:00220191)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.915-919, 1987-03-30 (Released:2022-12-30)